ビジネスWi-Fiで会社改造(第44回)
ビジネスWi-Fiで"学び"が進化する
会社に「残れる人」と「捨てられる人」の習慣
海老一宏 著
明日香出版社
仕事術の本です。会社の期待に応え、成果を上げながら、自らも成長する人材をめざします。それができれば、今の会社で出世することができ、他社からも声がかかるようになります。
反対に「会社の足を引っ張る社員」と思われてしまうと、出世は遅れ、処遇も改善しません。それどころか、どこかで「戦力外通告」をされ、会社から放り出されてしまうかもしれません。そうならないために、社員は「何を考え、何をすればいいのか」「どんな風に仕事や会社と関わればいいのか」――その辺りについて人材のプロが教えてくれます。
意外なことに「仕事ができる」と「使えない」人の差は、ほんのわずかということです。違いは、ちょっとした気遣いと努力、行動で決まると著者は言います。そのカギを握るのが、日々の習慣です。これを見直すだけで「会社に必要な人材」に変わることができます。それを、分かりやすく教えるのが本書です。
構成は「会社で必要とされる人」と「そうでない人」を対比して、何をすべきか、どう考えるべきかを、50の項目としてアドバイスしてくれます。人は、意識を変えるだけで与える印象を変えることができます。今は「足手まとい」でも、本人の意識さえ変われば、すぐに会社に不可欠な人材になることができます。
「今ひとつ、会社から評価されていない」と感じる方、「もっと、会社から評価されたい」と思う方はもちろん、自社の人材に不満を感じている経営者や幹部社員にも、一読をお勧めします。
本書は、会社に評価される人材になる方法を思考や行動の面から解説したものです。単に、仕事のやり方にとどまらず、顧客や取引先、上司や社長との接し方、人間性など、扱うテーマは広範囲です。全体的に、上司や人事部からでなく、社長からの評価を想定している印象を持ちました。理由は、著者の顧客の中心が、社長のそばで働く、エグゼクティブだからかもしれません。
そのため、大企業で働く人より、社員全員に社長が目配りする中堅・中小のオーナー企業で働く人に、しっくりくると思います。もちろん、大企業で働く人にも参考になるはずです。ただし、本書の内容には、一部古いと感じるところもあります。例えば「出世は飲み会で決まる」「お誘いには、すべて参加せよ」などは、さすがに私でも古いと感じます。
でも、経営者が古い価値観を持つなら、社員はその価値観に合わせざるを得ません。特に、オーナー企業は「会社=社長」です。出世も社長の価値観で決まります。時々、自社の社長の悪口を社外の人に吹聴する人がいます。本人は、そうすることで、評価されない自分を正当化しているのかもしれません。でも、止めたほうがいいと思います。
そういう人の印象は、相手にとっても最悪だからです。理由は、自分の立場を理解できていないからです。気に入らないなら、改善するなり、転職するなり、自分で会社を興すなり、すればいいのです。そのリスクも取らず、自分を採用してくれたことや、毎月給与をもらっていることに対する恩義を忘れ、悪口を言う人に、良い印象を持つ人がいるはずがありません。
と言いながら、私自身、このような考え方ができるようになったのは、自分が会社を経営するようになってからです。早いうちに本書のような書籍を手に取り、自分を客観視しておくべきだと思います。
執筆=藤井 孝一(ビジネス選書WEB)
ビジネス書評家、読者数5万人を超える日本最大の書評メールマガジン『ビジネス選書&サマリー』の発行人。年間1000冊以上の書籍に目を通し、300冊以上の書籍を読破する。有名メディアの書評を引き受けるほか、雑誌のビジネス書特集でも、専門家としてコメント。著書は『読書は「アウトプット」が99%』(知的生きかた文庫)のほか、『週末起業』など、累計50冊超、うちいくつかは中国、台湾、韓国でも発刊されている。
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