ビジネスWi-Fiで会社改造(第44回)
ビジネスWi-Fiで"学び"が進化する
ぶっちぎりで突き抜けた結果を出す人になる仕事の心得
松田理宏 著
SBクリエイティブ
仕事の成功法則です。ビジネスで成功するために必要な接待の仕方や、クライアントの距離の縮め方、ライバルに勝つ方法など、チャンスをつかむ上で不可欠な仕事のコツを教えてくれます。著者は、元Gap伝説のバイスプレジデントです。15年以上にわたり「かばん持ち」を受け入れてきたそうです。ノウハウがじかに学べるとあって無給にもかかわらず、志願者が後を絶たないそうです。
そんな、これまでは「かばん持ち」たちしか知りえなかったノウハウをまとめたのが本書です。チャンスを引き寄せる仕事のちょっとしたヒントを教えてくれます。
本書で紹介するノウハウは、いわゆるスキルではありません。物の考え方や行動パターンが中心です。かつては上司や先輩たちが、酒席などでしゃべり伝えてきた法則のようなものです。
著者は、できる人とできない人の差はごくわずかだといいます。一体その「差」は何なのか?それを教えてくれる人は、実はめったにいません。本書はそれを教えてくれます。例えば、相手に自分を印象付ける方法、時間やお金の使い方、人を動かすコミュニケーションなどです。さらにアパレル出身の著者らしく、外見の磨き方にまで及びます。
最初から通して読んでもいいですが、いずれの法則も独立しています。パラパラめくって、気になるところから目を通し、できそうなものから実践してみるのもいいかもしれません。「ビジネスで成果を上げたい」「成功したい」と思いながら「周囲にお手本になりそうな人がいない」という人は少なくないと思います。そんな野心的なビジネスパーソンにお勧めしたい1冊です。
古くて新しい、それが「かばん持ち」です。実際、今も経営者などを中心に、若い人を「かばん持ち」として受け入れている人がいるようです。芸人や職人などの弟子入りに近いのかもしれません。私も、若い頃は、よくコンサルタントの先輩に付いていきました。そこでは、本当に色々なことを学ばせていただきました。学ぶ側のモチベーションが高いため、効果的な教育法だと思います。
私自身、何度か「かばん持ちをしたい」というリクエストをいただいたこともあります。でも、一度も受け入れてきませんでした。正直、自信が持てないからです。「かばん持ち」には、四六時中、公私にわたって自分をさらけ出すことになります。よほど、懐が深くないとできないと思います。それを実践してきた著者に対し、純粋にすごいと頭が下がります。
恐らく、受け入れるほうにとっても、大きな成長の機会になり得るのだと思います。それは分かっているのですが、私には一生できるとは思えません。「かばん持ち」は大変でも、「かばん持ち」的に働くことはできると思います。私の会社でも、何度か見習い的な人を受け入れてきました。彼らの多くは、ノウハウを学び、いずれ独立していきます。その経験で思うのですが、大事なことは「辞めてからの付き合い方」だと思います。感謝し、良い関係を保つことが大切です。
「いつか恩を返す」という気持ちを原動力にできれば、きっと成功できます。おかげさまで、当社はそういう人たちに支えられてきました。反対に、絶対やってはいけないことは「ノウハウを吸収したので、用はない」とばかり、連絡を絶つことです。そういう人も、残念ながらたまにいます。
でも、吸収したノウハウなど、すぐに陳腐化します。しかし、人間関係は、年月を経るごとに熟成します。そういう関係を増やし、深めていくことが成功の、そして人生のキモだと思います。本書の内容にも通じますが、ビジネスは結局、人間関係です。出会いと縁を大事にできる人こそが成功できるのです。そんなことを考えさせてくれた本でした。
執筆=藤井 孝一(ビジネス選書WEB)
ビジネス書評家、読者数5万人を超える日本最大の書評メールマガジン『ビジネス選書&サマリー』の発行人。年間1000冊以上の書籍に目を通し、300冊以上の書籍を読破する。有名メディアの書評を引き受けるほか、雑誌のビジネス書特集でも、専門家としてコメント。著書は『読書は「アウトプット」が99%』(知的生きかた文庫)のほか、『週末起業』など、累計50冊超、うちいくつかは中国、台湾、韓国でも発刊されている。
【T】
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