読書でビジネス力をアップする(第16回) 職場にいる不機嫌な人たち

ビジネス本

公開日:2016.08.04

職場にいる不機嫌な人たち
西多昌規著
KADOKAWA

 職場に巣くう「不機嫌」の対処法を学びます。無愛想な人、イヤミな人、無神経な人など、職場の困った人たちと、どう付き合えばよいのかが分かります。

 「職場が楽しくない」「仕事がやりづらい」というとき、職場の不機嫌な人の存在が原因かもしれません。そんな人が職場にいるだけで、モチベーションが下がり、パフォーマンスさえ落ちてしまいます。かといって、そんな人のため転職するのはもったいないことです。それに「不機嫌」な人はどこにでもいます。次の職場にもいるはずです。だから、まずは付き合い方を学ぶべきなのです。

 本書では、はじめに「不機嫌な人」を23タイプに分類します。「威嚇さん」「だんまりさん」「舌打ちさん」など、さまざまなタイプが登場します。あなたの職場の不機嫌さんも、どれかに該当します。

 次に、彼らが不機嫌な理由を解明します。どうしていつも、イライラ、カリカリしているのか、精神科医の立場から解説してくれます。理由が分かれば、相手の反応に戸惑うこともなくなります。もしかしたら、自分に原因があることに気付けるかもしれません。その上でタイプ別の攻略法を紹介します。理由が分かれば、攻略法もおのずと見えてきます。

不機嫌な人の対処法は一種の「ビジネススキル」

 ユニークなのは、本書が単なる職場の「うざい人」の攻略法にとどまっていない点です。自分が「うざい人」にならないための留意点も、学ぶことができます。

 「あの人さえいなければ、気持ちよく仕事ができるのに」という人はもちろん、周囲から自分が「うざいと思われているのでは」と不安に感じている人にも、お勧めします。

 著者は「不機嫌な人と付き合う技術は、社会人の不可欠な能力」と言っています。私も同感です。前述の通り、職場の人間関係からは、決して逃げられないからです。それでも、その人の存在が、パフォーマンスや成果に大きな影響を与えます。そう考えると、不機嫌な人の対処法は「ビジネススキル」と呼んでもいいかもしれません。

 思えば、会社勤めの頃は私も不機嫌で、本書で言うところの「否定さん」でした。新しいアイデアや会社の動きに、いつもダメ出しをしていました。「こういう人は、職場環境を変えないと治らない」と著者は言いますが、その通りだと思います。逆にいえば、職場環境さえ変わればウソのように変われます。

 私もそうでした。会社を辞めたら、否定的な考えや言葉は消えました。恐らく「自分は職場から正当に評価されていない」という、会社に対する不満が原因だったのだと思います。本書にも、不機嫌の原因は「嫌われたくない気持ち」とあります。「イライラしているが、放っておかれるのは嫌だ」という感情が、屈折した形で出てくるのです。

 また、不機嫌の理由は「低い自己評価」というのも納得できます。言葉で不満を伝えられないので、舌打ちしたり、イヤミを言ったり、つい否定的なことを言ってしまうのです。

 このように、原因が分かれば、不機嫌な人もそれなりに大変だということが理解できるはずです。この点を理解すれば、少なくとも相手との関係は改善するかもしれません。もちろん、同情できても、巻き込まれるのはたまりません。著者も「この相手には不機嫌にしても大丈夫」という「甘え」が不機嫌を引き起こすと言っています。やはり対処は必要です。

 なお、不機嫌にも複数のタイプがあり、それぞれに対処法がありますから、素人判断は禁物です。まずは本書で不機嫌のタイプと、その対処法を学び、正しく備えることが大切だと思います。

執筆=藤井 孝一(ビジネス選書WEB)

ビジネス書評家、読者数5万人を超える日本最大の書評メールマガジン『ビジネス選書&サマリー』の発行人。年間1000冊以上の書籍に目を通し、300冊以上の書籍を読破する。有名メディアの書評を引き受けるほか、雑誌のビジネス書特集でも、専門家としてコメント。著書は『読書は「アウトプット」が99%』(知的生きかた文庫)のほか、『週末起業』など、累計50冊超、うちいくつかは中国、台湾、韓国でも発刊されている。

【T】

あわせて読みたい記事

  • 読書でビジネス力をアップする(第93回)

    投資の原理・原則を日常生活に生かす

    ビジネス本

    2023.04.03

  • 読書でビジネス力をアップする(第92回)

    自分に良質な質問を投げかける

    ビジネス本

    2023.01.05

  • 読書でビジネス力をアップする(第91回)

    すぐにできる簡単な方法で心と体を癒やす

    ビジネス本

    2022.12.02

連載バックナンバー

読書でビジネス力をアップする