ビジネスWi-Fiで会社改造(第44回)
ビジネスWi-Fiで"学び"が進化する
G20サミットは、G7サミット参加メンバー(フランス、米国、英国、ドイツ、日本、イタリア、カナダ、欧州連合)に、アルゼンチン、オーストラリア、ブラジル、中国、インド、インドネシア、メキシコ、韓国、ロシア、サウジアラビア、南アフリカ、トルコの首脳を加えた「G20」が参加して毎年開催される。招待国や国際機関も参加する。
正式名称は「金融・世界経済に関する首脳会合」。世界のGDPの8割以上を占める「国際経済協調の第一のフォーラム」として、「世界経済を力強く成長させていくこと」が目的だ。世界中でさまざまな問題が深刻化する昨今、経済や貿易だけでなく、世界経済に大きな影響を与える開発、気候変動・エネルギー、保健、テロ対策、移民・難民問題についても議論が行われる。
2019年は日本が議長国となった。大阪国際見本市会場(インテックス大阪)で、6月28日・29日に「G20大阪サミット」が開催される。ちなみに、日本がG20の議長国になるのは初めて。なお、サミットのほか、国内8都市で関係閣僚会合も開催。その1つ、6月15・16日に長野県の軽井沢町で開かれた「持続可能な成長のためのエネルギー転換と地球環境に関する関係閣僚会合」で、海のプラスチックごみの削減に向け、各国が初めて合意したニュースは記憶に新しい。
G20大阪サミットにおいては、「デジタル経済への対応」が1つのテーマとして挙げられている。デジタル経済とは、電子決済や電子商取引をはじめ、クラウドサービスやゲーム、スマートホームなどのIoTやAI、ネットワークとITを利用した商品管理システム、スマホやパソコンなどのハードウエア、4Gや5G、Wi-Fiといった通信サービスまで、あらゆるITが絡む経済全般を示す。
キャッシュレス決済に代表されるように、経済のデジタル化で社会や生活は大きく変わろうとしている。だが、同時にサイバー攻撃の脅威は高まる。あらゆるものがデジタルでつながれば、悪意ある者がどこからか侵入してくる。ひとたび攻撃されれば、被害は甚大かつ多岐に及ぶ可能性もあるわけだ。
信頼性の高いデジタル経済の実現には、首都圏や大企業だけでなく、地方や中小企業も含めたサイバーセキュリティが必要なのは言うまでもない。スマホ決済などで、小さな個人商店もネットワークにつながっている。悪意ある者は手薄な場所を狙う。小さなところほど、サイバーセキュリティ対策が必要といえる。ネットワークにつながる以上、「うちは関係ない」が通用しない。
G20大阪サミットの6月開催を受け、経済産業省はサイバーセキュリティについて、サプライチェーン(原料から消費者までの全プロセス)やIoTの観点から、グローバルな参加者が語り合う「サプライチェーンのサイバーセキュリティについて語りあうシンポジウム」を大阪で5月末に開催した。さらに、つくば市で6月8・9日に開かれた関係閣僚会合「G20茨城つくば貿易・デジタル経済大臣会合」でも、デジタル経済およびIoTを含む新興技術の急速な広がりに対するセキュリティの重要性やセキュリティ向上への取り組みの必要性について、話し合いが持たれた。
近畿経済産業局、近畿総合通信局、一般財団法人関西情報センターでは、昨年10月に発足した「関西サイバーセキュリティ・ネットワーク」の取り組みとして、G20大阪サミット開催を契機に、(1)サイバーセキュリティ人材の発掘・育成(2)取組機運の醸成(3)地方や中小企業における対策強化――を3つの柱に、サイバーセキュリティ強化に取り組む。シンポジウムは、5月末から9月まで、関西各地で行われる。
なお、3本柱の1つ「地方や中小企業における対策強化」に含まれる、経済産業省とIPAが行う「中小企業向けサイバーセキュリティ事後対応支援実証事業(サイバーセキュリティお助け隊)」は、全国15府県8地域の中小企業を対象に、サイバーセキュリティに関する悩みや、対策のニーズ、サイバー攻撃被害の実態などを把握するとともに、サイバーインシデントが発生した際の支援体制の構築などに向けた実証事業を行う。
今後、東京五輪や大阪万博など、国際的な大型のイベントが開催される。これらのイベントにおいて、テロリストに対する警戒が高まっている。爆弾などのテロはもちろん、ネットワークに侵入してデータを盗んだり破壊したりするサイバーテロも大きな脅威となる。
これまでのセキュリティ対策は、不正なアクセスを発見したり防いだりするシステムや、異常なパケット通信などを検知するシステムが中心だった。ところが最近のサイバー攻撃は、添付ファイルの付いたメールで内部の端末にマルウエアを仕掛け、端末の使用者が感染に気付かないまま機密情報を盗み出す。「攻撃者の手を汚さない」のだ。その他、企業のWebページを改ざん、そっくりなダミーページに誘導して詐欺行為を働くなど、手口は年々、巧妙かつ高度になっている。
不特定多数に送られるメールは稚拙で比較的見分けがつきやすいが、怖いのは特定の個人をターゲットに、いかにもそれらしく通常の業務を装って送られる「標的型メール」。狙いは特定の企業やデータ、極めて悪質だ。規模の大きいものでは数百万人の顧客データが流出する。セキュリティ対策は、システム担当者に任せておけばよいわけではない。個人1人ひとりが臨むべきものといえる。
サイバーセキュリティには、社員教育や個人の意識向上を目的とする「組織対策」と、AIなど最新の技術を駆使して侵入や送信を検知・防御する「技術的対策」の二本柱の対策がある。大きなイベントを控える日本。自分がテロの「踏み台」になる事態を避けなければならない。日ごろから、総務省の情報、シンポジウム、勉強会での知識向上、企業ぐるみの訓練をしておきたい。さらに、信頼のできる専門家、専門企業への相談も効果がある。今すぐ対策を検討しよう。
執筆=青木 恵美
長野県松本市在住。独学で始めたDTPがきっかけでIT関連の執筆を始める。書籍は「Windows手取り足取りトラブル解決」「自分流ブログ入門」など数十冊。Web媒体はBiz Clip、日経XTECHなど。XTECHの「信州ITラプソディ」は、10年以上にわたって長期連載された人気コラム(バックナンバーあり)。紙媒体は日経PC21、日経パソコン、日本経済新聞など。現在は、日経PC21「青木恵美のIT生活羅針盤」、Biz Clip「IT時事ネタキーワード これが気になる!」「知って得する!話題のトレンドワード」を好評連載中。
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