ビジネスWi-Fiで会社改造(第44回)
ビジネスWi-Fiで"学び"が進化する
サブスクとは正しくは「サブスクリプション」(subscription)、英語で「予約購読」や「定期購読」という意味だ。定額の料金を支払うことで、製品やサービスを一定期間利用する形式をさす。
サブスクで分かりやすいのは、SpotifyやAmazon Music、Apple Musicなどの音楽サービス。月額980円など一定額を払い(広告が入る条件で無料、などの場合もある)、音楽が聴き放題になる。音楽がCDの購入からiTunesなどのオンラインストアからのダウンロード購入に変わったのもつかの間、最近はサブスク台頭で長年レコードやCD、オンラインで培ってきた、音楽を“所有する”行為から離れつつある。
そんなサブスク、最近はさまざまなジャンルに広がっている。以前は映画や連続ドラマを見るためにレンタルショップに足を運んだものだが、今はもっぱらオンラインサービス。アマゾンプライムやHulu、ネットフリックスなどが米国から入ってきて、サブスクが常識になってしまった。
パソコンのオフィスソフトが月額サブスクの「Microsoft 365」に移行し、フォトショップなどのアドビのクリエーティブソフトもサブスク形式となった。そんな折、Microsoftが、高品質なPCゲームがプレーし放題の「Xbox Game Pass for PC」をWindows 11とともに大きく掲げてきた。アップルは、音楽、ビデオ、ゲーム、オンラインストレージを総合した「Apple One」という総合サブスクを開始した。
サブスクサービスは、ブランドバッグ、アクセサリー、服などのファッションレンタル、ワイシャツ、美容室、カメラ機材、コンタクトレンズ、レンタルオフィス、コーヒーやBAR、ラーメン、自販機のドリンク、お酒やワイン、写真のプリント、自動車、ホテル、全国の貸家に住み放題、花、オンライン英会話レッスン、婚活、オンライン医療相談、ライブに行き放題など、さまざまなジャンルに広がっている。
最近盛んな数あるサブスクサービスの中で、話題なのがパソコンのサブスク(PCサブスク)だ。例えばとある法人向けPCサブスクには、機器の選定と調達、キッティング(IT機器の各種設定、ソフトウエアのインストールなどを行い、それぞれの環境に最適な状態にセットアップすること)、24時間対応のヘルプデスク、故障や交換時のオンサイト保守、破損や盗難に対する保険、不要なPCの回収とデータ消去、などがセットになっている。
パソコンなどIT機器を自前にすると、自由に使えたり、改造できたりするメリットはあれど、しばらくすると新製品が出てすぐに古さを感じてしまう。“資産”になってしまうのも会社としては少々面倒だ。買い替えるには費用がかさむし、廃棄にもお金がかかる。会社が自前で導入した多数のパソコンが、OSのサポート終了で一気に入れ替えが必要となるケースもあり得る。Windows 10のサポートは2025年までだが、そのときになって慌てたくない。
パソコンのメンテナンスやソフトのインストール、周辺機器の調達や設定は手間だ。社員一人ひとりの操作や使い方への問い合わせ対応やトラブル対応も煩雑で、その担当や担当ではないが詳しい社員への負荷も大きい。サポートを受けるにしても、特に最近は待たされるケースが多く、故障したパソコンへの対応に1カ月や2カ月かかるのもざらで業務に支障が出かねない。
PCサブスクなら規定の料金内でさまざまな問題が解決する可能性が高い。サポートが付いていれば、サポートデスクに質問し放題、故障や修理にも即対応で代替機器も用意してもらえる。契約期間を短めに設定すれば、常に新しい機器を使える。データの移行や廃棄も任せられるのを考えると、サブスク料金もお手ごろに思えてくる。
PCサブスクは、魅力的なサービスが続々始まっている状態だ。ウチダエスコ、スマート・アナリティクス、シネックスジャパンなどが提供しているPCサブスクサービスは月々3500円からという魅力的な価格だ。法人でのPCサブスクのメリットは想像に難くない。今後も盛んになっていくだろう。
