ビジネスWi-Fiで会社改造(第44回)
ビジネスWi-Fiで"学び"が進化する
ほっこり 心身をすこやかに整える55の小さなレッスン
伊藤裕 著/ クロスメディア・パブリッシング(インプレス)
健康関連の本です。何となく元気が出ない、体が重い、だるい、どうも気分が上がらないなどは、誰にでもよくあるものです。そんな現代人をむしばむ悩みを解消する習慣です。著者は、ホルモン研究の第一人者で医学博士です。そんな著者が、いつもほっこりした状態でいるための簡単な方法を「ほっ活」として紹介してくれます。
自分が「気持ちいい」「心地いい」「ほっこりする」と感じることこそ、パワーをよみがえらせるといいます。読んで実践すれば、心と体がいい感じにほぐれると思います。気持ちいいことが体にいいのは、体のメカニズムがそうなっているからです。
このあたりを、本書では医学的に説明してくれます。その上で「ほっ活」を紹介していくため、納得感があります。それぞれの活動は「頭を空っぽにする」「五感を取り戻す」「非日常を味わい、心を解き放つ」「自然の中に溶け込む」「つながりを感じる」といった五つのステップに分けて紹介されます。
この手の本は、著者の個人的経験則の域を出ないものが少なくありませんが、本書は医学的に裏付けられている方法ばかりですので、説得力が違います。しかも、どれもすぐできる簡単な方法ばかりです。例えば、脳を休める方法として紹介されているのは「砂時計を見る」「洗濯機が回るのをながめる」「プチプチシートをつぶす」などです。
読めばすぐにやってみたくなるはずです。それこそが、続けるために大事なことです。気が付けば、心身ともに健康で幸せな毎日が手に入っているはずです。最近どうも「元気が出ない」「体が重い。だるい」「気分が上がらない」「やる気が出ない」そんな悩めるすべてのビジネスパーソンにおすすめします。
病気というわけでもないのに調子が出ない、これは私にもよくあります。夏バテ、加齢、疲れでごまかしがちですが、放置しておくと体をむしばんでいるかもしれません。かといって、つらいことはしたくありません。不快や苦痛を避けるために、苦労するのは本末転倒です。その点、本書は気持ちいいことは体にもいいと一貫しているところが魅力です。
「苦労せずに楽になる」というと、変な宗教や自己啓発のようですが、本書は医者が医学的に裏付けられたものだけを紹介していますので安心です。例えば、気持ちがいいのはアドレナリン、セロトニンなどの幸せホルモンが分泌されるからだそうです。これらのホルモンは健康長寿、疲労回復、若々しさ、免疫力にもつながるそうです。しかも、良い状態は、体が記憶するそうです。だから、いつも気持ちいい状態でありさえすれば、体はどんどん元気になるそうです。
本当なら最高です。誰でも、雨の音を聞いたり、鳥のさえずりや虫の音を聞いたり、風に吹かれたり、森林を歩いたりするだけで元気になった経験があるはずです。本書はそれを裏付けてくれます。他にも、銭湯に行ってみるとか、ブランコなどに揺られてみる、普段通らない道を通ってみるなどは、その気になればすぐできます。やってみたいと思います。
最近は、テレビなどでもさまざまな健康ノウハウが紹介されています。私も、しょっちゅう新しい習慣を取り入れたり、サプリを飲んだりしてしまいます。でも、それがかえってストレスになったりします。反対に、あまり深く考えず、流れに身を任せて何となく生きる人がいます。そういう人のほうが、結果的に長生きしていたりします。本書を読めば、それが医学的に正しいことが分かります。
結局、気持ちいい毎日を続けることが何より大事なのだと思います。それでだめなら仕方ないと割り切って、もっと気楽に生きてみようと思います。
執筆=藤井 孝一(ビジネス選書WEB)
ビジネス書評家、読者数5万人を超える日本最大の書評メールマガジン『ビジネス選書&サマリー』の発行人。年間1000冊以上の書籍に目を通し、300冊以上の書籍を読破する。有名メディアの書評を引き受けるほか、雑誌のビジネス書特集でも、専門家としてコメント。著書は『読書は「アウトプット」が99%』(知的生きかた文庫)のほか、『週末起業』など、累計50冊超、うちいくつかは中国、台湾、韓国でも発刊されている。
【T】
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