オフィスあるある4コマ(第66回)
突然現れた不審な車
公開日:2026.10.16
Microsoftは2026年8月末ごろから、個人向けと職場・学校向けのCopilotを1つのアプリで利用できるようにする統合を進めている。アプリの入口が共通化され、利便性は高まる。一方で、利用するアカウントによって使える機能やアクセスできるデータは異なり、一部の機能やデータは引き継がれない。特に仕事と個人の両方でCopilotを利用しているユーザーは、アカウントの切り替えや情報の取り扱いに注意が必要だ。今回はCopilotアプリ統合の概要と変更点、利用時に気を付けたいポイントを解説する。
■目次
・MicrosoftがCopilotアプリを統合、利用環境はどう変わる?
・1つのアプリでも、使えるデータや機能はアカウントによって異なる
・統合で消える機能も、引き継がれないデータを確認しよう
・Copilotは1つになっても中身は別物、アカウントごとの違いを理解する
2026年8月末ごろ、「MicrosoftがCopilotアプリを統合する」というニュースが流れた。これは個人向けと職場・学校向けのアカウントで利用するCopilotを、同じアプリから使えるようにするという内容だ。
Microsoftの「個人、職場、学校アカウントのCopilotアプリの更新」によると、更新後のCopilotアプリでは、ユーザーが個人用アカウント、職場・学校用アカウント(以下、仕事用アカウント)、またはその両方でサインインできるようになる。アプリの入口は共通になるが、アカウント自体が統合されるわけではない。なお、仕事用アカウントの利用には、組織のセキュリティ、プライバシー、コンプライアンス、管理に関する設定が引き続き適用される。
展開時期は端末によって異なる。モバイル版(iOS、Android版)は8月中旬から世界各地で段階的に展開。Web版も8月中旬から順次展開(ロールアウト)、従来のURLは9月初旬から下旬にかけて新しいアクセス先へリダイレクトされる。PC版(Windows、Mac版)は9月中旬ごろから本格的な展開が始まっているという。
Microsoftは今後、チャット、共同作業、自律的なタスク処理、コード作成などを1つの画面に集める「AIスーパーアプリ」への発展を構想している。今回のアプリ統合は、その入口に当たる取り組みといえるだろう。
統合後の「Microsoft Copilot」アプリでは、個人用のMicrosoftアカウントと、仕事用のMicrosoft Entra IDアカウントを切り替えて利用できる。ただし、どのデータにアクセスでき、どの機能を使えるかは、サインイン中のアカウントや契約しているライセンス、組織の設定によって異なるという。
「個人用と仕事用のアカウントの主な機能の違い」は表1のとおりだ。
| 項目 | 個人用アカウント | 仕事用アカウント |
|---|---|---|
| 参照データ | Webの公開情報、個人のファイル | Web情報 + 社内データ全般 (メール/Teams/SharePoint等) |
| 得意な業務 | チャット、文章作成・要約、画像生成 | Teams会議の要約、メール作成、Office連携、社内横断検索 |
| データ保護 | 利用者本人が設定 | 商用データ保護(AI学習に使用されず厳格に保護) |
| 管理 | 利用者本人が設定 | 組織の管理者によるアクセス制御・ログ管理 |
「個人用と仕事用アカウントの主な機能の違い」(筆者作成)
ここで押さえておきたいのは、アプリが1つになっても、個人用と仕事用のアカウントは別々のままという点だ。入口は1つだが、個人データと会社のデータが混ざったり漏えいしたりすることはない。職場・学校用アカウントに切り替えたときだけ、社内データの検索(Work IQ)や会議要約などの高度な機能が有効になる仕組みだ。ただし、仕事用アカウントで利用できる機能はライセンスの種類や組織の設定に左右される。
アプリの入口が1つになるのは便利だが、その一方で個人用と仕事用アカウントを切り替えて使う場面では、「現在、どちらのアカウントで作業しているか」を意識しておきたい。うっかり別のアカウントで操作してしまう可能性もあり、筆者としては注意が必要だと感じている。
アプリの統合に伴い、利用できなくなる機能や、移行時に引き継がれないデータがある。現在使っている機能が該当しないか、あらかじめ確認しておきたい。終了する主な機能は表2のとおりだ。
| 機能名 | 内容・対策 |
|---|---|
| Group Chat | スレッド、メッセージ、コンテンツが新しいアプリに引き継がれない。残したいメッセージはコピーし、画像はダウンロードしておく |
| ポッドキャスト作成機能 | Copilotの「ポッドキャスト」作成機能が終了。作成済みのポッドキャストには今後アクセスできなくなるため、必要なものはライブラリからダウンロードしておく |
