知って得する!話題のトレンドワード(第30回) ポイント解説!スッキリわかる「AIO」

業務課題 経営全般

公開日:2026.06.19

 いま話題のトレンドワードをご紹介する本企画。第30回のテーマはスッキリわかる「AIO(AI最適化)」です。言葉の意味、そしてその背景や関連する出来事を解説していきます。みなさまのご理解の一助となれば幸いです。

 最近よく耳にする「AIO(AI Optimization:AI最適化)」とは、検索エンジンのAI Overview(AIがまとめた概要)や、ChatGPT、Gemini、Claude、Copilotなどの生成AI(Generative AI)に、自社の情報を正しく理解・引用・推奨してもらうための最適化をさします。従来のSEO(Search Engine Optimization:検索エンジン最適化)は「検索結果で上位に表示され、サイトへの流入を得ること」を重視していました。一方、いま注目されているAIOでは「AIの回答の中で、信頼できる情報源として扱われるかどうか」が重要になります。

生成AI普及がもたらした検索行動の変化

 米OpenAIのChatGPTが一般公開されたのは2022年11月30日です。公開後わずか2カ月でユーザー数は1億人に達し、生成AIは急速に普及しました。現在では、生成AIを情報収集に活用するユーザーも増えています。

 生成AIの登場以前、企業のWeb戦略ではSEOが重視されていました。検索結果で上位表示されるほどクリック率が高まり、サイト流入や問い合わせ、購入につながりやすかったためです。近年は、検索エンジン上部に表示されるAI Overviewや、ChatGPT、Geminiなどの対話型AIでの検索にユーザーが移行しつつあるため、検索体験そのものが変化しています。

関連する出来事などの背景

 背景には、検索エンジンの仕様変更とユーザー行動の変化があります。これまでユーザーは、基本的に検索結果のリンクを上から閲覧して適したものを開き、情報を探していました。しかし現在の検索エンジンでは、複数の情報源をAIが要約して表示する「AI Overview」を参照するケースが増えています。また、検索エンジンを使わずにChatGPTなどの生成AIサービスにチャットで質問し、そこで回答を得る使い方も一般的になっています。

 その結果、検索サイトで検索順位が高い項目のリンクすら参照(クリック)されない、いわゆる「ゼロクリック検索」現象が起きていると指摘されています。現在、ユーザーはAIが複数の情報源を要約した回答を読み、その場で疑問を解決するようになってきました。企業のWeb戦略では検索上位に表示されるだけではなく、「回答の根拠として自社の情報が表示されるか」も重要となってきています。

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検索エンジン上でAIが情報を統合・要約して表示する「AI Overview」

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ChatGPTなどの生成AIへ直接質問して情報を得るユーザーも増えている


 AIO時代には、リンクをクリックされなくても情報接点が生まれます。AIの回答内で企業名やサービス情報が紹介されれば、ユーザーはサイトへ訪問する前にブランドを認知します。その認知がSNSや口コミなどへの波及につながる可能性もあります。逆に検索順位が高くてもAIの回答に引用されなければ、ユーザーの目に触れる機会は減っていきます。

 ゆえに、検索結果で上位表示されるだけではなく、AI Overviewや生成AIの回答内で情報源として採用される点が重要になってきているのです。

 ただし、これまでのSEO対策が不要になったというわけではありません。SEOをベースにAIO対策も実施する必要があります。なぜならAIは、検索エンジン上での評価、リンク、著者情報、サイト構造、サードパーティーからの言及などを参考に、信頼できる情報源を選び出しているからです。そのため、SEOで評価される良質なコンテンツは、AIOでも有利に働きます。

 その上でAIOでは、SEOの要素にプラスして、「AIが引用しやすい形への情報整理」「信頼性や専門性の明確な提示」が求められます。つまりAIOとはSEOの代替ではなく、「SEO+α」と捉えるべきなのです。

 AIO時代では、AIが引用しやすい形で情報を整理する他、独自調査や専門家による解説など、専門性・独自性を明確に示す取り組みも重要になります。

企業に与えるインパクトは?

