ニューノーマル処方箋(第83回)
今さら聞けない「IPv6」と「IPv4」の違いを簡単に解説。仕組みやメリット・デメリットとは?
ビジネス環境の変化に応じて、ICT機器の更新や変更が必要になることもある。そうした経営判断を迫られる、IT初心者の社長にも分かりやすく理解できるようにITキーワードを解説する本連載。今回は、変更で電話対応の効率化が期待できる「クラウドPBX(ピービーエックス)」だ。
「社長、電話機がだいぶ古くなってきました。この機会を活用して『クラウドPBX』へ変更しませんか」(総務兼IT担当者)
「なに、DXだって? どうして電話機もクラウドに変更するんだ」(社長)
「申し訳ありません。DXではなく、PBXです。社内に設置している電話交換機のことです。これらをクラウド型に変更することでとても便利に使えるんです」
「おお、電話のDXというわけか。それで便利になるなら、興味があるな」
「PBX(Private Branch Exchange)」は、社内に設置する電話の構内交換機のこと。自社で設置し、電話回線を利用する従来型PBXに対し、クラウドPBXはインターネット経由で事業者がクラウド上で提供するPBXサービスを利用します。内線・外線の発着信、転送、保留などの機能に加えて、パソコンやスマホなどから発着信が可能になります。

クラウドPBXはインターネットを経由して内外線の発着信などを行う
Q クラウドPBXが注目される理由は何でしょうか。
主な理由としては、運用の柔軟性や利便性が挙げられます。例えば、クラウドPBXの導入によって社内の固定電話機の他、社外にいてもスマホやタブレットなどを用いて会社の電話番号で発着信することが可能になります。また、スマホを内線端末として利用することで外出中の電話取次の問題なども解消できます。これにより業務効率化や多様な働き方の実現にもつながります。
Q クラウドPBXには、その他にどんな特徴がありますか。
クラウドPBXは物理的な電話交換機が不要なため、初期費用を抑えられる可能性があります。また、社用スマホへの発信には内線通話が利用できるため、通信コストの削減にもつながります。
さらに、自然災害などでオフィスが被災したり、従業員が出社したりできない場合でも、クラウドPBXがつながっていれば通話できるため、BCP(事業継続計画)対策にも有効です。
Q クラウドPBXの留意点はありますか。
クラウドPBXの導入時には、従来使用していた電話機やネットワークの見直しなど、専門的な知識が求められます。また、オンライン会議ツールやCRM(顧客管理)などのアプリケーションと連携可能なクラウドPBXもあるため、音声通信やクラウドに知見のある事業者に相談するといいでしょう。
「クラウドPBXに変更するメリット、分かっていただけましたか」(総務兼IT担当者)
「スマホで内線通話できるのはいいな。電話代の削減にもなりそうだ」(社長)
「だからといって、不要な通話は控えてくださいね。取引先の社長と釣りの話題で長電話していることは、すでに把握していますので」
「なぜそれを......。君はなんでもお見通しなんだな」
※掲載している情報は、記事執筆時点のものです
執筆=山崎 俊明
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脱IT初心者「社長の疑問・用語解説」