ビジネスWi-Fiで会社改造(第44回)
ビジネスWi-Fiで"学び"が進化する
公開日:2017.05.19
去る4月11日、マイクロソフトが「Windows Vista」のサポートを終了した。2014年4月に「Windows XP」のサポートが終了した際には、まだ使い続けていたユーザーが多かったため、大きな話題になった。それに比べると、今回はそれほどの騒ぎになっていない。
だがWindows Vistaに続き、「Microsoft Office 2007」も来る10月にサポートを終了する。OSやアプリケーションをはじめとするソフトウエアのサポートとは何か。サポートが終了するとはどういう事態なのか、どう対応するべきかを確認したい。
マイクロソフト製品といえば、誰しも思い浮かぶのはOSであるWindowsと統合オフィスソフトウエアのOfficeだ。Windowsはパソコンを使う上で、Officeは特に業務を行う上で、なくてはならない存在だ。
OSやアプリケーション、ハードウエア付属のファームウエアなど含め、コンピューター機器を動かすソフトウエア製品は、基本的にバグやセキュリティーホールなどの不具合の修正、あるいは新機能提供のため、開発会社から日々アップデートプログラムが提供される。
こうしたアップデートプログラムの提供は、製品の使い方・機能に対する情報の提供、新機能のリクエストや問い合わせへの対応、補償サービスなどとともに、開発会社の重要なサポートサービスの1つでもある。
ユーザーは、開発会社から提供されたアップデートを適用して、パソコンのソフトウエアを常に最新の状態にしておくのが望ましい。アップデートを怠ると、セキュリティーホールを悪意ある者に突かれるなどで、不具合が起きたり情報を盗まれたり、新たなる犯罪の踏み台にされたりする危険性があるからだ。アップデートを怠って起きる被害は、ユーザー側の責任にもなりかねない。だから、欠かさずアップデートを行う必要がある。
ソフトウエアをはじめとするコンピューター製品に関しては、いつまでも無限にサポートサービスが提供されるわけではない。同じ分野で新しい製品が発売されれば、それまで使っていたものは旧製品になる。旧製品は、販売の停止、サポートの打ち切りなど、一定のライフサイクルで終息していく。
マイクロソフトのサポートは、基本的に製品発売後10年間提供される(過去、XPなど使い続けるユーザーが多数い続ける場合などは、特別に延長される事例もある)。最初の5年間は、新機能や仕様変更、バグ修正やセキュリティー更新プログラムなどが提供される「メインストリームサポート」期間。簡単にいうと、本当の意味での“製品の現役期間”はこの5年間とも解釈できる。
残る5年は、セキュリティー更新プログラムだけが提供される「延長サポート」期間。新機能や仕様変更の提供は終了し、安全を保つのみの“現状維持期間”に当たる。この5年間は、新製品に移行するための猶予期間と捉えられる。
今回取り上げたWindows VistaとOffice 2007は、今年で発売10年、つまり、猶予期間といえる延長サポートも切れる。事態はかなり深刻だと考えるべきだ。それぞれについて、詳しくはマイクロソフトのサポート期間に関する説明(Windows Vista)とサポート終了に関する説明(Office 2007)を参照しよう。
延長サポート終了後は、新たな脆弱性が発見されても更新プログラムが提供されない。そのまま使い続けると、情報漏えい、マルウエアや未知のウイルスへの感染、システムの破壊、なりすましなど、多大な被害の可能性が生じる。
なお、サポートが終了しても、すぐに被害に遭うとは限らない。だが、サポート終了製品を使い続けるリスクを認識して、すぐにでも移行を実現したほうがよい。
情報処理推進機構は、2月10日に「延長サポート終了を控えるOffice 2007およびWindows Vistaの速やかな移行を」という声明を発表、注意を促している。
機器やソフトウエアにかかる予算の確保、インストールやデータの移行作業、新しい製品の運用ノウハウの習得など、確かにハードルは高い。ただ、会社や個人の信用失墜や、損害とその賠償などのリスクを考えれば対応せざるを得ない。マイクロソフトをはじめ、各社が移行サービスを提供しているので探してみよう。
終了直前に慌てるのではなく、あらかじめソフトウエアのライフサイクルを見越して、対策を行っておくのが賢いやり方だ。Windows VistaとOffice 2007に続いて、Windows 7(2020年1月14日にサポート終了)とOffice 2010(2020年10月13日にサポート終了)もすでに延長サポート期間中に入っている。該当するパソコンがあれば今から準備をしておくとよい。
執筆=青木 恵美
長野県松本市在住。独学で始めたDTPがきっかけでIT関連の執筆を始める。書籍は「Windows手取り足取りトラブル解決」「自分流ブログ入門」など数十冊。Web媒体はBiz Clip、日経XTECHなど。XTECHの「信州ITラプソディ」は、10年以上にわたって長期連載された人気コラム(バックナンバーあり)。紙媒体は日経PC21、日経パソコン、日本経済新聞など。現在は、日経PC21「青木恵美のIT生活羅針盤」、Biz Clip「IT時事ネタキーワード これが気になる!」「知って得する!話題のトレンドワード」を好評連載中。
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