IT時事ネタキーワード「これが気になる!」(第50回) まだ間に合う「キャッシュレス還元」徹底活用術

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公開日:2019.10.24

 2019年10月1日から、消費税および地方消費税の税率が10%に引き上げられた。筆者も増税前の9月中にいろいろな買い物をしておいたが、いざ10月になったら、買い物をするたび、本体価格と実際の支払額の割り増し感を実感する今日このごろだ。

 消費増税とともに、軽減税率制度も施行されている。例えば外食や酒類を含まない飲食料品の消費税は8%。ショッピングモールのフードコートががら空き、といった現象も報道されている。フードコートで食べれば「外食」が適用され10%だが、テークアウトなら飲食料品の販売となり8%。それ故、フードコートで食べずに持ち帰る人が急増、ということらしい。

 さらに、このコラムの「忙しいアナタにピッタリ。スマホ決済を賢く使え」で、今年初頭あたりから普及しつつある、スマホを使った新しい決済サービスを紹介した。消費増税に伴い、2020年6月30日までの9カ月間、消費税率引き上げによる景気対策で、いわゆる「キャッシュレス決済」に対してポイント付与や還元を行うキャッシュレス・消費者還元事業も始まっている。

 10月以降の買い物のレシートを見ると、税込みと外税、税率10%と8%、さらにキャッシュレス還元などの項目がずらりと並ぶ。これはなかなか複雑だ。どう慣れればいいのかと戸惑ってしまう。

消費税アップ後の筆者の買い物レシート。なかなか複雑だ

「キャッシュレス還元 x 軽減税率」で増税前より安いと評判

 その一方で、軽減税率とキャッシュレス還元を合わせると、増税前より安くなる現象も起きている。

 実際に、9月中に米を買っておこうと思った筆者。いつもの通販ショップでは10月から新米を扱うとのことで、泣く泣く増税後に購入した。すると軽減税率適用(税率8%)で税率は変わらず、10月からのキャッシュレス・消費者還元事業の適用に加え、ショッピングサイトのキャンペーンで合計12%の還元、まさに増税前より安い現象に遭遇した。

 さらに、9月中にトイレットペーパーなどの紙類を買っておかず後悔していたが、10月5日にドラッグストアで紙類を購入。「PayPayで支払ったら20%還元」という文字。後で調べると「PayPayの日」という1周年記念のキャンペーンが適用されていた。

 このように軽減税率、キャッシュレス還元に、キャッシュレスサービスやショッピングモールのキャンペーンなどが加われば、かなりおトクなのが分かった。ただ、軽減税率は分かりづらい。またキャッシュレス還元は、2%と5%と2種類あるうえ、対象店舗はどこか。あと、どのキャッシュレスサービスがおトクなのか。キャンペーンはどう探せばいいのか。疑問は山ほど湧いてくる。

検索サイトやアプリを活用。よりおトクに利用する

 まずは軽減税率制度について、政府広報などで正しい知識を得るのが大切だ。政府広報オンラインの「消費税の軽減税率制度」にある、「対象品目はどのようなもの?」が分かりやすい。

政府広報の軽減税率制度ページの「外食」に関する事例。イラスト入りで分かりやすく説明されている
https://www.gov-online.go.jp/tokusyu/keigen_zeiritsu/taisyohinmoku/donna_gaishyoku.html

 キャッシュレス還元サービスについては、経済産業省の「キャッシュレス・消費者還元事業」の「消費者のみなさま」が参考になる。トップページ下の「キャッシュレスとは」で、電子マネー・プリペイドカード、デビットカード、クレジットカード、スマホが対象だと分かる。

 還元に関しては、コンビニや飲食チェーンなどのフランチャイズ店は2%、その他の中小規模の事業者が運営する店舗は5%。対象店舗は「CASHLESSマーク」を掲げているとあるが、あらかじめ「使えるお店を探す」から、近くの店舗を探しておくとよい。スマホアプリ(「ポイント還元」アプリ)をダウンロードしておけば、外出先でもすぐに対象店舗を探せて便利だ。

スマホの「ポイント還元」アプリによる対象店舗の検索結果

 通販サイトでクレジットカードやスマホ決済サービスを支払い手段に選べば、キャッシュレス還元の対象となる。還元対象の店舗を選んで購入するとよい。筆者もアマゾンで、5%対象の業者を選んで購入した。

 どのキャッシュレスサービスを利用するかは、「主要なキャッシュレス決済サービス」が分かりやすい。ここで普段、自分が利用する銀行やカード、その他サービス(ショッピングサイトや携帯キャリアなど)に近しいものを選ぼう。各社が行うキャンペーンは、公式サイトを参照するのが基本だが、情報をまとめたニュースやブログを見るのも効率的だ。そうそう、筆者の利用するPayPayは翌月20日前後の還元だが、LINE Payはポイントが即時還元され、すぐに使えて便利と感じた。

PayPayのキャンペーンページ。情報は日々新しくなるので、定期的にチェックしよう

 軽減税率とキャッシュレス還元は、情報収集と実践で理解を深め、“おトク”をつかみ取っていくとよい。家族や友だちと情報交換するのも有効だ。

 サービスには日々、新しい業者や店舗が参入する。キャンペーンも新しいものが続々と更新される。目先にとらわれず、時期を待った方がよい場合もあれば、即座に流れに乗った方がよい場合もある。2020年6月までの9カ月間、みすみす“おトク”を逃すことがないようにしよう。

執筆=青木 恵美

長野県松本市在住。独学で始めたDTPがきっかけでIT関連の執筆を始める。書籍は「Windows手取り足取りトラブル解決」「自分流ブログ入門」など数十冊。Web媒体はBiz Clip、日経XTECHなど。XTECHの「信州ITラプソディ」は、10年以上にわたって長期連載された人気コラム(バックナンバーあり)。紙媒体は日経PC21、日経パソコン、日本経済新聞など。現在は、日経PC21「青木恵美のIT生活羅針盤」、Biz Clip「IT時事ネタキーワード これが気になる!」「知って得する!話題のトレンドワード」を好評連載中。

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