ニューノーマル処方箋(第85回)
Wi-Fi 7導入を検討する前に知っておきたいポイントと準備のヒント
近年、一般ユーザー向けのセキュリティ対策について書く機会が多い。前回紹介した埼玉県警のセキュリティテストや、他の連載でも迷惑電話や迷惑訪問者を撃退するグッズ(ボタンを押すと男性の声で応対できるガジェットやスマホアプリなど)を紹介している。やはり、身の安全を守る、というのが社会生活の大切な一要素である。
そんな中で見つけたのが、警視庁のスマートフォン向け防犯アプリ「デジポリス」。今回はアプリそのものというより、まずはホームページとチラシが目についたのだった。「デジポリス」では、東京の犯罪発生情報や防犯情報を地図で知らせる他、国際電話番号のブロック、防犯ブザー、痴漢撃退、自分のいる場所を家族などに知らせる機能など、さまざまな防犯機能がまとめて入っている。
そもそもスマホにかかってくる国際電話をまとめてブロックできないかと、アプリやガジェットを探していた筆者にはうってつけだった。以前、スマホを防犯ブザーとして使えるアプリを探したこともあり、その機能を備えているのもうれしかった。
そういえば、電車で痴漢に遭遇したとき、声を出さずにスマホ画面で周囲に助けを求められたり、痴漢に遭遇している女性に対し、スマホ画面の表示などでコミュニケーションして助けられるアプリを探したこともある。災害や事故に遭ったとき、自分の位置を知らせるアプリがあればと思ったこともあった。それらの機能もこの「デジポリス」にはまとめて入っている。これは使ってみるしかない、と思った。
それにしても、一石二鳥どころか一石五鳥とも言えるようなアプリが、無料で提供されているのには驚かされる。ではさっそくインストールして、実際に使ってみよう。
インストールして起動すると、まずマイエリアの設定を行うダイアログになる。残念ながら筆者は都内在住ではないので、昔住んでいた「清瀬市」を設定してみた。続いて住所、生まれ年、性別のアンケートが表示されるが、ここはスキップしても問題ない。
位置情報を設定すると、国際電話ブロック機能の設定画面になる。ただし、ここはひとまず「キャンセル」をクリックしておこう。するとトップ画面が表示される。地図と、設定したマイエリアの最新情報が表示される。

警察庁提供「デジポリス」のトップ画面
画面上部にはタブがあり、通常は「トップ」が表示されるが、「女性の安全」「子供の安全、非行・被害防止」などのタブに切り替えることで、さまざまな情報を見られる。時間のあるときに読んでおくとよい。
痴漢撃退や防犯ブザーなどの機能は、画面下のバーにあるボタンから利用できる。「痴漢撃退」を押すと、「痴漢です、助けてください」と画面に表示され、画面をタップすると「やめてください」という大音量の音声を鳴らせる。マナーモードでも動作するので、痴漢対策としてはかなり実用的だ。

「痴漢撃退」機能の画面
さらに右下の「ちかんされていませんか?」に切り替えると、「ちかんされていませんか?」という表示を、周囲の人が被害者に向けて見せられる。相手がうなずくなどすれば、痴漢に遭いかけている人を助けるきっかけになる。
「防犯ブザー」をタップして画面を押すと、防犯ブザーとして利用できる。こちらもマナーモードでも動作し、鳴らすまでの操作が少なくてすむ。先ほどの「痴漢撃退」の音声も同様だ。さらに、防犯ブザーは音だけでなく、スマホの懐中電灯機能を点滅させる仕組みになっている。暗い夜道などでのトラブル時には、かなり心強い。ただし大音量が鳴るため、操作ミスには注意したい。
「ココ通知」を押すと、現在地を家族や知り合いと共有できる。通知を送るには、あらかじめ相手をグループメンバーとして登録しておく必要がある。まず自分のプロフィールとしてアイコンと名前を設定しよう。送信メンバーの登録は「送信するメンバーを設定しましょう」を押すと表示されるQRコードを読み取ってもらう方法が基本だ。うまくいかない場合は、「メールで招待」から招待することもできる。なお、グループメンバーになるには、相手も「デジポリス」アプリをインストールする必要があるが、追加時に案内されるので、スマホ初心者でも大丈夫だ。
「マップ」では、女性や子どもに対する前兆事案、ウソ電話、犯罪などの統計情報が地図上に表示される。周辺の状況を把握し、防犯意識を高めるのに役立つだろう。そんな具合に、このアプリはなかなか至れり尽くせりの、警視庁ご用達の防犯アプリなのだ。
先ほど設定した「国際番号ブロックシステム」だが、最近かかってくる詐欺電話は、ほとんどと言ってよいほど国際電話だ。これらをブロックできれば、詐欺電話の多くは防げるはずだ。さらに、警察が把握している犯行利用電話番号もブロックされるため、警察とシームレスに連携している点がありがたい。