| Deep Research(個人向け) | 個人向けCopilotアプリの「Deep Research」も終了する |
「Copilotアプリ統合に伴い終了する主な機能」(筆者作成)
前述のとおり、個人用と仕事用のアカウントは別のアカウントとして扱われ、仕事用アカウントには組織による管理や保護の仕組みが適用される。だが、それだけで入力ミスを防げるわけではない。個人用アカウントで利用していることに気付かないまま、会社の機密情報や顧客情報を入力してしまう懸念がある。システムの設計だけでは、こうした操作ミスを完全に防ぐことは難しいというのが、この統合における最大の懸念事項だ。
対策の1つとして考えられるのは、会社のPCでは仕事用アカウント、私物の端末では個人用アカウントというように、利用する端末やアカウントを、会社や自分なりのルールに沿って明確に使い分ける方法だ。同じ端末で個人用と仕事用を切り替えて使う場合も、入力前に現在のアカウントを確認する習慣を付けたい。なお、業務データの入力については、所属先の利用規則に従うことが前提となる。
今回のアプリ統合は、Microsoft 365の有料ユーザー(個人用/仕事用)だけに限った話ではない。Copilotを無料で使っている個人用アカウントも対象となり、アプリやWeb版のアクセス先が変わる。無料ユーザーでGroup Chatやポッドキャストを利用していた場合は、引き継がれないデータがないか確認が必要だ。
個人では無料版を使い、業務では仕事用アカウントを使うユーザーも多いだろう。同じアプリで切り替えられるようになると便利な反面、どちらのアカウントで使っているかを意識する場面が増える。自宅で仕事をする際などには、十分注意を払いたい。
こうしたサービスの統合は、Copilotだけでなく、他のサービスやアプリでも今後十分に想定される。提供側にとってはコストや手間を省けるうえ、利用者にとってもインターフェースが1つになり、分かりやすくなるというメリットが考えられるためだ。
サービスの入口や機能が変わるときは、更新内容だけでなく、使えなくなる機能、引き継がれないデータ、アカウントの扱いを確認しておきたい。必要なデータは、アクセスできるうちに保存しておく。仕事で使う場合は、個人用アカウントに業務情報を入力しないよう、会社のルールも確かめておきたい。
職場では、情報システム担当者が変更点と利用ルールを利用者に伝えることも大切だ。段階的な更新(ロールアウト)では、全員の画面が同じ日に切り替わるとは限らない。新旧の画面が混在する期間も想定し、アカウントの確認方法をあらかじめ案内しておくと、操作ミスを防ぎやすくなる。端末の共有や管理について、社内での運用が難しい場合は、外部の管理サービスを活用する方法も選択肢の1つだろう。こうしたアプリの統合には、今後も慎重に対処していきたい。
影響があります。アプリの名称やアイコンが刷新され、Web版のアクセスURLも、新しいURL(copilot.cloud.microsoft)に順次移行されます。また、「Podcasts」機能や「Group Chat」など一部の無料提供機能が終了・整理されています。ただし、AIチャットや文章作成、画像生成といった基本機能は引き続き無料で利用できます。
システムの設計上、個人データと会社のデータ領域は厳格に分離されているため、データが自動的に漏えい・混在することはありません。ただし、切り替え操作が簡単になる分、社員が個人用アカウントにログインしたまま誤って会社の顧客情報や機密データを入力してしまうという運用上のミス(誤操作)がリスクとなります。そのため「業務上の入力やデータ共有は、会社が認めた仕事用アカウントと利用方法で行う」などの運用ルールを定め、周知・徹底させておくことが重要でしょう。
アプリの更新やウェブサイトのリダイレクトは基本的に自動で行われるため、ユーザーが個別に移行操作をする必要はありません。ただし、旧アプリで提供されていた一部の機能が終了・変更されているため、該当機能を使っていて残したいデータがある人は、終了前に保存する必要があります。なお、社内の混乱を防ぐため、「画面左下のプロフィールから仕事用と個人用のアカウントが簡単に確認・切り替えできること」と、アカウント切り替えの際の注意点、社内ルールなどを、社内にA4用紙1枚程度の案内で周知しておくと安心でしょう。
※掲載している情報は、記事執筆時点のものです
執筆=青木 恵美
長野県松本市出身。独学で始めたDTPがきっかけでIT関連の執筆を始める。書籍は「自分流ブログ入門」「70歳からはじめるスマホとLINEで毎日が楽しくなる本」など数十冊。Web媒体はBiz Clip、日経xTECHなど。紙媒体は日経PC21、日経パソコン、日本経済新聞など。現在は、日経PC21「青木恵美のIT生活羅針盤」、Biz Clip「IT時事ネタキーワード これが気になる!」「知って得する!話題のトレンドワード」を好評連載中。
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