ビジネスWi-Fiで会社改造(第44回)
ビジネスWi-Fiで"学び"が進化する
仕事と人生がうまく回り出すアンテナ力
吉田将英 著
三笠書房
発想力やセンスを磨く本です。電通に勤めながら、仕事以外でもさまざまなプロジェクトを立ち上げ、趣味の時間も充実させているプランナーが編み出した超効率的インプット法を教えます。「センスがいい」「アイデアが豊富」という人は、いるものです。著者もその1人だと思います。しかし、それは持って生まれた才能ではないと言います。
コツは、日常の気付きを生かすことにあります。本書は、そんな気付きを得る方法、それをためて仕事などに役立てるために必要な「アンテナの張り方」を紹介しています。
情報、人、チャンスを追い求めて動き回る人がいます。しかし、追いかけるより、向こうから飛び込んでくるものをキャッチしたほうが効率的だというのです。
確かに、狩りに出掛けるより、罠(わな)を仕掛けるほうが楽ではあります。ただし、そのためには飛び込んでくる情報を、確実に捉える感性が必要です。それがアンテナ力です。本書を読むとその高め方が分かります。誰にでもすぐに実践できるちょっとしたことばかりです。
例えば「○○係になる」「相手との記念日に連絡を取る」「友だち一覧を見返す」などです。クリエイターの本だけに、表現もユニークです。「定点観測地で変化を見る」「マイ賢者を持つ」「脳の砂場で思考を遊ばす」など、読めば納得できることばかりです。
仕事やプライベートを充実させるために、感性を磨きたい人、発想力を高めたい人、情報や人脈、チャンスを求めている人はもちろん、情報収集が成果につながらないとお悩みの人にもオススメします。情報も、人も、チャンスも、自分から動いて得るより、飛び込んでくるものを上手に収穫するほうが楽ですし、実りも多いと著者は言います。その通りだと思います。
ところが、アンテナの感度に対して無頓着ということがよくあります。例えば、人と会っているときに、スマホばかり眺めている人がいます。そして、目の前の人との会話に上の空だったり、無関心だったりということがあります。
もちろん、スマホの中には有益な情報であふれています。でも、今、目の前にいる人との会話のほうが、リアルな分、ずっと実りは多いと思います。だから、私は人と会っているときは極力スマホを見ないようにしています。また、電話にも出ないようにしています。そして、目の前の人との会話に集中し、1つでもいいから何かを得ようと心掛けています。
もちろん、話していても本当につまらないこと、くだらないこともあります。それは時間のムダですので、スマホに逃げるのでなく、早々に話を切り上げて、その場を立ち去ります。
とはいえ、役立てようと思えば、どんな話からも何かしら得られるものです。経験から言えることですが、くだらない話、無関係と思える話からこそ、思わぬ気付きやヒントが得られるものです。
かつてわが社では、定期的にビジネススキルを学ぶセミナーをやっていたから分かりますが、学び上手な人はどんな話からも学び、自分のために生かします。「お金と時間を使ったのだから、何が何でも学びを得たい」という主体性を感じます。そして、実際学べるものだと思います。理科の実験や歴史書から、ビジネスのひらめきを得る人がいます。私も、子どもの水泳教室を参観しているときに、ビジネスのヒントを得た経験があります。
要するに、アンテナの感度、つまり「アンテナ力」の問題なのだと思います。本書には、それを研ぎ澄ますヒントが詰まっています。
執筆=藤井 孝一(ビジネス選書WEB)
ビジネス書評家、読者数5万人を超える日本最大の書評メールマガジン『ビジネス選書&サマリー』の発行人。年間1000冊以上の書籍に目を通し、300冊以上の書籍を読破する。有名メディアの書評を引き受けるほか、雑誌のビジネス書特集でも、専門家としてコメント。著書は『読書は「アウトプット」が99%』(知的生きかた文庫)のほか、『週末起業』など、累計50冊超、うちいくつかは中国、台湾、韓国でも発刊されている。
【T】
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