ビジネスWi-Fiで会社改造(第44回)
ビジネスWi-Fiで"学び"が進化する
搭載台数6億台ともいわれる米マイクロソフトのWindows 10。年2回行われるWindowsの大型アップデートの1つ「Windows 10 October 2018 Update」の提供が10月2日(現地時間)に始まった。
ところが提供間もない6日(現地時間)、Windows 10 October 2018 Updateの一般提供が中止された。アップデートを行ったユーザーの一部から、ファイルが消失する不具合が報告され、調査を行うためだという。
マイクロソフトの「Windows 10 の更新履歴」ページ。「Windows 10 October 2018 Update」の不具合も書かれている
執筆現在(10月17日)、マイクロソフトはまだ更新の提供を再開しておらず、再開時期のメドもたたない状況だという。なお、アップデートでファイルが消失した場合、利用を最小限にして、すぐにマイクロソフトに直接連絡を取るよう呼びかけている。
こうした事態が起きると、アップデートに対して二の足を踏んでしまう。そのあたり、どう対応すべきか、そしてメーカーはどうあるべきかを探ってみたい。
今回のアップデートは、描き込みや共有ができる新しいキャプチャー機能、履歴から貼り付けできたり複数デバイス間で同期できたりするクリップボードなど、多くの新機能が追加される。特にAndroidスマートフォンとの連携を強めたのが、一番の特徴だといわれる。
ファイル消失の原因は、マイクロソフトのクラウドストレージサービス「OneDrive」の重要なフォルダーを保護する機能にあったことが後に報告された。すぐに問題が起こったバージョン1809をインストールしたユーザー向けにアップデートが提供されている。だがWindows 10 October 2018 Update本体に関しては、インサイダープログラム(正式公開前のバージョンを試せる制度)の参加者向けにまず提供し、フィードバックや診断データを慎重に検討してから一般向けに再リリースする予定、とアナウンスされている。
今回のアップデートは提供後すぐに中止されたため、被害は限られた範囲にとどまったといわれている。マイクロソフトは削除されたファイルの復旧を行う方針も明らかにした。
筆者の記憶によれば、Windowsのアップデートが提供中止になるのは非常に珍しい。筆者の使う米アップルのスマホ(iPhone)のOS(iOS)ではたまにある話で、大きなアップデートがあるたび「更新をちょっと待とうか」と思ったりしてしまう。
そもそもOSに限らずソフトウエアのアップデートは、機能追加はもちろん、多くの場合、セキュリティや不具合の修正を含む。つまり、一刻も早くアップデートを適用しないと危険、という可能性もあるということだ。
ところが今回のように、安全を提供するためのアップデートが原因で、新たな不具合が生じる事態はミイラ取りがミイラになるようなもので、本来あってはならない。ユーザーは不安をあおられ、すぐにはアップデートしないようになるかもしれない。
筆者はiOSでの不具合の際、アップデートを適用してしばらくの間、不便を余儀なくされたことも。すぐにアップデートを適用しない、ものぐさな人のほうが助かる…では、メーカーの信用を落としかねない。メーカーは本来、テストにテストを重ねた上で、アップデートを提供しなくてはならない。
アップデートはすぐに適用して危険を回避したい。でも、アップデートによる不具合は避けたい……。このバランスをどう取ったらよいか、考えてみた。
それは「自動アップデートを基本にする」である。今回のような大型アップデートの際には、アップデートファイル(ISOファイルやインストールツールなど)が公開され、ユーザーがダウンロードしてインストールできる状態で提供されるケースが多い。アップデートの内容は、たいてい事前にアナウンスされている。提供直後は、ダウンロードしたいと思ってアクセスしても、なかなかダウンロードできないケースも多く、人気のほどがうかがえる。
アップデートを手動にすれば、いち早く最新の環境を入手できるが、放っておいてもしばらくたつとOSの自動アップデート機能により、強制アップデートが行われる。この自動アップデートのタイミングまで「待つ」というわけだ。自動アップデートまで待てば、ある程度の時間は経過していて、先行して手動でインストールしたユーザーの報告で「アプデ不具合」はかなりの確率で回避されているはずだからだ。今回の不具合も、手動でアップデートを行った人を中心に発生しているようだ。
できる限り安全な状態でIT機器は使いたい。OSに限らずアプリ、ファームウエアなど、アップデートは常に付きまとう。安全対策をよく考え、ベストバランスな方法を取るのがよい。
アップデートに限らず、自分の使っているハードウエアやソフトウエアは、常に最新の情報をチェックするよう心掛けよう。不具合に気付いたら、今回のアナウンスよろしく、デバイスの使用を極力控え、速やかにサポートセンターに連絡を取ろう。
執筆=青木 恵美
長野県松本市在住。独学で始めたDTPがきっかけでIT関連の執筆を始める。書籍は「Windows手取り足取りトラブル解決」「自分流ブログ入門」など数十冊。Web媒体はBiz Clip、日経XTECHなど。XTECHの「信州ITラプソディ」は、10年以上にわたって長期連載された人気コラム(バックナンバーあり)。紙媒体は日経PC21、日経パソコン、日本経済新聞など。現在は、日経PC21「青木恵美のIT生活羅針盤」、Biz Clip「IT時事ネタキーワード これが気になる!」「知って得する!話題のトレンドワード」を好評連載中。
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