読書でビジネス力をアップする(第6回) 世代論の教科書

ビジネス本

公開日:2015.10.27

日本初! たった1冊で誰とでもうまく付き合える世代論の教科書
阪本節郎著/原田曜平著
東洋経済新報社

 若者はおやじたちのことを分からない、おやじたちも若者の考え方が分からない……。そんな世代間のギャップを埋めるために、それぞれの世代がどういう背景でどういった考えを持っているのか解説した本です。

 企業の採用状況がよくないときには若者は“おやじたらし”にならなければなりません。部下との絆を深め、良いチームをつくっていくためにはおやじも“今の若者は分からん”などと嘆いていてはいられません。そういったコミュニケーションの教科書として構成されています。

 世代論を語る際は、どうしても書き手目線になりがちです。例えば著者がおやじ世代であれば、若者たちを語る際にどうしても“おやじ目線”になってしまいます。本書の特筆すべき点は、おやじ世代のパートはおやじ世代が執筆し、若い世代のパートは若い世代が執筆する共著の形をとっているところです。

 もちろん、「今どきの若いやつらは……」とか「どうせ○○世代の感覚は……」など、決めつけはよくないケースはあります。しかし、「世の中が複雑化・細分化している現代だからこそ、まずは大ざっぱに人間を分類して大枠をつかむことが、かつて以上に重要になっているのではないか」と著者は述べています。

 こうしたニーズに応える形で本書では現在20代前半から60代後半までを6つの世代にセグメントしています。当然、その世代に当てはまる自分の上司や部下を想像しながら読むことになるわけです。

 例えばバブル世代は「主導権が女性に移った」と書いてあります。バブル世代であっても「オレはバブリーな生活とは無縁だよ」という方もいるかと思いますが、そうだとしても主導権が女性に移ったということに関しては納得するのではないでしょうか。

企画提案のバックボーンとして有効

 2人の著者は広告代理店のそれぞれ研究所リーダーに当たる人物で、学者ではありません。ですから、各世代の分析においてもマーケティングの視点がふんだんに盛り込まれており、非常にビジネス書として実用的であるといえます。

 ビジネスでは、「消費行動が最近このようになってきたからこういう商品が必要とされるはずだ」というような提案の仕方をとることがあるでしょう。そんなとき、本書を参考にすると、世代による消費行動や考え方の違いを踏まえた上で、立体的な戦略を立てられる予感がします。

 例えば、「母娘」消費はマーケットが大きくビジネスチャンスになり得るといっています。この「母娘」をターゲットにした場合、狙うべきは母親。団塊世代・ポパイ・JJ世代の母親は、消費に消極的な団塊ジュニア世代の娘を“情報源”として活用し、積極的に消費行動を起こすからです。確かにショッピングモールで母娘が仲むつまじく買い物をする姿は、よく見られる光景です。娘が見立てた若づくりの服を、母親がどんどん買う様子は容易に想像できます。

 今はビジネスの対象層もビジネスチャンスも多様化し、細分化マーケティングも限界にきているといわれています。それを受け、本書の後半では「クロスジェネレーション」の視点で複数世代をつないでターゲティングすると、モノやサービスを売る際に効率的になると述べているのです。

 本書で紹介されている世代別の分析は、コミュニケーション活性化の助けにももちろんなりますが、それだけでなく企画提案のバックボーンとしても非常に価値があると思われます。手元に置いておけば、新規の発想に必要なヒントを与えてくれるのではないでしょうか。

【T】

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