一方、ゲーム向けのPCサブスクもある。「ゲーミングPC」という言葉も登場し、電器店で専用のコーナーも設けられるほど人気が高い。快適なゲームプレーには全体的に高い性能のパソコンが必要で、特に必須となる高スペックビデオカードは、近年品不足で奪い合う事態も起きるほどになっている。このようなパソコンは数十万円と高価だ。
背景にあるのは、コロナ禍でのオンライン対戦の盛り上がりだ。大流行しているのがPUBGやフォートナイト、エーペックスレジェンズなどのFPS/TPSゲーム。これらを代表とする高性能ゲームは、ゲーム専用機でもプレー可能だが、パソコンなら表示や反応などの性能が上げられ、プレーに有利になる。Windows 11も「高画質・高品質なゲームに有利」とうたわれている。
レノボの提供する「スグゲー」では、このゲーミングPCをサブスクにした。Microsoftの「Xbox Game Pass Ultimate」で100を超える高品質のゲームを遊び放題、ゲーミングに特化した「Legion Ultimate Support」で、PC初心者でもすぐにゲームが始められ、ゲームに関する質問にも24時間対応。高性能なデスクトップやノートパソコン7種類が用意され、ゲーミング専用キーボード、マウス、ヘッドセットなど本格的なアクセサリーも提供される。
大枚をはたいて買ったハードウエアが古くなり、さらなる買い替えを強いられる事態も避けられる。トラブル時にも強く、借りた機器が気に入らない場合は、買い替えよりもお手軽に違う機器に乗り換えられる。デメリットとしては、機器の選択肢の少なさや、返却時のデータ移行や消去、梱包や発送が面倒、などが挙げられる。個人向けのPCサブスクは少ないが、今後レンタルサービスが総合的なPCサブスクにグレードアップする可能性は高いと思われる。
PCサブスクの選ぶポイントは、とにもかくにもサポートや修理対応の内容だ。キッティングの有無、24時間可能な窓口か、オンサイト、センドバック、代替機器の貸し出しはどうか、契約終了時の対応、機種の入れ替えや周辺機器の提供、保障や保険など、サービス内容を比較したい。特にサポートやキッティングなどの付帯サービスは、提供されるノウハウに大きな価値がある。トラブルにも強く頼りになるサービスを選びたい。
レンタルサービスに軍配が上がるのは、機器の選択肢だ。使いたい機器や期間の自由度を重視するなら、購入、レンタル・リース、PCサブスクの順になるだろう。レンタル・リースは期間で大きく料金が違うので、シチュエーションに応じて細かく見積もりを取るなどして検討しよう。
さらに、パソコンを使用するにはOfficeなどのソフトウエアが必要だ。そうしたソフトウエアの用意についても確認しておきたい。なお、これらのサービス、機器の契約終了時や好きなときに買い取れる制度がある場合が多い。そうした買い取り制度の有無や内容も検討事項の1つといえる。
サブスクサービスは、さまざまなジャンルに広がっている。各自の環境やスタイル、用途や目的に応じて取り入れてみてはいかがだろうか。
執筆=青木 恵美
長野県松本市在住。独学で始めたDTPがきっかけでIT関連の執筆を始める。書籍は「Windows手取り足取りトラブル解決」「自分流ブログ入門」など数十冊。Web媒体はBiz Clip、日経XTECHなど。XTECHの「信州ITラプソディ」は、10年以上にわたって長期連載された人気コラム(バックナンバーあり)。紙媒体は日経PC21、日経パソコン、日本経済新聞など。現在は、日経PC21「青木恵美のIT生活羅針盤」、Biz Clip「IT時事ネタキーワード これが気になる!」「知って得する!話題のトレンドワード」を好評連載中。
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