ビジネスWi-Fiで会社改造(第44回)
ビジネスWi-Fiで"学び"が進化する
心を強くする「世界一のメンタル」50のルール
サーシャ・バイン 著
高見 浩 訳
飛鳥新社
メンタルの鍛え方、さらに自分の人生を切り開く方法が分かります。大坂なおみを日本人初の全米・全豪オープンの連続制覇に導いたコーチが、その舞台裏を明かします。
といっても、アスリートの成功ドキュメンタリーでも、ましてや暴露本でもありません。強いメンタルをつくるためには、何をどうすればいいのか、教本としてまとめられたものです。アスリートはもちろんですが、ビジネスパーソンや学生にも、強いメンタルは必要です。その世界標準の強化法が分かります。何と、日本人のために書き下ろしたものだそうです。
本書は文字通り、世界最高・最強の方法といえますが、本書で紹介されているのは、普通の人でも実践できるものばかりです。例えば「ごめんなさいをNGにする」「信頼されたければ先に信頼する」などです。
もちろん、テニスコーチならではのメソッドも満載です。例えば「試合中に“カモン”と叫ぶ理由」「ラケットを折れ」「極限のストレスをリセットするタオルのルール」なども紹介されています。
なお、謎に包まれた、大坂なおみとの別れについても、激白しています。「将来、なおみのコーチに戻りたい」とのメッセージには、心を打たれます。全米オープン日記も貴重な資料です。
テニスプレーヤーやテニス観戦が好きなテニスファンはもちろん、他のスポーツのファンにとっても必読書です。もちろん、強いメンタルはビジネスの世界でも必要ですから、ビジネスパーソンも読むべきです。さらには、夢に向かって歩んでいるすべての人が読むべきです。指導書としても優れていますので、教師をはじめ、部下がいる人、育児中の保護者などに「人を伸ばす方法」を学ぶ本としてオススメします。
メンタルは、大事です。スポーツはもちろん、普通の仕事でもよりどころになります。新しい仕事は結果が出るかどうかドキドキですし、プレゼンなどではプレッシャーを克服する訓練も必要になります。
私は、人の前で話すことがよくありますので、強いメンタルの持ち主と思われがちです。しかし、今もプレゼンのときは緊張します。メンタルは相当脆弱だと思います。
スポーツの試合などは、観戦するだけで心臓がバクバクしてしまいます。だから、当事者であるアスリートのメンタルには、いつも驚愕(きょうがく)します。どうしたらあんなメンタルが手に入るのか憧れます。
よって、本書の内容はとても興味深く読みました。本書には、そんな強いメンタルを手に入れる方法が書いてあります。ルーティンの大切さなどは、分かりやすく参考になります。実践したいと思います。
本書のメインテーマは「メンタルの鍛え方」ですが、それ以外のこと、人生を切り開くために必要なことが、いろいろと書いてあります。いずれも興味深い内容です。
例えばお金の件は共感します。「お金をゴールにしないこと」です。良い仕事をすれば、お金は付いてきます。そのためには、やる気の出る仕事を選ぶべきです。奇麗事のようですが本当です。
学生や若手社会人なら、就職先や転職先の選定などに当たって、「やりたいこと」と「給料」をてんびんに掛ける局面があります。そして、つい「お金」で決めてしまいがちです。
私も、就職のときは「やりたい仕事」でなく「給料のいい仕事」を選んでしまいました。今思えば、長期的に見て自分への投資になるか、仕事が楽しめるかで選ぶべきだったと思います。個人的に振り返って感じるのは、偶然が重なって助けられたということ。その中で、私は仕事を楽しむことができましたし、自分への投資にもなったと思っています。
だから、これから仕事を見つける若い人や、転職を考える人などには「お金」よりも「やりがい」や「楽しさ」を優先して、決断してもらいたいと思います。本書を読んでその思いを強くしました。
執筆=藤井 孝一(ビジネス選書WEB)
ビジネス書評家、読者数5万人を超える日本最大の書評メールマガジン『ビジネス選書&サマリー』の発行人。年間1000冊以上の書籍に目を通し、300冊以上の書籍を読破する。有名メディアの書評を引き受けるほか、雑誌のビジネス書特集でも、専門家としてコメント。著書は『読書は「アウトプット」が99%』(知的生きかた文庫)のほか、『週末起業』など、累計50冊超、うちいくつかは中国、台湾、韓国でも発刊されている。
【T】
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