ビジネスWi-Fiで会社改造(第44回)
ビジネスWi-Fiで"学び"が進化する
プロ投資家の先の先を読む思考法
藤野英人 著/ クロスメディア・パブリッシング
思考力の本です。未来を見通す目を養えます。何ごとも先が読めれば成功する確率は格段に高まり、失敗する可能性を大きく下げられます。著者は、ファンドマネージャーとして32年以上の投資歴を重ねてきた方です。つまり先を読むプロといえます。そんな著者の見方や考え方が学べます。
とはいえ、株価の予測や特殊な情報収集の方法を紹介しているのではありません。株や投資の話も出てくるものの、むしろ日常の小さな変化を捉えて、先を見通す方法を紹介しています。結果的に投資もビジネスもうまくいきます。著者は、先を読むことには、投資やビジネスで勝つ以外にも重要な意味があるといいます。それは自分の居場所を間違えずに済むことです。
日本は、少子高齢化、地方の空き家問題など、課題の山積した「課題先進国」です。そんな中でも明るい未来を手にするには、自分がどこに身を置くかが重要だといいます。居場所を見定めるには、先の先を見通す力が不可欠です。目先のことにとらわれず、大局を見て行動する人だけが、明るい未来を享受できるといいます。その通りだと思います。
本書には、それを可能にする目を養う方法が書かれています。例えば「先の先を読むために今を知る方法」「思考を広げる方法」「思考のための材料の集め方」などです。加えて、著者が考える「伸びる会社の共通点」や「未来のかたち」「先を読むことと同じくらい大切なこと」も紹介されています。こちらも大いに参考になります。
というわけで、投資をする人、これから投資をしたい人はもちろん、ビジネスで成功するには自分の人生をどこに賭けるべきかを見極めるために、未来を見通したいと考える人にもおすすめします。
先を読むことは大事です。私も、いつも先を読むことを心掛けてきました。理由は、凡庸な自分が生き残るには、人より早く行動するしかないと思ってきたからです。ただ、最近、先を見通す力が衰えてきたと感じます。つい、過去の延長線上で物事を考えている自分がいます。原因は年齢だと思います。私も著者と同じ年齢です。まさに昭和のおじさんなのです。
交流も同世代ばかりですから、古さに気付きにくくなります。仲間から「若いですね」などと言われて気を良くするときもありますが、周りの人の感性も古いので、あてになりません。20代のわが子たちと話すと、自分の古さを痛感します。見えている景色がまるで違うように感じます。つい「それは違う」と否定したりしたくなりますが、彼らのほうが正しい場合が多いのでしょう。
こうなった時、これまでの人たちなら後進に譲って引退したのでしょう。ただ、あいにく人生が長くなりました。現役時代を長くせざるをえなくなりました。まだまだあらがっていかなければならないのです。
最近、日本の衰退を嘆く声をよく耳にします。原因はいろいろありますが、根底には高齢化があると思います。高齢者が増えたため、政治も経済活動も高齢化しているのです。これが令和型への変革を阻みます。だからデジタル化もキャッシュレス化も、女性の社会進出なども前に進まないのだと思います。「70歳定年制」など、制度もそれを助長しています。
長寿自体は悪いことではありません。問題は、これまでなら世代交代してきた人たちが、今も組織の中核で実権を握っている点です。そのため若い人たちが上に上がれないのです。高齢者は生涯現役でも構いませんが、主役の座は譲るべきです。かつての部下に仕えることに抵抗を持つべきではありません。それが嫌なら潔く引退したほうが世のためです。
私など、人に教える仕事をしてきましたら、なおさら注意が必要です。先を読む力を維持するためには、もっと謙虚に若い人から学び、指示に従うこともいとわない姿勢が大事だと本書を読んで思いました。
執筆=藤井 孝一(ビジネス選書WEB)
ビジネス書評家、読者数5万人を超える日本最大の書評メールマガジン『ビジネス選書&サマリー』の発行人。年間1000冊以上の書籍に目を通し、300冊以上の書籍を読破する。有名メディアの書評を引き受けるほか、雑誌のビジネス書特集でも、専門家としてコメント。著書は『読書は「アウトプット」が99%』(知的生きかた文庫)のほか、『週末起業』など、累計50冊超、うちいくつかは中国、台湾、韓国でも発刊されている。
【T】
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