ビジネスWi-Fiで会社改造(第44回)
ビジネスWi-Fiで"学び"が進化する
教養としてのアート 投資としてのアート
徳光健治 著
クロスメディア・パブリッシング(インプレス)
アートの本です。というと「ビジネス書のカテゴリーではないのでは?」と思うかもしれません。しかし、本書は「アート」をビジネス、すなわち「投資」対象としても考えます。確かに、経営者の多くがアート作品を買っています。それは、お金の使い道に困った揚げ句の道楽ではありません。買えば値上がりする可能性があるのです。
また、先の見えない時代ですから、理屈よりも感性がポイントになります。その流れの中で、アート思考がビジネスの現場でも重視されるようになっているのです。
本書は、アート・ビジネスの実情を教えてくれます。例えば若手のアート作品なら、10万円くらいから買えるそうです。それが、将来、何倍にもなる可能性を秘めています。そんな知っているようで、知らなかったアートの世界を知ることができます。マーケットの実態から、価値のあるアートの選び方、買い方と注意点、楽しみ方までを紹介しています。
著者は、現代アートを取り扱い、日夜アートの啓発活動をされている方です。現場にいる著者いわく、日本のアートマーケットには、夜明けが近づいているそうです。
「投資」という視点で見れば、きっとアートも違って見えてきます。選ぶ際も、単に好き嫌いでなく、買った後に価値を生むかどうかを見極める必要があります。それを磨く情報がまとめられています。現代アートに興味のある人はもちろん、新しい投資対象を探している人、新しい時代に求められる思考法や教養を身に付けたいと考えている人にもオススメします。
本書では、アートを教養だけでなく、投資対象としても考えていきます。アートは、私も嫌いではありません。むしろ、好きなほうです。子どもの頃は、美術が一番好きな科目でした。しかし、大人になってビジネスの世界に入ってからは、アートな心を忘れていきました。今では、たまに美術館をのぞき、癒やされるくらいになっています。
意外なのが、経営者たちです。彼らの多くが今もアート作品に興味を持っています。自宅に招かれたりすると、訳の分からない抽象画やオブジェを見せられることがあります。いかにもアートとは縁遠く、お金と夜遊びとゴルフにしか興味のなさそうな経営者たちが、若いアーティストの作品を好んで買っている理由がふに落ちませんでした。
そして「よほどお金の使い道がないのだろう」と、勝手に思っていました。しかし、本書を読んで合点がいきました。彼らは投資対象として、アート作品にも手を広げているのでした。
金額も、手軽なものから始められるようです。もちろん、買えば必ず値上がるわけではありません。しかし、価値がゼロになるわけではありませんし、少なくとも手放すまでは楽しむことができます。また、感性を磨くことに役立ちそうです。これからは、人工知能やロボットが発達し、できることが増えていきます。人間は、自分たちにしかできないことを探す必要があります。
その1つが、オリジナルのアート作品を作ることです。しかし、それは簡単なことではありませんし、誰でも挑戦できることでもありません。
そこでもう1つ大事なことです。それは作品を楽しむことです。これも、アートに能動的に関わることです。日本では現代アート作品が、今なら割安に買えるそうです。チャンスかもしれません。アートを買うことで才能のある人が評価されるなら、それは大変な社会貢献といえます。資産を増やしながらその一端が担えるなら、アート投資に挑戦してみたいと、本書を読んで思いました。
執筆=藤井 孝一(ビジネス選書WEB)
ビジネス書評家、読者数5万人を超える日本最大の書評メールマガジン『ビジネス選書&サマリー』の発行人。年間1000冊以上の書籍に目を通し、300冊以上の書籍を読破する。有名メディアの書評を引き受けるほか、雑誌のビジネス書特集でも、専門家としてコメント。著書は『読書は「アウトプット」が99%』(知的生きかた文庫)のほか、『週末起業』など、累計50冊超、うちいくつかは中国、台湾、韓国でも発刊されている。
【T】
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