読書でビジネス力をアップする(第9回) 本を読む人だけが手にするもの

ビジネス本

公開日:2016.01.12

本を読む人だけが手にするもの
藤原和博著
日本実業出版社

 “読書”の本です。といっても、細かい読書法や速読術の本ではありません。「なぜ本を読むべきか」「読むとどんないいことがあるのか」など、主に読書の効能を教えてくれる本です。

 私たちは、子どもの頃から「本を読め」と言われてきました。しかし、その理由については、あまり理路整然とした説明がされていません。それを、元リクルート社のフェローで、杉並区和田中学校の校長先生も務めた藤原和博さんが教えてくれます。ビジネスと教育の両方の視点からの指摘なので斬新です。

 中でも「これからは、本を読む習慣がある人とない人で二分される階層社会であり、本を読まない人は生き残れない」という指摘には、はっとさせられました。本を読むことの魅力や意味、自分の人生にどう役立ったか、さらに読書が具体的にビジネス上のどんな力を育むのかを教えてくれます。

 さらに、読書習慣が身につく方法も書いてあります。校長先生時代に、本嫌いの子どもたちにも読書習慣を身につけさせたやり方ですから、本が苦手な人にも効果がありそうです。

 巻末には、著者のオススメ本も紹介されています。「ビジネスパーソンが読むべき本」「子どもを持つ親が読むべき本」「子どもに読ませたい本」という風に分類され、紹介されます。本が大好きな人はもちろん、読書はしているが役に立っている感じがしない人、読書の必要性は感じながら、あまり読めていない人にも、一読をお勧めします。

価値観が同じ人を引き寄せる

 読書離れが進んでいます。文化庁の「読書」に関する調査結果では、1カ月に1冊以上本を読む人は、半分しかいないそうです。

 本書で著者は、パチンコもケータイゲームもしなければ、4人に1人、読書習慣があれば8人に1人の人材になれると指摘します。さらに、読書で報酬の優劣さえ決まってくるとさえ言っています。これまでも、読書をすれば「知識が増える」「頭が柔らかくなる」「想像力が豊かになる」などとは言われていました。しかし、ダイレクトに「仕事ができるようになる」という指摘は斬新でした。

 さらに「コミュニケーションする力」「ロジックする力」「シミュレーションする力」「ロールプレイングする力」「プレゼンする力」など、具体的にどんな力がつくのかを解説してくれます。

 私も、読書は大好きです。ただ、私の場合、好きだから読んできただけで、効用など考えたこともありませんでした。仮に「有害だ」と言われても、読んでいたと思います。最近は、読書に関して執筆したり、取材を受けたりすることもありますので、一応、自分なりの答えは用意しています。ですが今も、「ただ、好きだから読んでいる」というのが本音です。

 一方、藤原さんは、今は大変な読書家ですが、かつてはあまり本を読まなかったそうです。だからこそ、その効用をきちんと説明できるのかもしれません。

 なお、当社の社員も読書家が多いのですが、別に採用時に読書習慣の有無で決めているわけではありません。同じ価値観の人を集めたら、結果的に読書好きが集まっただけです。

 このように、価値観が同じ人は引き寄せ合う傾向があります。一般に、成功者は読書家が多いといわれています。読書をして、彼らと価値観が共有できれば、出会う機会もおのずと増えそうです。もしかしたら、ビジネスをする上で大きな効用の1つといえるかもしれません。そんな気持ちで読み始めても、やがて本の魅力にはまり、いつか気づくと読書が習慣になっているのではないでしょうか。

執筆=藤井 孝一(ビジネス選書WEB)

ビジネス書評家、読者数5万人を超える日本最大の書評メールマガジン『ビジネス選書&サマリー』の発行人。年間1000冊以上の書籍に目を通し、300冊以上の書籍を読破する。有名メディアの書評を引き受けるほか、雑誌のビジネス書特集でも、専門家としてコメント。著書は『読書は「アウトプット」が99%』(知的生きかた文庫)のほか、『週末起業』など、累計50冊超、うちいくつかは中国、台湾、韓国でも発刊されている。

【T】

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