設定の際は「国際電話番号ブロックシステム」タブの内容をよく読んで
着信・発信ともに、警察が把握した「特殊詐欺犯行利用電話番号」に加え、「国際電話番号」からの着信を自動でブロックする。着信があった場合は、着信履歴に「デジポリス:詐欺電話の可能性あり」と表示されるため、折り返し発信しようとした際にも注意を促してくれる。
まずは「国際電話番号ブロックシステム」タブで内容をよく読もう。AndroidとiPhoneでは機能や設定方法が異なるため、注意が必要だ。右上の電話の受話器アイコンが「オン」になっていれば機能は有効になっている。オンになっていない場合は受話器アイコンをタップし、指示に従って設定しよう。
筆者はiPhoneでやってみた。注意事項を読み、同意にチェックを入れて「次へ」をタップする。さらに表示される注意にも同様に対応する。すると「国際電話ブロック機能」の中に「犯行電話ブロック」という項目が現れるので、指示に従ってここをオンにする。なお、iOSの標準機能である「不明な発信者を消音」機能もオンにするよう促される。
これで国際電話番号ブロックはOKだが、必ずしも万全ではないので注意が必要だ。そうそう、このデジポリスアプリにはちょっとした遊び心もある。トップ画面左上、日付の右に「巡査」アイコンが表示されるのだが、アプリを使うにつれてポイントが貯まり、階級が上がっていく仕組みになっている。ゲーム感覚で使えるこうした仕掛けもうれしい。
とはいえ、「デジポリス」は正直、地方(長野県)在住の筆者にとっては、上京時には役立つものの、普段の生活では東京の地図情報などが使えない。都道府県ごとに同様のアプリがあればよいのに、と思った。
表示できるエリア外では、自分のエリアの犯罪・不審者情報は表示されないうえ、周辺を歩いてパトロールする「見守り活動防犯パトロール」も利用できず、先ほどの「昇進」もなかなか進まない。ただし実際には「詐欺電話ブロック」「痴漢撃退機能」「防犯ブザー」「現在地送信(ココ通知)」などの機能は問題なく利用できるので、インストールしておく価値はある。
そこで調べてみたところ、長野県警にも「ライポリス」という公式アプリがあることを発見した。県鳥の「ライチョウ」にちなんだ名前だ。そういえば警察のマスコットも「ライポくん」という。レイアウトはデジポリスと似た構成だが、残念ながら国際電話による詐欺電話ブロック機能は搭載されていない。その代わり、国際電話詐欺ブロック機能を使うには「警察庁推奨アプリ」を併用するよう案内される。これらを組み合わせることで、国際電話ブロックも有効になる仕組みだ。

長野県警提供「ライポリス」の画面
ライポリスには、デジポリス同様のお知らせ機能、ココ通知、防犯ブザーなどに加え、「クマ・動物」情報など、地方ならではの情報も掲載されている。車移動中心の地方ゆえ、痴漢撃退機能は搭載されていない。こうした在住地域のアプリなら、自分の位置も表示され、念願の「見守り活動防犯パトロール」でポイントを貯めることもできる。さらには地元の日帰り温泉や映画の割引クーポンなども用意され、至れり尽くせりだ。
東京以外にも、北海道の「ぼくとポリス」、青森県警の「まもリン」、神奈川県の「かながわポリス」、愛知県の「アイチポリス」、大阪府の「安まちアプリ」、福岡県の「みまもっち」など、各地で防犯アプリが提供されている。これが全部ではなさそうなので、自分の地元の警察にも同様のアプリがあるかどうか、一度チェックしてみるとよいだろう。
固定電話で何か対策出来ないかと調べたところ、「不取扱受付センター」という所で国際電話の着信を拒否できることが分かった。電話会社によっては国際電話の発信も止めることが出来る。海外と電話することが無いのなら、何かある前に不取扱受付センターに登録してみるのも手だ。
これら警察アプリには、普段の防犯情報だけでなく、サイバー犯罪やサイバーセキュリティに関する注意喚起も掲載されている。こうした地元密着型の警察アプリ、ぜひインストールして活用してみてはいかがだろうか。また、詐欺などの被害に遭いやすい高齢の両親などに薦めてみるのもよいだろう。企業にとっても、サイバー犯罪は決して他人事ではない。ちょっとした油断や不手際が、大きな被害につながることもある。ただし、AIが犯罪に利用され攻撃が高度化される傾向が強い現在、万全と思っていても被害に遭う可能性はゼロではない。できる限りの態勢が必要だ。
もし企業になんらかのことが起きた場合、自社だけで対応するのは難しい。いざというとき専門家が駆けつけるサービスや、日常的なセキュリティ対策を代行してくれるサービスを検討するのも一つの方法だ。いつ、どこで、どんな犯罪に巻き込まれるかわからない時代。警察アプリや各種サービスを活用し、「転ばぬ先のつえ」として備えを強化しておきたい。
※掲載している情報は、記事執筆時点のものです
執筆=青木 恵美
長野県松本市出身。独学で始めたDTPがきっかけでIT関連の執筆を始める。書籍は「自分流ブログ入門」「70歳からはじめるスマホとLINEで毎日が楽しくなる本」など数十冊。Web媒体はBiz Clip、日経xTECHなど。紙媒体は日経PC21、日経パソコン、日本経済新聞など。現在は、日経PC21「青木恵美のIT生活羅針盤」、Biz Clip「IT時事ネタキーワード これが気になる!」「知って得する!話題のトレンドワード」を好評連載中。
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