ビジネスWi-Fiで会社改造(第44回)
ビジネスWi-Fiで"学び"が進化する
リーダーに強さはいらない
三城雄児 著
あさ出版
リーダーシップの本です。リーダーに必要なものは、本人の「強さ」でなく、優秀な2番手の存在であるとし、その発掘と育成、そして彼らと共に強いチームをつくる方法を解説します。
一般に、リーダー論では「リーダーは強くあるべき」とされています。確かに偉大なリーダーたちは、強烈な個性やカリスマ性を備えているのが普通です。彼らを見て「自分にリーダーは無理」と思うかもしれません。でも、本書ではそれは間違いとし、必要なものは「資質」より「参謀」の存在だとします。そして、その考え方などを教えてくれます。
本書の特徴は、何よりリーダーシップの本でありながら、リーダー本人でなく、周囲の人たちにフォーカスしている点です。彼らこそがリーダーをリーダーたらしめるからです。しかし、誰もが初めから有能な参謀に恵まれているわけではありません。適任者を見つけ、育て、彼らの力を引き出すことから始めなければなりません。本書には、その方法が書いてあります。
はじめに、フォロワーの必要性と特徴を紹介し、彼らを集める方法を解説します。次いで、彼らの力を引き出す方法を紹介し、彼らを交えて行うチームづくりで締めくくります。例えば「リーダーとフォロワーは対等。役割が違うだけ」と書いてありますが、これはリーダーが忘れがちな視点です。同時に、リーダーを重荷に感じている人には勇気になりそうです。
というわけで、リーダーを任された人、任されそうな人で、「どうしていいか分からない」「チームをまとめる自信がない」「人を動かす自信がない」という人の福音になる本だと思います。リーダーは、大変な仕事です。「方向性を描く」「ビジョンを描き、熱く語る」などに加え、「誠実」「自己犠牲」「冷静」など、高い人格が求められます。だから、最近は敬遠されるようです。
もしもそのチャンスに恵まれた(もしくはたぐり寄せた)なら、絶対に挑戦するべき役割だと思います。というより、組織で働く社会人なら「自分には資質がない」という理由で逃げられません。遅かれ早かれ、誰もが経験せざるを得ないのがリーダーという役割です。幸い、リーダーシップに必要なものは、将来の資質ではないようです。現に、先輩たちの大半が、リーダーを勤めてきました。特に、終身雇用・年功序列の時代は、誰もがその役割を担っていきました。
私自身、本来はリーダーの資質とは程遠い性格です。それでも、経営者として10年以上、会社を引っ張ってくることができました。その間、業績を伸ばし続けることができました。自分の経験を振り返ってみると、ポイントは、やはりフォロワーの存在だったと思います。特に、私の場合、初めから、いわゆる参謀に恵まれました。
その後、経営者として自分がしてきたことを振り返っても、多くは新しいフォロワーを発掘・育成、彼らと良い関係を築くことでした。それ以外のことは、フォロワーたちが全部やってくれました。リーダーの経験は、私の財産になっています。大変で、時には割に合わないとも感じましたが、その分、達成感もありました。だからこそ、今では1人でも多くの人に経験してもらいたいと思います。
もちろん、誰もが会社を立ち上げるわけではありませんし、今の組織で役職に就くのも、ずっと先のことかもしれません。でも、リーダーシップは、あらゆる組織の、あらゆる階層で必要です。その気になれば、いくらでも発揮するチャンスはあるのです。自分を変える絶好の機会です。敬遠される今だからこそ、積極的に取り組めば、大きな差別化の要因になり得ます。
ぜひ、チャレンジしてください。本書は、そのための必要なことを網羅しています。最初に手に取る教科書として、最適だと思います。
執筆=藤井 孝一(ビジネス選書WEB)
ビジネス書評家、読者数5万人を超える日本最大の書評メールマガジン『ビジネス選書&サマリー』の発行人。年間1000冊以上の書籍に目を通し、300冊以上の書籍を読破する。有名メディアの書評を引き受けるほか、雑誌のビジネス書特集でも、専門家としてコメント。著書は『読書は「アウトプット」が99%』(知的生きかた文庫)のほか、『週末起業』など、累計50冊超、うちいくつかは中国、台湾、韓国でも発刊されている。
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