ビジネスWi-Fiで会社改造(第44回)
ビジネスWi-Fiで"学び"が進化する
いまや先進技術の象徴といえるAI(人工知能)。SF映画の一場面のように、話しかけると調べものや記録をしてくれたり、機器の操作を行ってくれたりする。2年ほど前から登場した「スマートスピーカー」だ。スマートスピーカーにはAIアシスタントと呼ばれる人工知能が入っている。アマゾンの「アレクサ」、グーグルの「Googleアシスタント」、アップルの「Siri」が該当する。
筆者宅の居間にはアマゾンとグーグルのスマートスピーカーが置いてあるが、訪れた来客や友達がほぼ必ず「今日の天気は?」「歌を歌って」「何か面白いこと言って」などと話しかけるのが面白い。
最初はスピーカーの形をした製品ばかりだったが、声だけのやり取りは心もとないせいか、画面付きのものも増えてきた。このようなスタイルをスマート・ディスプレーと呼ぶ場合もある。
筆者宅のスマートスピーカー(アマゾンのEcho Show 5とグーグルのGoogle Nest Hub)。画面付きで、もはや「スピーカー」とは言い難い
筆者宅の玄関のコンセントに挿した「Echo Flex」。人感センサーを使ったアクションも可能で重宝する
アマゾンは、スマートスピーカー界をけん引する。最近発売されたコンセントじか挿しタイプのコンパクトな「Echo Flex」は、オプションのライトや人感センサーユニットを備えている。今までよりユニークな定型アクション(自動処理)を設定でき、可能性が広がった。
スマートスピーカーは音楽を流すのも主用途。音質はやはり重要だ。「Echo Input」は手持ちのスピーカーをアレクサ端末に変える。「Echo Studio」は、中に5つのユニットが入っていて、3D音楽が再生可能なスピーカーだ。アマゾンは秋からハイレゾ音楽配信サービスも開始する。
テレビに接続してプライム・ビデオなどを見られるアマゾンの「Fire TV」は、長く親しまれている端末だが、リモコンのボタンを押して話すとアレクサを利用できる。基本的にテレビに接続し、電源をオンにしないと操作できない。「Fire TV Cube」はFire TV機能の付いたスマートスピーカー、大型テレビのある居間で力を発揮しそうだ。
アマゾンのアレクサは、アマゾンのファイアー・タブレットのほか、iOSやAndroid端末用のアプリや、パソコン用のアプリで利用できる。なお、アマゾンはあらゆるものに「アレクサ」を搭載したいらしい。2019年9月21日の発表会では、上記のほか、車載用の「Echo Auto」、アレクサ搭載の電子レンジ、壁掛け時計が発表された。
筆者は昨年からスマートスピーカー対応の照明を導入した。声で操作したり、Echo Showの画面やスマホからも操作したりする。
大型店舗や通販で家電やIT機器を見ていると、パッケージや商品情報に「Work with alexa」「Work with Googleアシスタント」アイコンを見かけるようになった。
パッケージに付いた「WORKS WITH alexa」「works with Googleアシスタント」アイコン
秋にエアコンが壊れて買い替えたら、パッケージに上記のアイコンが付いていた。スマートスピーカーに話しかけるだけでオン/オフや温度調整が可能なほか、「今どういう設定で動いてる?」と確認できるのも便利。アレクサ対応のライブカメラをペット用に設置したが、「カメラを見せて」と言うだけで、Echo Showの画面で確認できる。
アレクサ対応のアンプも導入した。「〇〇の音楽をかけて」とEchoに話しかけると自動的にアンプの電源が入り、オーディオシステムから音楽が流れる。音量調節、次曲への送り操作、曲やアーティストの指定も、スマートスピーカーに話すだけ。
早く搭載できたらいいなと思うのは自動車だ。運転中は手が塞がるから、便利そうだ。よくスマホのGoogleマップのカーナビ機能を使うが、ついでにGoogleアシスタントに「今の温度は?」「近くにコンビニある?」「〇〇の音楽を流して」と話しかけている。車に直接、搭載されれば、窓やドアの開け閉めから、カーナビや空調の操作、燃料・オイル・計器類のチェックまで行えてスマホより格段に便利だろう。米国やヨーロッパではすでに実現しつつある。日本でも早く普及して、しかも高級車だけでなく庶民も気軽に利用できるようになればいいなと思う。
IoTではセキュリティが課題となっている。スマートスピーカーも例外ではない。以前、アマゾンのスマートスピーカーが夫婦の会話を勝手に録音して知人に送信したニュースが話題となった。スマートスピーカーが聞き取った会話を、アマゾンが従業員に解析させている話題も取り沙汰された。
そのあたりは、アマゾンの「プライバシー設定」の「Alexaデータを管理する」から、履歴の利用をオフにしたり、録音を自動的に削除する設定にしたりすれば解決する。だが、この設定ができるのは、会話が録音して送信されている事実の証明ともいえる。
好みを把握してくれるのは便利さにつながるが、その情報がどこで利用されるか分からないのは不気味だ。そこはよく理解して使いたい。
とはいえ、近未来生活を実現するスマートスピーカーは便利なので、興味があるなら使ってみてほしい。機器を買わずとも、スマホやパソコンのアプリで無料利用できる。ただし、スマートスピーカーはまだ生まれたばかりの端末。どこに落とし穴が生じるか分からない。常に情報をチェックしながら、便利に使っていこう。
執筆=青木 恵美
長野県松本市在住。独学で始めたDTPがきっかけでIT関連の執筆を始める。書籍は「Windows手取り足取りトラブル解決」「自分流ブログ入門」など数十冊。Web媒体はBiz Clip、日経XTECHなど。XTECHの「信州ITラプソディ」は、10年以上にわたって長期連載された人気コラム(バックナンバーあり)。紙媒体は日経PC21、日経パソコン、日本経済新聞など。現在は、日経PC21「青木恵美のIT生活羅針盤」、Biz Clip「IT時事ネタキーワード これが気になる!」「知って得する!話題のトレンドワード」を好評連載中。
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