IT時事ネタキーワード「これが気になる!」(第86回) スキルやノウハウをネットで売買「ココナラビジネス」

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公開日:2021.11.16

 「coconala」(ココナラ)を皆さんはご存じだろうか。一時期、テレビCMなども盛んにやっていたので、名前ぐらいは知っている方も多いのではと思う。ココナラは、2012年7月に知識やスキルなどをワンコインで売買できるマーケットプレイスとして開設された。「得意を売り買い スキルマーケット」とうたい文句にあるように、スキルを気軽に売り買いできる日本最大級のサービスだ。利用者は21年5月時点で227万人に上る。

 ココナラの特徴をいうと、カテゴリからサービスを簡単に比較検討できるところ、サービス提供はすべてオンラインで完結するところ、購入・販売の際の金銭のやり取りはココナラが仲介し365日運営でサポートもあるところ、だ。

 今年9月、ビジネス利用に特化した「ココナラビジネス」が開始した。ココナラビジネスは、ココナラの中からビジネス利用に特化したサービスをラインアップし、チームで利用しやすい機能を搭載した購入専用の新たなプラットフォームだ。コロナ禍による非対面取引の増加や事業環境の変化で、ココナラのビジネス利用が大幅に伸びた背景がある。

ココナラビジネスの特徴。サービスや管理機能が充実

 ココナラビジネスは購入専用のビジネス向けアカウントで、ビジネス向けに特化した専用のプラットフォームを利用する。登録料・利用料は無料。アカウント切り替え機能により、「ココナラ」と「ココナラビジネス」を切り替えられる。

 ココナラビジネスはチーム利用に便利な管理機能が充実する。メンバーを招待し、チームメンバーのアカウント情報や利用状況・購入履歴を一元管理できる。メンバーごとの権限設定ができるのもうれしい。プロジェクトを作成することで、プロジェクト単位で購入取引の進捗管理や、情報共有するメンバーの設定、出品者とのやり取りをチームメンバーが見られる。発注や利用に関する疑問点はリアルタイムチャットや問い合わせフォームを通じて問い合わせられる。

 カード払いや銀行振り込みに加え、請求書払いや源泉徴収にも対応する。請求書・領収書のオンライン確認・発行も可能で、すべてがオンラインで完結し、効率的で経費節減にもつながる。

 ココナラビジネスの「ご利用事例」ページを見ると、あいおいニッセイ同和損害保険、東急株式会社、清水建設株式会社などと大企業が並び、利用効果が大いに期待できそう。コストが10分の1で済んだ、などの例もある。

相談できる窓口はあまた。窓口の探し方。国や市町村、民間も

 このコロナ下で、新たなアイデアやスキル導入の重要性が一層高まった。「こうしたい」「新たなジャンルに挑戦したい」「時代に合ったアイデアを取り入れたい」などの要望は、ノウハウ共有サービスを利用することで実現しやすくなる。ココナラやココナラビジネスには「相談」機能が充実している。ココナラの「すべての仕事・相談を探す」では、新規事業のイメージロゴや、ホームページの手直し、Twitterの代行など、さまざまな依頼や相談が並ぶ。「ITサポート・コンサル」では、「ソフトウエア開発についての相談承ります」「ITのお困りごと、相談に乗ります」などの提供者が並ぶ。

 「こうしたい」「これが困った」そんなとき相談先を持っているか、あるいはすぐに探せるかが事業規模を問わずこれからはカギになる。特にこのコロナ下ではテレワークやセキュリティなど、ITに関して相談ごとを抱える企業は多い。特に中小企業は、こうした問題を放置してしまってはいないだろうか。

 国や県、市町村にもたくさんの無料相談窓口がある。インターネットで「IT 相談」に「国」「大阪府」などと書いて検索すると各自治体の窓口が見つかる。自治体以外に、民間の窓口も豊富だ。ITに関する窓口なら、マイクロソフトが「日本全国 中堅・中小企業 IT よろず相談センター」を開設している。NTT西日本の「ICTお仕事悩み相談デスク」は心強い。NTT西日本はさらに、「テレワーク」「新しい生活様式」に関する窓口も開設している。ここでは企業はもちろん、家庭向けにオンライン授業やテレワーク、ステイホームの楽しみ方もサポートする。ココナラの盛況ぶりからも、「相談無料」「オンライン完結」が今後の流れになっていきそうだ。

オンラインのノウハウ共有が今後を左右

 オンラインで、より「はやい、やすい、うまい」が実現しつつある。ただしデメリットもある。例えばネット通販では実物を手に取って選べない。長らく続いてきたビジネスパートナーとのビジネスに比べ、どこの誰とも分からないオンライン上でのやり取りには不安がつきまとう。

 その点、名の知れた企業の運営する相談窓口は安心感がある。どんな時代になっても、対面でもオンラインでも、最終的には自分も相手も人間なのに変わりはないのは頭に入れておきたい。

 より簡単に、より安く、より速やかに要望を実現して生活やビジネスを軌道に乗せたい。みんながそれぞれのノウハウをもって、助け合い、共有し合うスタイルがこれからは主流になっていく。積極的に、ノウハウを共有できるサービスや困りごと相談窓口を活用していこう。

執筆=青木 恵美

長野県松本市在住。独学で始めたDTPがきっかけでIT関連の執筆を始める。書籍は「Windows手取り足取りトラブル解決」「自分流ブログ入門」など数十冊。Web媒体はBiz Clip、日経XTECHなど。XTECHの「信州ITラプソディ」は、10年以上にわたって長期連載された人気コラム(バックナンバーあり)。紙媒体は日経PC21、日経パソコン、日本経済新聞など。現在は、日経PC21「青木恵美のIT生活羅針盤」、Biz Clip「IT時事ネタキーワード これが気になる!」「知って得する!話題のトレンドワード」を好評連載中。

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