脱IT初心者「社長の疑問・用語解説」(第93回) AIが手書き文字の識字率をアップ

自動化・AI

公開日:2025.09.25

 AIが身近になり便利な世の中になったと実感しているけど、その仕組みはいまいち分からない。そんなIT初心者の社長にも、分かりやすく理解できるようにITキーワードを解説する本連載。今回は、AIの活用で文字の認識精度が高くなった「識字率」だ。

「社長、最近のOCRAI技術が使われていて、識字率が高くなっているそうです。入力業務の効率化になりますし、わが社も導入しませんか」(総務兼IT担当者)
「式辞?入社式などのあいさつ文が効率化できるアプリでも出たのか」(社長)
「式辞ではなく、識字です。OCRの文字の読み取りに関係することです。識字率が高くなれば、手書き文字もAIが学習して正しくデータ化してくれるんです」
「確かに、くせ字だと読みにくいことがあるな。それも正しく読み取ってくれるなら、検討してもいいぞ。説明してくれ」

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文字認識精度の向上で業務効率化

 OCRにおける識字率とは、OCRの文字認識精度を意味します。AI技術を使ったAI OCRにより、くせ字などで書かれた手書き書類や帳票の文字も高精度で正しく認識できるようになっています。手書きやFAXで届いた伝票など、手作業で行っていた伝票の入力作業をOCRに置き換えることにより、入力ミスの削減やペーパーレス化、業務効率化が可能です。

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テクノロジーの進化によってAI OCRは手書き文字の識字率が高くなっている

Q AI OCRとはどのようなものですか。

 OCRは手書きの書類や帳票などをスキャナーでPDFファイルにし、そのファイル内の文字情報を電子データ化するものです。OCRの文字認識にAIのディープラーニング(特徴を自動的に抽出して学習する機能)を用いることにより、手書き文字も高い精度で認識可能です。

Q 識字率の向上により、どんなメリットがありますか。

 以前のOCRは手書きの伝票や帳票を認識することが苦手だと言われてきました。例えば、数字の「1」と「7」の区別がつきにくい請求書の場合、金額を誤って読み取る恐れもあります。識字率が高くなるとくせ字であっても精度よく認識できるため、入力時間の削減やチェック作業の短縮などにつながります。多くの人手を必要としていた作業の省力化が図れれば、業務負荷軽減も実現できます。

Q AI OCRの利用で留意することは何でしょう。

 AI OCRは、クラウドサービスとして提供されるケースが多くあります。このため、スキャナーで読み取ったPDFファイルをクラウドにアップロードしたり、AI OCRでデータ化されたファイルをダウンロードしたりするためのインターネット環境が必要です。

 また、RPAを用いて書類を作成したり、クラウドストレージに書類を保管して複数人で共有したりするなど、AI OCRとさまざまなクラウドサービスを組み合わせることでDXの実現にもつながります。自社の業務にどんなサービスが適しているのか、事業者に相談するといいでしょう。

AI OCRの識字率が向上し、便利に使えることを理解していただけましたか」(総務兼IT担当者)
AIが君のくせ字も識別できるようになるなんて、すごい時代になったもんだな」(社長)
「ちなみに、識字は英語でリテラシーと言うそうです」
「なるほど。それこそ社内のITリテラシーをさらに高めることも重要だな。ぜひ協力してくれ」

※掲載している情報は、記事執筆時点のものです

執筆=山崎 俊明

【MT】

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