脱IT初心者「社長の疑問・用語解説」(第104回)
ぐるぐる回る? ネットワークループ
社内でネットワーク障害が起こった場合、どう対処すればいいか分からない。そんなIT初心者の社長にも分かりやすく理解できるようにITキーワードを解説する本連載。今回は、社内ネットワーク上でデータが転送され続け、障害を引き起こすリスクのある「ネットワークループ」だ。
「社長、昨夜から障害が起きていて、ネットワークにつながらなくなっています」(総務兼IT担当者)
「なんだって。原因は分かっているのか?」(社長)
「そもそも社内LANに接続できないので、ネットワークループが原因かもしれません」
「ループ?何かぐるぐる回っているのか?」
「遠からず近からず、といったところですかね......。LANスイッチへケーブルを誤接続した場合、データが転送され続けて障害が発生することがあるんです」
「なんだか小難しくてよく分からないな。もっと詳しく説明してくれるか?」
ネットワークループとは、スイッチングハブなどのネットワーク機器間でLANケーブルが環状(輪)に接続されてしまう状態を指します。LANケーブルの誤配線によってループ状態になると、行き場のないデータが環状の経路内で延々と転送され続けます。結果的にネットワークが過負荷となり、ダウンする恐れもあります。
この事象はハブ増設時、ケーブル差し替え時に起こりやすく、スイッチングハブで起こる障害の原因の多数を占めているため、ケーブルの誤配線には注意が必要です。

ネットワーク内に環状の部分があると、ネットワーク全体で正常な通信ができなくなってしまう
ネットワークループはハブ増設やオフィスのレイアウト変更など、ケーブルの差し替えが必要な際に起こりやすい事象です。例えば2台のスイッチをLANケーブル2本でつないでしまったり、スイッチを増やしすぎて全体で見ると環状の経路が出来上がってしまったりと、ちょっとした配線ミスが障害発生の原因になり得るのです。
他にもオフィスの清掃中に誤ってLANスイッチのケーブルを抜いてしまい、あわてて同じスイッチのポートにケーブルを接続することで、意図せずループが起こることもあります。IT担当者しか立ち入れないような場所にあるサーバーとは異なり、スイッチはオフィスの各所に点在しています。そのため、こうしたミスが起こらないような仕組みが重要です。
ネットワークループによる障害が起こると、社内のほとんどの端末で動作が遅くなり、インターネットや社内サーバーに接続できないといった事態に陥ります。通信が完全に止まるというよりは動作が不安定な状態が続くので、業務継続に大きな支障を来します。
こうした症状が見られた際、ネットワーク機器のランプが付きっぱなしになっていたり、激しく点滅していたりする場合があります。障害の原因特定においては、まずそのような状態になっているスイッチやハブがないか点検するところから始めます。
ネットワークループを防ぐには、「人為的なミス防止」と「ミスが起きても障害発生を食い止める」対策が必要です。まずは配線図・構成図を作成し、変更があった場合には都度更新して常に最新の状態が分かるようにしておきます。加えて、ラックやハブ、ポートごとに目印を付けたり、スイッチの空きポートをふさいだりして誤配線が起こらないようにしましょう。また、IT担当者の許可なくハブやLANケーブルを増やさない、といったルールを社内に周知しておくことも重要です。
もし誤配線が起きてもループが起こらないよう、ネットワークループを検知して通信を遮断する機能があるスイッチに切り替えることも検討しましょう。
「社長、これをきっかけにスイッチを買い替えませんか。ループ検知機能が付いたものなら、障害発生を防げますし」(総務兼IT担当者)
「そういえば君、ネットワーク機器を買い替えたいと言ってたな。まさかこの障害、君が仕組んだんじゃないだろうな」(社長)
「まさか。きっと誰かのうっかりミスだと思われます」
「やれやれ......。君と話していると、結論の出ない会議のように堂々巡りで、まさにループ状態だよ」
※掲載している情報は、記事執筆時点のものです
執筆=山崎 俊明
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