ビジネスWi-Fiで会社改造(第44回)
ビジネスWi-Fiで"学び"が進化する
人に頼む技術―コロンビア大学の嫌な顔されずに人を動かす科学―
ハイディ・グラント 著
児島 修 訳
徳間書店
コミュニケーションの本です。特に、誰もが苦手な「頼み事」を、簡単にしかも効果的に成功させる方法を解説する本です。仕事や日常生活に役立ちます。
「助けてほしい」「手伝ってください」という一言は、なかなか言えないものです。その理由を解明した上で、具体的にどうすれば頼めるのかを分かりやすく教えてくれます。
よくある著者の経験則ではありません。最新のモチベーション理論がベースです。コロンビア大学の心理学博士で、世界的ベストセラー『やってのける』の著者が、人に助けてもらう技術を解説します。
本書では、人が頼み事をしにくい理由を「頼みたい人」と「頼まれる人」の心理から解説しています。その上で、効果的な頼み方やダメな頼み方を、実験例を用いながら解説していきます。
構成は3部に分かれています。まず頼み事が難しい理由を解説します。第1部では「頼み事がなぜ気まずいのか」「頼んでも断られるだろうと思ってしまうのはなぜか」の心理を解明します。
それを受けて、第2部では、より実践的に、良い頼み方、ダメな頼み方を紹介してくれます。また、頼み事が抱える矛盾から、頼むためのステップ、やってはいけない頼み方などを紹介します。第3部では、人を動かす3つの力を紹介します。
具体的には、仲間意識を活用する、自尊心を刺激する、有効性を感じさせるの3つです。まさに心理学者の真骨頂です。頼み事を超えて役立つ内容です。本書で学べば、頼み事が楽になり、仕事が楽しくなるはずです。依頼が苦手な人、よく頼まれる人にオススメです。気持ちよく、上手に頼る人になれる実践的な1冊といえます。
確かに頼み事をするのは、嫌なものです。「自分から頼み事をするくらいなら、むしろされるほうがマシ」そんなふうに思う人は少なくないと思います。私もその1人です。考えてみたら、人に頼み事をすることはめったにありませんでした。たとえ自分がお客さんの立場であっても、できるだけ頼み事はしたくないと思ってしまいます。
とはいえ、頼まざるを得ないこともあります。最近も立て続けにお願いする機会がありました。そういうときは、思い切って頼むのですが、皆さん拍子抜けするほど、快く応じてくれます。感謝です。
また、仕事柄、頼まれ事もよくされます。「人を紹介してくれ」「自分が書いた本を紹介してくれ」「本を出したいので出版社を紹介してくれ」「知人の起業の相談に乗ってやってくれ」などです。
面識のない人からの、いきなりの頼まれ事はさすがに断りますが、できるだけ応じたいとは思っています。このあたり、本書のいう通り、人は「善人でいたい」という本能があるのかも知れません。
面白いのは、依頼をする人の中には「お金は払います」とか「お礼はします」などと付け足す人が一定数いることです。これは、本書のいう、自尊心を保ちたい気持ちの表れなのだと思います。
そして、そういう人ほど、本当にお金を払ったり、お礼をしたりすることはないものです。頼むときの気まずさや、自尊心を保つことが目的だからなのだと思います。
それはそれで、まあいいのですが、頼みっ放しは良くないと思います。手伝った揚げ句、どうなったのかが分からないことが、一番大きなストレスです。だから、報告だけはきちんとするべきです。こうした当たり前のコミュニケーションが取れる人からの依頼なら、誰でも快く応じてくれるものです。結局、そういう頼み上手な人が、チャンスをつかみ、成功の階段を上っていくのだと思います。
執筆=藤井 孝一(ビジネス選書WEB)
ビジネス書評家、読者数5万人を超える日本最大の書評メールマガジン『ビジネス選書&サマリー』の発行人。年間1000冊以上の書籍に目を通し、300冊以上の書籍を読破する。有名メディアの書評を引き受けるほか、雑誌のビジネス書特集でも、専門家としてコメント。著書は『読書は「アウトプット」が99%』(知的生きかた文庫)のほか、『週末起業』など、累計50冊超、うちいくつかは中国、台湾、韓国でも発刊されている。
【T】
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