IT時事ネタキーワード「これが気になる!」(第19回) 実録!Facebookアカウント乗っ取りから復活まで

脅威・サイバー攻撃 IT・テクノロジー

公開日:2017.08.10

 最近、FacebookやTwitter、LINEなどSNSのアカウントを乗っ取って本人になりすまし、友だちにメッセージを送って詐欺行為やさらなる乗っ取りをするなどの被害が相次いでいる。実は筆者も最近、Facebookのアカウントが乗っ取られる憂き目に遭った。誰しもが被害に遭う可能性があるアカウント乗っ取り。その防止策と、実際に乗っ取られた際の心構えや対策を探る。

筆者を襲ったFacebookアカウント乗っ取りのいきさつ

 とある日、ショッピングセンターに車で着いたばかりの筆者に、1つ上の先輩から電話があった。筆者からおかしなメッセージが送られてきた、という連絡。早速スマホで調べようとした筆者に、ライター仲間のA子さんからメッセージ。Facebookが乗っ取られている可能性があるから確認したほうがいい、という内容だった。

 筆者が両者にメッセージを送った覚えはない。ということは、筆者のアカウントでFacebookにログインしてなりすまし、メッセージを送ったやからがいる。いわゆる「アカウント乗っ取り」だ。

 こうしたアカウントの乗っ取りで一般的なのは、何らかの手段でアカウント(主にメールアドレス)を入手、アプリなどでパスワードを解析してログインする方法だ。最新のアプリを使えば、英数字大文字小文字を混ぜた8桁以上のパスワードも、ものの数十秒で解読されてしまう。いくらパスワードを強固にしても、定期的に変えていても、乗っ取りに遭う可能性はある。

 最近は、流出したメールアドレスとパスワードの組み合わせを使い、SNSへのログインを試みる手口も横行しているという。そっくりな偽のログイン画面に誘導してアカウント情報を入力させて盗むという手段もある。注意が必要だ。

友だちに片っ端からメッセージを送られる

筆者のアカウントが乗っ取られた際、友だちに送られたメッセージ。なれなれしく、言い回しも怪しい

 送られたメッセージは、コンビニで金券を買ってきて番号を教えて、という内容と、ケータイを無くしたので代わりに認証を行ってほしい、電話番号を教えてほしい、という2種類だった。携帯電話やお財布など大事なものを無くして緊急事態に陥っているように装い、友人の親切心に付け込んでいる。

 金券うんぬんは明らかな金銭詐欺。電話番号やメールアドレスを聞いてくるのは、LINEなどSNSアカウントのさらなる乗っ取りをもくろんでいる。認証の代行なら、本人からメアドや電話番号を知らせてくるはずだが、メアドや電話番号を聞いてくるのはおかしい。

 Facebookの友だちには、親しい友人から果ては仕事で関係のある人、ちょっとした知り合い、親戚や家族など、関係も親密度も多岐にわたる。日常的にメッセージをやり取りしている親しい間柄なら、つい信じてしまう可能性もある。

早め短めでの対策が被害を最小限に抑える

 その後の筆者だが、スマホからFacebookにログインしてみたら、パスワードが違っていると言われ、入れない。何者かが筆者のメアドとパスワードでログインし、パスワードを変えて本人が入れないようにしたと思われる。

ログインしたらパスワードを変更。さらに「他の端末からログアウト」を行うのが有効だ

 そこで有効と思い、選択したのが「パスワードを忘れた場合」。Facebookなら、メールアドレス(または電話番号)を入力。するとパスワードをリセットするためのコードがFacebookに登録されたメールアドレスに送られる。送られてきた6桁のコードをアプリに入力、新たなパスワードを作成してログインする。

 ログインしたらまずパスワードを変更(今回は変更して入ったのでOK)、次に「ログインしている他の端末をログアウト」を行う。サービスには、たいてい端末管理メニューがあるので、探して操作を行おう。

 そのときには、画面には「ログインしている他の場所からログアウトすることができます」と表示されるので、続いて「他のデバイスからログアウトする」を選ぶことで、「他の端末から強制ログアウト」が実現した。

 この操作で犯人の端末は強制的にログアウト、(パスワードは変更しているので)二度とログインできなくなる。このFacebookの仕様は、手っ取り早くてありがたい。

 その後はタイムラインに「乗っ取りに遭ったのでメッセージに答えないでほしい」とまず書き込んだ。さらに、メッセージを送られた友だちそれぞれにメッセージで対処を行った。

 これらの操作で、メッセージが送られたのは、友だち数百人中30人ほどにとどまった。最初は「家に帰ってからパソコンで対策しよう……」などと思っていたので、すべての友だちにメッセージが送られていたかもしれず肝が冷えた。とにかく、早め短めの対処が重要だと実感した。

二段階認証が有効。人間関係を壊さないためにも、ぜひ設定しておこう

 Facebookをはじめ、サービス全般の乗っ取り対策で一番有効なのは、SNSや各種サービスで行っている「二段階認証」だ。アカウントとパスワードによる単体のログインに加え、特定の端末での操作を要求、2つがそろって初めてログインできるという仕組みで、めったなことがなければ本人以外ログインできない。ログインは多少面倒にはなるが、安全には代えられないので、ぜひ設定しておこう。

 筆者の場合、GoogleやApple、マイクロソフトなど、主なサービスは二段階認証をオンにしていたが、Facebookは設定を怠っていた。これをオンにしていたら、たぶん今回の乗っ取りはなかったと後悔この上ない。

 現在、人間関係においてSNSは不可欠ともいえる。今回の乗っ取りのようなことは身近な問題だ。ぜひ対策を行い、被害に遭った際には早めの対処を行おう。

執筆=青木 恵美

長野県松本市在住。独学で始めたDTPがきっかけでIT関連の執筆を始める。書籍は「Windows手取り足取りトラブル解決」「自分流ブログ入門」など数十冊。Web媒体はBiz Clip、日経XTECHなど。XTECHの「信州ITラプソディ」は、10年以上にわたって長期連載された人気コラム(バックナンバーあり)。紙媒体は日経PC21、日経パソコン、日本経済新聞など。現在は、日経PC21「青木恵美のIT生活羅針盤」、Biz Clip「IT時事ネタキーワード これが気になる!」「知って得する!話題のトレンドワード」を好評連載中。

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