• TOP >
  • 通信環境 >
  • Wi-Fi >
  • 中堅・中小企業のためのビジネスWi-Fi投資最適化ガイド

ビジネスWi-Fiで会社改造(第48回) 中堅・中小企業のためのビジネスWi-Fi投資最適化ガイド

Wi-Fi 働き方改革

公開日:2025.10.14

 ビジネスWi-Fiの導入は従業員の働き方を変えて業務を効率化し、さらには顧客満足度や企業イメージの向上につながる効果が期待できる。しかし、資金に限りがある中堅・中小企業にとってはコストをどう抑えるかが大きなポイントになる。どうやって初期導入の費用や追加費用、日々の運用コストを抑えるのが良いのだろうか。今回はビジネスWi-Fiのコストの適正化について考えてみたい。

資料DLバナー_Wi-Fi.png

回線選択から機器選定まで導入時の重要ポイント

 ビジネスWi-Fiを導入するための第一歩はインターネットに接続する回線の導入だ。選択する回線によって使い勝手に差が生じるうえ、工事費用や毎月の通信料金が変わってくる。また、支払い方法の違いはキャッシュフローにも影響を与える。

 通信回線の種類として代表的なのは光回線だ。通信速度が速く安定性も高いため、複数台で接続しても遅延することなく快適に使用でき、料金も手頃に設定されている。ただし、オフィスビルや店舗などで光回線が引かれていない場合には、物理的に光回線をオフィスや店舗に引き込むための工事が必要になる可能性がある。

 その場合には、工事の期間や費用について早めに見積もって手続きしておくべきだろう。賃貸物件の場合は、管理会社の許可なども必要で、通信事業者から事前の現地調査などを求められる場合もある。通常の工事は数時間で完了するが、屋内や屋外など現場の状況によってはさらに時間がかかり、工事費用も増えることがあるため注意が必要だ。

 次に検討すべきなのはWi-FiルーターやアクセスポイントなどビジネスWi-Fiを利用するための接続機器の選定だ。その際には、自社としてどのWi-Fi規格を採用するかが重要なポイントになる。

 Wi-Fiの規格は常に進化を続けており、現在の最新規格は2024年に本格的に始動されたWi-Fi 7だ。2.4GHz5GHz6GHzという3つの周波数帯域に対応し、高速化や低遅延が実現されている。ただし、最新の規格だからと安易に採用すると、トータルの保有コストが膨らんでしまうという落とし穴に陥る可能性がある。

最新の機能面だけではなくトータルなコストを考えよう

 最新のWi-Fi規格であるWi-Fi 7の最大の特徴はその高速性と低遅延性にある。これは2.4GHz5GHz6GHzという3つの帯域に対応し、マルチリンクオペレーション(MLO)という技術が使われていることが大きい。1つの機器に対して3つの帯域を同時に使用することで、通信の混雑を緩和して高速化を図り、安定した通信環境を提供できる。

 実際に理論的な最大速度はこれまでの規格を大幅に上回っている。一度に送れるデータ量を増やす最大チャネル幅が2倍になり、最大速度はWi-Fi 6では約9.6Gbpsが最大値だったが、Wi-Fi 7では約46Gbpsとなる。実に5倍近い速度向上が実現されている。

 ただし、いくつかの落とし穴がある。まずWi-Fi 7に対応している機器がまだ少ない点だ。業務用ルーターやアクセスポイントはもちろん、Wi-Fiを利用するパソコンなども対応している機種はまだ限られている。さらに対応しているパソコンは最新のハイエンド機種に絞られるため、Wi-Fi 6対応の機種より価格が高くなりがちだ。

 一方のWi-Fi 6であれば業務用ルーターでもアクセスポイントでもパソコンでも選択肢は豊富にあり、自社のニーズにあった機能や価格のものを選択できる。セキュリティ機能が充実している点も見逃せないポイントだ。選択肢の幅が広いことは、コストの適正化やセキュリティという観点からも高く評価できるだろう。

 また、実際に高速化、低遅延のメリットを引き出すという観点でもWi-Fi 7は無条件に優れているわけではない。高速化を可能にする要因はチャネル幅が大きくなったことだが、チャネル幅が大きいと電波障害につながる可能性が高まる。導入してみたら電波障害が発生して、期待していた通信速度が確保できないリスクも考慮すべきだ。

 とはいえ、最新の規格であるWi-Fi 7がもたらす恩恵は大きい。大容量の動画を扱う業種やゲーム開発など高速化のメリットを享受できる企業であれば、積極的に検討する価値がある。ただし、導入の際は専門家に相談するなどの慎重さも必要だろう。

 専門の通信事業者であれば通信回線や接続機器なども含めて自社に最適なプランを立案してくれ、レンタルやリースなどを活用することで初期費用を抑えることも可能だ。さらにアフターフォローも期待できる。目先の機能だけではなく、トータルな観点からビジネスWi-Fiの導入を検討することをお勧めしたい。

※掲載している情報は、記事執筆時点のものです

執筆=高橋 秀典

【TP】

あわせて読みたい記事

  • ビジネスWi-Fiで会社改造(第48回)

    中堅・中小企業のためのビジネスWi-Fi投資最適化ガイド

    Wi-Fi 働き方改革

    2025.10.14

  • オフィスあるある4コマ(第54回)

    口コミの力

    Wi-Fi

    2025.09.30

  • 脱IT初心者「社長の疑問・用語解説」(第92回)

    スマホでネットにつなぐ「テザリング」

    Wi-Fi

    2025.08.28

連載バックナンバー

ビジネスWi-Fiで会社改造