読書でビジネス力をアップする(第4回) 「外資系エグゼクティブ」の働き方

人材活用 ビジネス本

公開日:2015.09.01

どの会社でも結果を出す「外資系エグゼクティブ」の働き方
フラナガン裕美子著
日本実業出版社

 結果を出すエグゼクティブたちの、世界基準の仕事のやり方を教える本です。著者が、外資系企業で働く中で学んだことを、5つの行動原則としてまとめ、解説してくれます。

 グローバル人材は、重要なテーマになりました。彼らに仕事の世界基準を学ぶ本は、ちょっとしたブームとなり、すでに類書もたくさん出ています。ただ、中には外資系出身者が書いているというだけで、内容が薄い本も少なくありません。「時間を守る」「ホメる」など、「世界標準というより常識では?」ということを列挙した本も増えています。

 さらに、鼻につくのが「外資系エリートビジネスパーソンが、ガラパゴス化した日本のビジネスパーソンに物申す」といった類の、上から目線の本です。自慢話のオンパレードに、読む気をそがれます。

 本書は、これらと一線を画します。まず、スタンスが違います。1人の日本人が「日本人と日本企業にグローバル化してもらいたい」という切な願いから、自ら学んだことを共有してくれます。

 また、指摘が本質的です。行動原則は「正しいワンマン」「リスクヘッジと決断力」「時間コントロール」「謙虚」「信念」の5つに集約され、それを1つひとつ詳述していくスタイルです。本質的なので、かえって国や業種、職種や立場を問わず、あらゆる状況下で応用しやすくなっています。読めばきっと、今の自分の仕事に生かせると思います。

 というわけで、「もっと成長して、エグゼクティブまで上り詰めたい」という方はもちろん、外資系で働きたい方、いずれ世界に羽ばたきたい方など、すべての前向きなビジネスパーソンにお勧めします。「外資系エグゼクティブ」の働き方とありますが、本書の内容は日本企業でも、できる人・上に行く人なら必ず実践している仕事術ばかりです。

日本人も外国人もできる人は間違いなく謙虚

 私にとって、印象に残ったのは「第四の法則」です。すなわち「謙虚とプライドを併せ持つ」という原則です。グローバル社会は、弱肉強食のイメージがあり、「謙虚さ」は意外に感じました。

 日本においては、できる人は間違いなく謙虚です。理由は、人は謙虚である限り、成長できるからです。反対に、傲慢になれば、学ぼうとしなくなりますので成長が止まってしまいます。だから経営者の中には、トイレ掃除をする人がいるのです。経営者は傲慢になりがちですが、トイレ掃除をするとその気持ちをリセットできます。謙虚さを忘れないための習慣なのです。

 本書を読んで、私も数少ない知り合いの外国人エグゼクティブを思い浮かべてみましたが、彼らも総じて謙虚でした。やはり謙虚さは、国籍を問わない「世界標準」といえるのかもしれません。

 エゴとプライドに関する考察も鋭いと思います。確かに実力のない“エゴの人”は外面を重視し、すぐに物事に優劣をつけ、上下関係ばかり気にしたり下の人をバカにしたりします。反対に、実力で地位をつかんだ“プライドの人”は、下の人たちの働きが大切だと理解しています。だからこそ、物事に優劣や上下関係をつけず、知らないことは真摯(しんし)に学ぼうとするのだと思います。

 また視点が「過去」に向いているか、「これから」に向いているかも、エゴとプライドとの違いとしていました。これもその通りです。本書はこのように、自分の進むべき道をはっきり教えてくれます。

 ほかにも、外資系と日本企業の違いとして「組織図が複雑」「人事異動」「役員の数」などを指摘しています。いずれも鋭い考察だと思いました。耳の痛い指摘もたくさんありますが、読めばむしろ日本の良さを実感し、世界に挑戦しようと前向きになれる内容です。グローバル人材を目指す人の、よい道しるべになると思います。

執筆=藤井 孝一(ビジネス選書WEB)

ビジネス書評家、読者数5万人を超える日本最大の書評メールマガジン『ビジネス選書&サマリー』の発行人。年間1000冊以上の書籍に目を通し、300冊以上の書籍を読破する。有名メディアの書評を引き受けるほか、雑誌のビジネス書特集でも、専門家としてコメント。著書は『読書は「アウトプット」が99%』(知的生きかた文庫)のほか、『週末起業』など、累計50冊超、うちいくつかは中国、台湾、韓国でも発刊されている。

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