読書でビジネス力をアップする(第34回) 多忙な大人ほど「時間割」を持っている

ビジネス本

公開日:2018.03.01

仕事を高速化する「時間割」の作り方
平野友朗 著
プレジデント社

 時間術の本です。仕事の時間を効率的に管理して、人生の豊かさを取り戻します。労働時間を減らすことで、趣味や家族との団らん、スキルアップの時間を増やすことができます。

 ビジネスを語る上で、時間は超重要な要素です。それなのに、個人の時間管理の方法は、誰も教えてくれません。だから、多くの人が自己流のやり方で過ごしています。結果、残業の日々になります。「忙しい、忙しい」と言いながら、大して成果も出ません。

 そこにちょっとした工夫をすれば、成果を上げつつ、定時退社できるようになります。その工夫を教えます。時間管理は、誰もが悩むため、ビジネス書の世界では定番のテーマです。手帳術、ノート術、付箋活用術など、ツールの使用法まで、その範囲を広げれば、時間管理のノウハウは本当に無数にあります。

 しかし、こうしたノウハウに時間を費やして、かえって時間不足になるという、本末転倒なケースも見かけます。一方、著者は「これらのツールはすべて不要」と言い切ります。そして、それに代わるノウハウを紹介していきます。例えば「ノートの代わりにコピー用紙」という具合です。

 特に、最終章、メールについては、ビジネスメール教育の第一人者として、多数の著書やメディア登場歴のある著者らしく、圧巻で、奥深いものです。

 というわけで「やりたいことをやる時間がない」「定時に帰りたいのに帰れない」「自分の予定が管理できない」「仕事に抜けや漏れがある」という人にお薦めします。

 著者は「時間管理が人生を変える」と言っています。その通りだと思います。これは私の持論ですが「時間は人生そのもの」です。だからこそ「時間管理は人生管理」といえるのです。特に、著者が時間管理の強力なツールとして「時間割」に着目している点は特筆に値します。学校には「時間割」があります。始業と終業の時間はもちろん、何時から何時に何をやるか決まっています。

 そして、開始時間になれば授業が始まり、終われば次の予定に移ります。だからこそ「時間管理」などという概念を持たない子どもたちでも、毎日、確実に科目をこなしていくことができるわけです。一方、大人の1日はザックリしています。アポや会議が決まり、その他の業務は、その合間にさばきます。これでは主体的に過ごせません。「だから大人も時間割を持つべき」と著者は言うのです。

時間の手綱は自分で握る

 私も、大人の「時間割」の大切さについては、声を大にして言いたいと思います。むしろ、多くの人が「時間割」も持たず、日々仕事に臨んでいることが、不思議でなりません。私は、社会人になった時から「時間割」を作っていました。理由は、バブル時代で超多忙だったからです。仕事だけでなく、プライベートも多忙でした。「時間割」の効果は、圧倒的でした。あまりに効果的なので、自分で会社を経営してからは、社員にも徹底させるべく、職場にも学校のようなチャイムまで導入してしまいました。

 今も、起床・就寝、食事、入浴の時間はもちろん、仕事時間も、1日を大まかに分けて「どの時間帯に、何をやるか」決めています。朝は執筆、午前中に執務、午後は面談や外出という具合です。もちろん、いつも決めた通りに進むわけではありません。ビジネスには相手がありますし、緊急事態も起きます。でも「あるべき姿」を持つことは、人に振り回されないために重要です。

 これも私の持論ですが「時間の手綱は自分が握るべき」です。それを可能にするツールが「時間割」なのです。本書には、そのノウハウが満載です。一読をお勧めします。

執筆=藤井 孝一(ビジネス選書WEB)

ビジネス書評家、読者数5万人を超える日本最大の書評メールマガジン『ビジネス選書&サマリー』の発行人。年間1000冊以上の書籍に目を通し、300冊以上の書籍を読破する。有名メディアの書評を引き受けるほか、雑誌のビジネス書特集でも、専門家としてコメント。著書は『読書は「アウトプット」が99%』(知的生きかた文庫)のほか、『週末起業』など、累計50冊超、うちいくつかは中国、台湾、韓国でも発刊されている。

【T】

あわせて読みたい記事

  • 読書でビジネス力をアップする(第93回)

    投資の原理・原則を日常生活に生かす

    ビジネス本

    2023.04.03

  • 読書でビジネス力をアップする(第92回)

    自分に良質な質問を投げかける

    ビジネス本

    2023.01.05

  • 読書でビジネス力をアップする(第91回)

    すぐにできる簡単な方法で心と体を癒やす

    ビジネス本

    2022.12.02

連載バックナンバー

読書でビジネス力をアップする