ビジネスWi-Fiで会社改造(第44回)
ビジネスWi-Fiで"学び"が進化する
2020年5月25日に全国で緊急事態宣言が解除された。コロナ禍もいったん落ち着いたかに思えたものの、第2波ともいえるさらなる感染者増加が続く。まだまだ予断を許さない状況だ。
コロナは一筋縄ではいかず、長期戦が予想される。一時的にさまざまな活動を止めて短期間での撃退を図る流れではもはやない。「ウィズコロナ」といわれるように、感染防止対策を行いながら、できる限りの経済や生活レベルを維持できるよう、知恵を回すのが大切だろう。
在宅勤務やオンライン会議、手洗いやマスク、家で過ごす楽しみ、オンライン診療など、コロナで発見したメリットもある。そうしたものは積極的に取り入れて、さらなる快適さをめざしていければよいと思う。
コロナで“ニューノーマル(新常態)”になりつつあるもの5つを紹介しよう。私たち1人ひとりもこれらを意識して、コロナに気を付けつつ、生活や経済活動の向上を図る参考になればと思う。
コロナに対するワクチンや治療薬がない状況で、人々は出掛けずなるべく家にこもる、他人となるべく接しない、外出時はマスク着用、他人との距離を保つ新しい生活スタイルを受け入れざるを得ない。
コロナ感染対策でよく耳にする「ソーシャルディスタンス」。社会的距離を意味する言葉だ。コロナは無症状でもウイルスを保有しつつ、普通の生活を送っているケースもある。検査を行って陽性と判断されない限り、気が付かない間に人と接触して、感染もしくは重症化してしまうリスクは避けたい。
感染経路の1つである飛沫感染は、主にくしゃみやせき、会話によるしぶきを原因とする。しぶきが到達する距離は、くしゃみで3メートル、せきで2メートルという。厚生労働省の「新しい生活様式の実践例」では、「人との間隔は、できるだけ2メートル(最低1メートル)空ける」としている。これがソーシャルディスタンスの基本だ。
コロナ禍はまだまだ続きそうなうえ、コロナが収まってもインフルエンザをはじめとするほかの感染症も当然あり得る。感染症の予防は身体的距離の確保、マスクの着用、手洗いの3つが基本。これらの習慣は、コロナ後も続けるのが望ましい。
そうそう、厚生労働省から提供される新型コロナウイルス接触確認アプリ「COCOA」はスマホに入れ、動作させておこう。インストールしてBluetoothをオンにするだけなので簡単だ。これはすべての人が入れて意味のあるものになるので活用したい。
コロナによる外出禁止や外出自粛により、家で過ごす時間が増えた人が大半だろう。さらに、仕事もテレワークになれば、ほとんどの時間を家で過ごすことになる。
一人暮らしでも家族暮らしでも、長い時間家から出られないのはストレスがたまる。いさかいも起きやすくなる。「コロナ離婚」という流行語もあるが、トラブルは避けたい。これも「ウィズコロナ」でうまくやりたいものだ。
家族や気の合った友人、同僚などとおいしいものを飲み食いしつつの歓談は、今まで何よりの楽しみだった。筆者、このコロナ禍対策として、デリバリーやテイクアウト、お取り寄せなどで、おうちの食事を充実させた。さらに必要に応じてオンラインでチャットやビデオ通話、会議アプリなどを駆使して友だちとも歓談した。そうなると普段会えない遠くの知り合いとも会話できるなど、メリットや楽しさに気付いた。
オンデマンドビデオは、外に出掛けなくても家で好きな映画や番組を視聴できる。どのIT機器からも続きから見られて、まさに“おうち時間の友”だ。定額で見放題のサブスクリプションサービスがおトクでよい。アマゾンプライム・ビデオなど、テレビに付けるだけで簡単に視聴できるAmazon Fire TV Stickがしばらく品切れ状態で大人気だったのもよく分かる。ほかにも音楽やマンガ、電子書籍などサブスクサービスは多岐にわたり、「おうち時間」の大きな味方だ。
