ビジネスWi-Fiで会社改造(第44回)
ビジネスWi-Fiで"学び"が進化する
頭を下げずに「時短」で商品を売る方法
五丈凛華著
サンマーク出版
営業の本です。ビジネスの現場、とくに営業の現場では当たり前とされている「おじぎ」をやめることで、短時間で物が売れるようになります。
営業というと、お客様にぺこぺことおじぎをするイメージですが、「だから売れない」と著者は言います。もちろん、本書で紹介されるテクニックは「偉そうにして、顧客の飢餓感をあおる」といった、小手先の話ではありません。お客様と対等な関係で、プロとしてお客様が抱える問題を解決しながら、商品もしっかり売って会社にも貢献する……そんな真の営業マンになる方法を教えます。
一般に、この手の本は、カリスマと呼ばれた優秀な営業マンが経験から導き出した本質論を紹介するものが大半です。「感謝を忘れず」「身だしなみを清潔に」など、きれいごとばかりでそれほど役立ちません。あとは、ベテラン営業マンが書いた「セールストーク集」や「ツールの活用法」「資料の作り方」など、細かいテクニックを列挙した本ばかりです。
その点、本書は誰にでも再現できるノウハウがまとめられています。「お客のタイプ分けとその攻略法」「お客の言いなりにならない7か条」「6つの時短販売テクニック」などは、すぐにでも使えます。最終章では“商人”への原点回帰を呼びかけ、品格のある本物の営業マンの姿を描きます。営業という仕事に対する、著者の誇りと愛さえ感じられます。
新米営業マンからベテラン営業マン、さらにマネジメント層にとっても目からうろこが落ちる内容です。一読をお勧めします。
営業というと、一般にはあまり人気のない職種かもしれません。確かに、会社からは目標数字を与えられ、日々数字に追われ、お客様にへつらいながら、奮闘しているイメージがあります。私も、サラリーマン時代は、ずっと営業でした。ですから、この仕事の大変さは身に染みてよく分かります。当時を思い出すと今も胃が痛みます。
ただ独立してからは、「あのとき営業をやっておいて良かった」と心から思います。なぜなら、独立して一番大事なのは売り上げだからです。サラリーマン時代に上司から鍛えられたことは、今の自分の財産になっています。実際、独立して成功する人には、営業上がりの人が多いです。
とはいえ、私は独立してからまともに営業活動をした記憶があまりありません。営業しなくても、お客様のほうから仕事を持ってきていただけたからです。それは、私が経営者である前に“先生”だったからだと思います。私の仕事はお客様に物を教えること。先生はそもそも生徒さんにへつらわないものです。
つまり主導権がこちら側にあるのです。本書でいうところの「おじぎをしない営業」をしていたのです。もちろん先生ですから、生徒の成功を心底願って行動するのが大前提です。仮に「今月は売り上げが欲しいから」という理由で、生徒に不必要なものを売りつければ信頼関係は一挙に壊れます。
先生の仕事は、会社の業績を伸ばす経営者の仕事と相反する場合もあるのです。そういう意味で、この手の仕事では業績や資金繰りに追われず、ゆとりを持つのが肝要になります。
そんな先生稼業の私が読んでも、「はっ」とさせられるくだりが本書にはたくさんありました。「愛ある熱き販売精神」などがその一つです。ビジネスに関わる人なら、ぜひ、読んでみてください。
執筆=藤井 孝一(ビジネス選書WEB)
ビジネス書評家、読者数5万人を超える日本最大の書評メールマガジン『ビジネス選書&サマリー』の発行人。年間1000冊以上の書籍に目を通し、300冊以上の書籍を読破する。有名メディアの書評を引き受けるほか、雑誌のビジネス書特集でも、専門家としてコメント。著書は『読書は「アウトプット」が99%』(知的生きかた文庫)のほか、『週末起業』など、累計50冊超、うちいくつかは中国、台湾、韓国でも発刊されている。
【T】
読書でビジネス力をアップする