時短エクセル(第87回) 2段階・3段階のドロップダウンリストを作る

パソコン スキルアップ

公開日:2025.04.25

 「データの入力規則」という機能を使うと、ドロップダウンリストの中からマッチする項目を選ぶだけで文字列がセルに表示される。入力の手間が大幅に減らせるうえに入力ミスも防げて一石二鳥だ。

 今回はドロップダウンリストを階層化する方法を紹介する。例えば、第1階層で営業部を選ぶと第2階層のリストには営業部の課名だけが表示される。さらに課名を選ぶとその課に所属している人の名前だけが表出される、という仕組みだ。

 部→課→氏名や都道府県名→市区町村名、大学名→学部→学科など、次々に絞り込んでいきたいシーンは多い。こういったときに効率的に、しかもミスなく、選ぶだけでどんどん表が作成できる。知っていれば非常に便利な活用法だ。

本来作成したい表とリスト用の表を作成する

 まずは、本来作成したい表の大枠を作成する。そして、ドロップダウンリストの中身も表にするので、その方法を紹介する。

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まずは本来作成したい表を作る。今回は、朝礼の際に行う3分間スピーチの担当表を作った

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次に、ドロップダウンリストで選択したいリストを作成する

 第1階層の「部署名」でリストとして使いたいのは「営業部」「業務部」「開発部」の3つ。そしてさらにその部の下には3ないし4つの課があり、さらにその課の下に数人の課員がいるという想定だ。今回はわかりやすくするためセルに色を付けたが、色は付けなくても問題ない。また、部署名や人物名など各項目の数は例より多くても対応できる。

リストに名前を付ける

 表の準備ができたら、次はリスト用の表に名前を付ける。今回は、複数の表にまとめて名前を付ける方法を紹介する。この方法で上端のセルに入力されている文字列を名前にするので、ドロップダウンリストに表示する名前と完全一致させておく必要がある。例えば「品質管理課」を「品管」などと略してしまうと階層化リストは作れない。

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「Ctrl」キーを押しながら、縦方向にそれぞれをドラッグして選択する。ここでは合計13列を選択。次にメニューの「数式」タブにある「定義された名前」グループの「選択範囲から作成」を選ぶ。より広い画面であれば、「数式」タブを選んだらすぐに「選択範囲から作成」メニューが見えていることもある

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表示されるダイアログボックスで「上端行」が選ばれていることを確認して「OK」を押す

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試しに営業部内の課をドラッグしてみると、左上の名前ボックスに名前が表示される

 ここで注意したいのは、名前を付けたのは課の一覧であるということだ。範囲指定した上端は、名前を付けるための値として指定しただけで、表は「営業一課」から「営業企画課」まで。課を選択するドロップダウンリストに「営業部」は含まない。名前の確認方法は次の通り。

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「数式」タブにある「名前の管理」をクリックする

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名前が付いた表の一覧が確認できる

「データの入力規則」で条件を設定する

 表に名前を付けたら、いよいよ「データの入力規則」機能で条件を指定する。ここでの第2、第3階層の指定方法が今回一番の重要ポイントだ。条件指定の際に「INDIRECT」という関数を使用する。第1階層は、通常通りの指定で問題ない。

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部署名のセル範囲を指定して、メニューの「データ」タブの「データの入力規則」をクリックする

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「データの入力規則」ダイアログボックスが開くので、「設定」タブの「入力値の種類」で「リスト」を選ぶ。「元の値」の欄にカーソルを合わせ、表の「営業部」から「開発部」まで(F2~H2)をドラッグする。「元の値」に「=$F$2:$H$2」と表示されたら「OK」で閉じる

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「部署名」の右に「▼」が表示される。範囲指定を解除してその▼をクリックすると、ドロップダウンリストに3つの部署名が表示される

 次は第2、第3階層のリストを作成する。ここがもっとも重要だ。

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先ほどと同様に「課名」を範囲指定して「データの入力規則」ダイアログボックスを開く。「設定」タブの「入力値の種類」で「リスト」を選び、「元の値」の欄に「=INDIRECT(B3)」と入力する。「元の値はエラーと判断されます。続けますか?」というメッセージが出たら、「はい」を押す

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第2階層のリスト作成と同じ操作で「元の値」は「=INDIRECT(C3)」と入力する

 「INDIRECT」という関数は、指定される文字列への参照を返す。「=INDIRECT(B3)」と入力すると、セルB3の値(例えば営業部)を参照して、それが示す参照($F$3:$F$6)を返すという意味になる。そのため、第1階層に応じた内容のリストが表示できるようになるというわけだ。

実際の動きを試してみる

 では実際にリストがうまくできているか動作を確認してみよう。

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第1階層はすでに確認済みなので、任意の部署を選ぶ。ここでは「開発部」を選択

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第2階層のリストを開いてみると、開発部の課名である「開発課」「開発企画課」「品質管理課」が表示されているのがわかる。ここでは「品質管理課」を選ぶ

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最後に第3階層を開くと、「品質管理課」のメンバー3人の名前が表示された

 ほかの部や課も試してみてほしい。指定した条件通りのドロップダウンリストが選択され表示されるはずだ。
なお、データの入力規則はコピーが可能なので、D3はC3をコピーし、D3から縦方向にドラッグしてコピーするとより簡単に作成できる。

【ダウンロード】
「時短エクセル」 2段階・3段階のドロップダウンリストを作る のお試しファイルのダウンロードはこちらから(Excelファイル)

※解説用画面はWindows 11上でMicrosoft 365のExcelを使用。一部メニュー名などが異なる場合がある

執筆=内藤 由美

大手ソフト会社で14年勤務。その後、IT関連のライター・編集者として活動。ソフトウエアの解説本、パソコンやスマートフォンの活用記事などを執筆、編集している。

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