買い物も、ネット通販の利用が増えた。IT機器など特別なもの以外にも、日常の食材などもネットスーパーで頼めて重宝。通販は足を延ばしてあちこち歩き回らなくても物が買えるし、大きな物やかさばる物などは玄関先まで届くのがありがたい。
コロナ禍でのビジネス面の大きな変化は何といってもテレワーク(在宅勤務)。「脱・ハンコ。自由な働き方各省庁も新しい動き」でも触れた。テレワークなら通勤時間が省け、フレックス勤務などから自由な時間が生まれるほか、企業側は、交通費以外にもオフィスの維持費など多くのコストが削れる。わざわざ顔を合わせて行っていた出張や会議も、オンラインで済ませられることが多いと分かってきた。
コロナ後もテレワーク継続を表明する企業が続々だ。働き方の変化と捉えてよいだろう。ただしテレワークには課題もある。それはセキュリティ問題だ。自宅やコワーキングスペース、カフェなどから、無防備なネットワーク越しに無防備なIT機器から大事な企業データにアクセスする可能性がある。実際、会議アプリから流出した企業の機密データが高額で取引されたというニュースも報道されている。油断は禁物だ。
筆者、小さい頃「お金は誰が触ったか分からないから、必ず手を洗いなさい」とよく親に言われた。とはいえ、外出中はいちいち手を洗ってもいられない。そんなときに役立つのがキャッシュレス決済だ。スマホ決済はもちろんクレジットカードでも、多数の人が触れたお金よりはずいぶんとよい。
キャッシュレス決済ではお金を触らない以外にも、バーコードなど非接触で支払いが行われ、お金をやりとりする人との接触が避けられる。買い物で手持ちが足りなくて、ATMに寄るのはよくある話だが、キャッシュレス決済サービスの個人間送金機能を使えば、お金が足りないときに家族や友人に連絡して送金してもらえる。今後ニューノーマルになる候補といえる。
オンライン会議をはじめ、オンライン飲み会、オンラインライブなど、「オンライン〇〇」を最近よく聞くと思う。何事もオンラインで済ませられるならそれに越したことはない。仕事の会議や打ち合わせ、友人との歓談や飲み会をオンラインで済ませれば、リスクが少なくなる。
自宅などから振り込みや送金などが行える銀行のオンライン取引、公的手続きが行えるオンライン手続きなども、コロナ禍には有効だ。コロナがなくても出向かずに行えて忙しい人や手が離せないときに今後も役に立つだろう。
特筆すべきはオンライン診療だ(詳細は「コロナで注目。オンライン診療」を参照)。コロナ対策で門戸が広くなったうえ、導入する医療機関も増えた。コロナが収束しても、医療機関のない地域、外出が困難なお年寄り、体の不自由な人、さらに多忙な人が受けるオンライン診療のメリットは大きく、今後もニューノーマルとなる見通しだ。
コロナ禍を経て、ニューノーマルになりつつある5点を紹介した。狭い常識にとらわれず“真の価値”を見極める目をもって変化に対応し、新しい未来を作っていけたらいいなと思う。
執筆=青木 恵美
長野県松本市在住。独学で始めたDTPがきっかけでIT関連の執筆を始める。書籍は「Windows手取り足取りトラブル解決」「自分流ブログ入門」など数十冊。Web媒体はBiz Clip、日経XTECHなど。XTECHの「信州ITラプソディ」は、10年以上にわたって長期連載された人気コラム(バックナンバーあり)。紙媒体は日経PC21、日経パソコン、日本経済新聞など。現在は、日経PC21「青木恵美のIT生活羅針盤」、Biz Clip「IT時事ネタキーワード これが気になる!」「知って得する!話題のトレンドワード」を好評連載中。
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