 AIO時代に対応するため、具体的に企業は何をすればよいのでしょうか。中には「SEOは気になるけれど取り組めていない」「そもそもSEOとは何かよくわからない」という企業もあるかもしれません。そこで、SEOとAIOで実施すべき項目を整理してみました。

SEOでやること

ステップ1. 今の状態を知る

 自社サイトがどんな言葉で検索されているか、何位ぐらいに表示されているか、どのくらいアクセスがあるかを把握します。「Google Search Console」などの無料ツールを使い、何が強く、何が弱いのかを確認・把握します。

ステップ2. サイトの土台を整える

 表示が遅い、スマホで見づらい、リンク切れがあるといった状態では検索エンジンに評価されにくくなります。表示速度、見出し構造、サイトマップなどを整え、読みやすく壊れていない状態にします。

ステップ3. 知りたいことに答える記事を書く

 ユーザーが自社について検索しそうなキーワードをピックアップし、「〇〇とは?」「◯◯はどうすればいい?」といった疑問に答える記事をつくります。結論を先に書くよう意識し、見出しを整理し、誰が書いたかといった情報源も明記します。

ステップ4. 結果を見ながら改善する

 SEOはすぐに成果が出るものではなく、数カ月かかる場合もあります。表示やクリックが増えたページはさらに伸ばし、伸びないページは改善します。一度つくって終わりではなく、継続的に育てていくことが重要です。

AIOでプラスすること

ステップ1. 目的を明確化する

 AIOは「AIの回答の中で企業名や情報を認知してもらう」という目的を明確にするのが第一歩です。クリックされなくても、AIの回答内で認知される価値を意識します。

ステップ2. AIが引用しやすい形で書く

 AIは「結論が明確」「定義が簡潔」といった文章を引用しやすい傾向があるとされています。見出し直下に簡潔な回答を書く、FAQ形式を取り入れる、「〇〇とは?」を整理するといった工夫が有効です。

ステップ3. 信頼性と一次情報を示す

 誰が書いたか、いつ更新したか、根拠は何か(出典など)を明示します。さらに、自社独自の調査、事例、体験、データなどの一次情報を添えることで、AIから信頼されやすくなります。

 こうして整理すると、SEOもAIOも基本は「信頼できる情報を、わかりやすく届ける」点に尽きます。なお、AIOに近い概念として「LLMO」(Large Language Model Optimization、大規模言語モデル最適化)や「GEO」(Generative Engine Optimization、生成体験最適化)などの用語も登場していますが、いずれも「生成AIに情報を正しく理解・引用してもらう」という方向性は共通しています。

これから予測される課題は?

 現在、情報検索でユーザーへ情報を届けるには、SEOとAIOの両方を意識する時代になっています。難しく感じるかもしれませんが、AIOも土台はSEOと同じで、信頼できる情報をわかりやすく伝える点に変わりはありません。

 AIO対策は、一度にすべてを整える必要はありません。まずは以下のところから始めましょう。

・生成AIや検索エンジンで自社名やサービスを検索してみる
・自社サイトの表示速度や見出しを見直す
・FAQ形式の記事を1本追加してみる

 AIOは広告のような即効性はないものの、積み重ねることで中長期的な資産になっていきます。まずは「何を優先するか」を社内で整理し、順番に取り組める状態をつくることが重要でしょう。

 人手やノウハウが不足している場合は、地域の支援機関や信頼できるベンダーへ相談し、AIO支援サービスの活用や外部連携を検討するのも有効です。WebでAIOの専門サービスを探し、環境に合ったサービスにアプローチするのもいいかもしれません。

 生成AIの普及によって、ITを取り巻く環境は急速に変化しています。世の中の変化を前向きに捉え、無駄な労力を減らしながら効率よく情報発信を続けていく姿勢が、これからますます重要になっていきそうです。

※掲載している情報は、記事執筆時点のものです

執筆=青木 恵美

長野県松本市出身。独学で始めたDTPがきっかけでIT関連の執筆を始める。書籍は「自分流ブログ入門」「70歳からはじめるスマホとLINEで毎日が楽しくなる本」など数十冊。Web媒体はBiz Clip、日経xTECHなど。紙媒体は日経PC21、日経パソコン、日本経済新聞など。現在は、日経PC21「青木恵美のIT生活羅針盤」、Biz Clip「IT時事ネタキーワード これが気になる!」「知って得する!話題のトレンドワード」を好評連載中。

【TP】

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