ビジネスWi-Fiで会社改造(第44回)
ビジネスWi-Fiで"学び"が進化する
「畳み人」という選択
設楽悠介 著
仕事術の本です。経営者やリーダーたちのアイデアを実行可能な状態に設計し、着実に実行に移す人を「畳み人」とし、その魅力と具体的な仕事の進め方を解説します。
ビジネスで大風呂敷を広げる「風呂敷広げ人」に対して、そのアイデアを、風呂敷を畳むように実行することが「畳み人」の由来です。いわばリーダーの「名参謀」たちのことです。組織で本当に求められるのは、リーダーをサポートしながら、チームの先導役として、時にはプレーヤーとして、変幻自在に活躍する「畳み人」です。そんな人物になる方法が分かります。
著者は、幻冬舎で編集長や関連会社の役員を兼務してきた人です。カリスマ社長・見城徹氏や、編集者・箕輪厚介氏のアイデアを実行に移してきた経験を通して培った「畳む技術」を披露します。
著者は「やりたい仕事をする最良ルートは、畳む技術を身につけることだ」と断言しています。その失敗と成功の繰り返しから学んだノウハウが詰まっています。畳み人の魅力から、その仕事の仕方、仲間の集め方やマネジメント術までが紹介されていきます。各章末には、著者が「畳み人」に変貌する様子が、コラムとしてリアルに描かれています。
正直、ダイナミックでドラマチックなものではありません。でも、だからこそ、実践的で、一般的なビジネスパーソンにとっては役に立つノウハウだと思います。仕事のあり方や具体的な方法を学びたい人はもちろん、今の仕事にやりがいや働きがいが感じられない人、キャリア形成に悩んでいる人にもオススメします。
それにしても「畳み人」という言葉はもちろん、視点そのものが面白いと思いました。「リーダーシップ」に対する「フォロワーシップ」の考え方にも通じるものがあると思います。一般的には、偉大な経営者などいわゆる「広げ人」がもてはやされます。目立つし、格好いいからです。ビジネス書にもエンターテインメントの側面がありますから、彼らの本が支持されがちです。
しかし、「広げ人」のアイデアを形にする人たちがいるからこそ、「広げ人」は注目を集めることができるわけです。いわゆる仕事ができる人、重用される人は、むしろ「畳み人」であることが多いのです。
会社勤めをしていれば、普通は上司や経営者のアイデアを形にするのが仕事のはずです。そう考えると、身に付けるべきスキルは「畳み人」のスキルです。何より仕事を楽しむ上で大事なスタンスです。
もちろん、アイデアを連発し、誰かが形にしてくれるほうが楽しいという人も少なくないと思います。自分はそちらが向いていると思う人も多そうです。でも、面白いもので、立場が変われば変わるものです。実際、私の知っている「広げ人」たちの多くは、若い頃は優秀な「畳み人」として名をはせていた人たちです。
自分も、会社に勤めているときは「畳み人」でした。経営者になってからは、必要に迫られてアイデアを出さざるを得なくなりました。その際、大いに生きたのが「畳み人」時代の経験です。本書の著者も、別の場所では「広げ人」として活躍しているようです。つまり「畳み人」としての経験を積むことが「広げ人」になる上で大切なのです。
だから、いずれ「広げ人」として活躍したい人こそ「畳み人」のスキルを学び、経営を積むことです。アイデアの厚みが増しますし、気配りができる「広げ人」になれると思います。やりたい仕事ができていないという人は、将来の練習だと思って「畳み人」としての仕事を楽しんでください。本書は、そのために読む教科書として最適だと思います。
執筆=藤井 孝一(ビジネス選書WEB)
ビジネス書評家、読者数5万人を超える日本最大の書評メールマガジン『ビジネス選書&サマリー』の発行人。年間1000冊以上の書籍に目を通し、300冊以上の書籍を読破する。有名メディアの書評を引き受けるほか、雑誌のビジネス書特集でも、専門家としてコメント。著書は『読書は「アウトプット」が99%』(知的生きかた文庫)のほか、『週末起業』など、累計50冊超、うちいくつかは中国、台湾、韓国でも発刊されている。
【T】
読書でビジネス力をアップする