ビジネスWi-Fiで会社改造(第44回)
ビジネスWi-Fiで"学び"が進化する
新型コロナウイルスの感染拡大で学校は休校、ビジネスはテレワークに切り替える企業が急増、イベントは中止もしくは無観客で行われ、テーマパークは休業する。影響は甚大だ。感染拡大を何とか食い止めて、被害をできるだけ最小限にしたいところだ。
そんな折、既存の3種類の薬剤が治療に効果を示した、という報告もある。ワクチンの臨床試験も、近く始まる見通しといわれる。一刻も早い治療法の確立が望まれる。
一人ひとりができる対策として、手洗いやせきエチケットがうたわれている。しかし、相変わらずマスクや消毒薬が不足する状況だ。SNSでトイレットペーパーやティッシュペーパーが不足するとの情報が広がり、紙製品を買い占める人が続出した。本当に必要な人が困る事態が引き起こされた。紙製品は現在、通常通りの生産・供給が行われ、マスクや消毒液の不足についても、状況が経済産業省によりアナウンスされている。
3月14日以降、マスクおよび消毒剤のオークション出品の自粛が経済産業省から要請された。職場のマスクを転売した病院職員や、大量のマスクを出品した議員がニュースになった。非常事態に便乗して私腹を肥やす行為は、人間的にいかがなものか。新型コロナウイルスに便乗した悪徳商法も後を絶たない。一人ひとり、警戒する必要がある。
今回のデマに関しても、デマだと分かっていても、困りたくないから買っておこう、という人が多かった。しばらく使う分があるなら、本当に必要な人のために控えておく心遣いも必要だ。正しい情報を得ることと、正しい情報に基づいた正しい行為を取ることが重要だ。冷静さと人間らしさを失ってはいけない。常に襟を正したい。
感染を拡大させぬよう、感染者との接触や、不特定多数の人が触る物に近づくのはなるべく避けたい。とはいえ外出せざるを得ない事態は多い。そんなときに“IT”が役立つ。
スマホで行うキャッシュレス決済は、誰が触ったか分からないお札や小銭に触れずに、決済を行える。もともと、外国でキャッシュレス決済が普及したのも、お金に触れずに済むからだともいわれる。さらにスマホ決済は、バーコードリーダーもしくは本人の入力で行うため、店員の手にも触れない。
ネット通販も活用したいところだ。日常生活用品や生鮮食品は、ネットスーパーが有用だ。通販を届ける宅配便は、LINEやWeb上で時間や場所の変更が利く。玄関に届く商品の受け渡しにも、あらかじめ印鑑やペンを用意すれば、余計な接触を避けられる。
外食での感染可能性もうたわれている。ならば、スマホやパソコンから注文できるデリバリーサービスも有効だ。「出前館」や「楽天デリバリー」などの総合サービスは、ポイントやクーポンなど特典も多くてお薦めだ。デリバリーは、メニューを落ち着いて選べ、決済も現金を介さず行える。
外出のついでに、テークアウトで食事を持ち帰る手もある。その際は、スマホアプリであらかじめ時間指定で注文しておくと、待ち時間や決済いらずで受け取れる。マクドナルドのモバイルオーダー、かっぱ寿司やほっともっと、LINEポケオなどを筆者はよく利用する。
人と会う、打ち合わせする機会も、IT活用で減らせる。チャットアプリ、電話アプリ、ビデオ通話アプリなども適宜活用しよう。そのほか、出先のパソコンを“出掛けずに操作”、リモート操作アプリなどを使ったリモートアクセスも有効だ。
手洗いが有効といわれる新型コロナへの対策は、帰宅時が大きなカギとなる。手で触れる物には注意が必要だ。筆者は玄関先に消毒薬一式を置き、利用している。スマホも菌が付きやすい。家に戻ったらすぐ消毒を行うのが有効だ。
考えてみると、帰宅時にはいろいろな物に触っている。ドアノブとか鍵とか、電灯のスイッチとか。手洗い前にこれらには触れる。だから菌が付着する可能性がある。IoTの利用で、スマホから施錠・解錠、もしくはシャッターの開閉などを行えるシステムも有効だ。コンセントに挿せるスマートスピーカーを玄関に設置し、声で電灯をつけるやり方もある。
スマホに付けられるサーモグラフィー・ユニットなども売れている。訪問者や往来の人々でも高熱のある人を見分けられる。非接触の放射温度計を、ネット通販で入手しておくのもよい。ここまでくるとやり過ぎかもしれないが、いろいろ玄関先の工夫をすれば、感染の確率を下げられる。正しい情報を基に、家族にも徹底してもらおう。家族に感染者が出た場合もIT機器を駆使して接触を減らし、家族への感染確率を下げる工夫ができるだろう。
各企業でテレワーク、在宅勤務の動きが広がるが、会社のメールが見られない、資料が開けない、チャットができない、リモートアクセスができないなど、初歩的なところでつまずくケースも少なくない。また、急なテレワークへの移行で、ITのセキュリティ対策面はもちろん、管理や評価、コミュニケーションなどの課題が後回しになっている面も否めない。
機器やアプリ、ノウハウ・資金不足もこれから露見してくるだろう。問題を洗い出し、1つひとつ解決していこう。業務が思うように進まず焦る面もあるだろうが、今は最優先で実行し、ノウハウをためて未来につなげると考えよう。各省庁のテレワークの情報ページが助けになる。相談できる窓口や補助金制度を利用する手もある。
コロナへの防御策として「人や物に接触しない」ためにITを駆使するだけでなく、休校で家にいる子どもに、ITを使った学習を勧めるのもよいだろう。IT活用が生活を救う可能性がある。今後、新型コロナウイルスの猛威はどうなるかは分からない。だがインフルエンザをはじめ、今回のケースに似た不測の事態は、いつでも起こり得る。冷静に対応できるよう、ノウハウを磨いておいて損はない。
コロナに関する各ジャンルのお役立ちコンテンツを紹介する。
新型コロナウイルス感染症について(厚生労働省)各都道府県の新型コロナウイルスに関するお知らせ・電話相談窓口(首相官邸内)
新型コロナウイルスに関する帰国者・接触者相談センター(厚生労働省)
新型コロナウイルスに関する中小企業・小規模事業者支援相談窓口(厚生労働省)
テレワーク相談センター(厚生労働省委託事業)
執筆=青木 恵美
長野県松本市在住。独学で始めたDTPがきっかけでIT関連の執筆を始める。書籍は「Windows手取り足取りトラブル解決」「自分流ブログ入門」など数十冊。Web媒体はBiz Clip、日経XTECHなど。XTECHの「信州ITラプソディ」は、10年以上にわたって長期連載された人気コラム(バックナンバーあり)。紙媒体は日経PC21、日経パソコン、日本経済新聞など。現在は、日経PC21「青木恵美のIT生活羅針盤」、Biz Clip「IT時事ネタキーワード これが気になる!」「知って得する!話題のトレンドワード」を好評連載中。
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