読書でビジネス力をアップする(第76回) 「時間を削って何をしたいか?」を問いかける名著

ビジネス本

公開日:2021.09.02

『超速』サンマーク出版
ウィル・デクレール著/バオ・ディン著/ジェローム・デュモン著/鹿田昌美翻訳

 仕事の生産性を上げる本です。必要なことは、整理、集中、加速の3つであるとし、それぞれを向上させるスキルについて、章を分けて解説します。

 ユニークなのは、3人の生産性オタクを自称する著者が、最高の方法を求めて、世中の300人以上のリーダーたちに、実践中のテクニックを尋ねて回ったという点です。有効な時間術の凝縮です。

 原書は、ビジネス書としては珍しく、仏で刊行されたものということです。ベストセラーになり、世界で読まれつつあります。そんなタイムハック本の決定版です。

 本書は、生産性向上に関するワザの数々をこれでもかというぐらい具体的に紹介してくれます。整理、集中、加速の3つに分類した上で解説していますので、読み手の事情に合わせて読むことができます。

 例えば、「整理」の章では「誠意を持ってNOを言う方法」、「集中」の章では「雑音をシャットアウトする方法」、「加速」の章では「パソコンにメールを整理させる」などのやり方を網羅しています。他にも「2分でできることはすぐやる」「メモは1つを使い続ける」「アイデアはすぐ書く」「タイムリミットを決める」「タスクに、はしごをかける」というふうに実践的です。

 読めば「なるほど」という内容ばかりで、すぐに実践したくなるはずです。本書のやり方を続ければ、今よりずっと多くの自由な時間が手に入るようになるはずです。

 というわけで、もっと仕事を効率化して自由な時間を手にしたい人、やりたいことがあるのでその時間を確保したい人、成功者の時間テクニックが知りたい人などにおすすめします。

時短をテーマにしたプロフェッショナルたちのエッセンスが詰まっている

 なお本書のテーマは「時短」です。私も自称「時短オタク」です。実際、時短に関する本もいくつか書いています。本書にはそんな私もうなる要素が満載です。広く取材しているだけのことはあります。

 かつて、会社に勤めている頃、時間効率の本を読みあさり、実践していました。そんな私を見た同僚たちは「あんなに窮屈に働きたくないものだ」と陰口をたたいていました。でも、私に言わせれば、窮屈さは皆無でした。私は、さっさと仕事を終え、好きなことを存分にやりたいと思っていたからです。そのために、会社の仕事はチャッチャと終わらせたかったのです。

 本書にある「空いた時間に何をする」には大きく共感しました。多くの人が、無目的に効率化を求めています。つまり「空いた時間に何をするか」考えずにスキルを学んでいます。その結果、スキルを身に付け、仕事を早く片付け、時間を作った結果、さらに別の仕事を上司から振られる人もいます。それでは、いつまでたっても早く帰れません。

 もちろん、会社の仕事最優先で「少しでも会社の仕事がしたい」とか「上司の歓心が買いたい」とかなら、それもいいと思います。そうでないなら、捻出した時間で「やること」を決めておくべきです。

 私の場合、当時は起業の準備でした。今は友人や家族と過ごしたり、読書、旅行に充てたりしたいです。人生は短いものです。仕事などさっさと終えて、存分に好きなことをやりたいものです。

 本書には、他にも共感できることが満載されていました。例えば、「時間割の作り方」や「優先順位の付け方」は、まさに私も実践しているやり方です。何より共感したのは「時間効率は人生を豊かにする」というメッセージです。結局、効率化は幸せになるためにやるのです。幸せがモチベーションだからこそ、効率化にも弾みがつくのだと思います。

執筆=藤井 孝一(ビジネス選書WEB)

ビジネス書評家、読者数5万人を超える日本最大の書評メールマガジン『ビジネス選書&サマリー』の発行人。年間1000冊以上の書籍に目を通し、300冊以上の書籍を読破する。有名メディアの書評を引き受けるほか、雑誌のビジネス書特集でも、専門家としてコメント。著書は『読書は「アウトプット」が99%』(知的生きかた文庫)のほか、『週末起業』など、累計50冊超、うちいくつかは中国、台湾、韓国でも発刊されている。

【T】

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