ビジネスWi-Fiで会社改造(第44回)
ビジネスWi-Fiで"学び"が進化する
後悔しないこれからの働き方
佐々木常夫著
KADOKAWA
新しい働き方を考える本です。日本人の働き方が多様化しています。非正規雇用者は2000万人を突破し「限定正社員」などの、新しい働き方も制度化されつつあります。そんな時代にあって、これまでのように、会社や上司の言われるままにただ頑張るだけでは自分はもちろん、家族も幸せになれません。実は、そういう人材は会社からも評価されません。
しっかりしたキャリアを築きながら、家族を守り、家族と一緒に幸せになって、後悔しないビジネス人生を送るにはどうすればいいのか考えさせてくれる本です。
日本の社会は変わりつつあります。それなのに、頻繁な出張や会議、なかなか取れない有休や育休など、働き方は相変わらずのようです。しかも、それだけ働いても、日本の競争力はジリジリと落ちています。もちろん、雇われの身では変えられることも限られます。しかし、人生は一回きりです。後悔しないためには、どうするべきかを考えるべきです。時には“捨てる勇気”も必要です。
著者自身、東レに入社後、多難な家庭生活を送りながら、仕事でも実績を上げ役員に就任。さらに関連会社の社長になりました。その後、独立もされています。そんな著者のメッセージですから重みがあります。
長時間労働やこなすだけの仕事をしない。家族を犠牲にしない。平社員のままでいない。目標を1つに決めない……などは、いずれも説得力があると同時に希望が広がります。会社に勤めながら、今の仕事や働き方に疑問を感じている人や、将来に不安を感じている人は少なくないと思います。そういう人が読めば、ヒントと勇気が得られます。一読をお勧めします。
日本は、ここ数年中国には抜かれたもののGDPランキングでは世界3位なので、まだ豊かな国に思えます。しかし、1人当たりの購買力平価GDPランキングでは30位前後にすぎません。これは、アジアの中で香港や台湾よりも下になります。
最近は海外に行っても、物の値段が高いと感じることがあります。私が学生の頃は、日本の貧乏学生が海外では豪遊できました。今は、外国人が日本で豪遊しています。日本人と外国人の格差がなくなっているのです。もちろん、私たちは懸命に働いています。それでもこうした状況になっている一因は、働き方が無駄だらけだからではないかと思っています。事実、日本の労働生産性は、先進7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)の中では最下位、OECD(経済協力開発機構)平均も下回ります。
実際、職場を見渡しても、単なる慣習や付き合いで、意味のない会議をしたり、ダラダラ残業をしたりしています。今も、長時間労働や協調性が会社や上司に評価されるからだと思います。日本の職場の非効率さは、昔から指摘されていました。それでも我慢できたのは、日本が豊かで将来にも希望が持てたからです。だからこそ、目の前の理不尽なことを続けられたのです。
しかし、そういう時代は終わりました。それなのに、働き方だけが当時の非効率なやり方のまま残っているのです。例えば、雪が降って電車が止まっているなら、その間、家で仕事したほうがよほど効率的です。ですがそれは認められず、1分でも会社に早く着こうとする姿勢が評価されるようです。
会社の制度や慣習を個人で変えたり、上司の価値観を変えたりするのも難しいでしょう。それでも、個人が現行の制度の範囲でできることは、結構あると思います。例えば、残業しない、有給はすべて取得する、転勤は断るなど、権利の行使はできるはずです。その結果、上司や会社の評価が下がっても仕方ないと割り切る生き方もありだと思います。
結果、出世は遠のき、真っ先にリストラ候補になるかもしれません。そうなったらそれに備えればいいのです。当てにならない出世のために人生を棒に振るより、賢い選択かもしれません。
執筆=藤井 孝一(ビジネス選書WEB)
ビジネス書評家、読者数5万人を超える日本最大の書評メールマガジン『ビジネス選書&サマリー』の発行人。年間1000冊以上の書籍に目を通し、300冊以上の書籍を読破する。有名メディアの書評を引き受けるほか、雑誌のビジネス書特集でも、専門家としてコメント。著書は『読書は「アウトプット」が99%』(知的生きかた文庫)のほか、『週末起業』など、累計50冊超、うちいくつかは中国、台湾、韓国でも発刊されている。
【T】
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