ビジネスWi-Fiで会社改造(第44回)
ビジネスWi-Fiで"学び"が進化する
一瞬で自分を変えるセルフコーチング
林英利 著/ 三笠書房
セルフコーチングの本です。自分で自分をコーチングして気づきやひらめきを得て、自分を変えていきます。シンプルですが、驚くほど効果のある方法です。ポイントは、良質な質問を投げかけることです。質の良い質問こそが、質の良い気づきや学びに導くからです。それが自分を大きく変えるきっかけになります。
ただし、良い質問にはコツがいります。その方法を、これまでに2000人以上をサポートしてきたプロコーチの著者が教えてくれます。究極の自己改革メソッドが身につきます。
皆さんコーチングはご存じと思います。質問して相手の気づきを促し、行動につなげるコミュニケーションメソッドです。それを自分自身に行うのがセルフコーチングです。結局、自分を変えられるのは自分だけです。だから、自問することが最善の方法です。その方法を体系的に確立したのがセルフコーチングです。本書はそれを解説します。
構成は、2部に分かれています。前半でセルフコーチングの魅力を説き、後半でその具体的な方法を解説します。セルフイメージを上げる、行動力を磨くなど目的別に分類されています。特徴は、質問事例が豊富な点です。そしてセルフコーチングに生きる質問が厳選されていることです。
これまでもセルフコーチングは有益だといわれながら、そこに特化した本はあまりありませんでした。読めば自問自答がうまくなり、習慣になります。自分に本当に有用な答えが得られるようになるはずです。何よりセルフイメージが上がり、仕事や人生そのものが楽しくなるはずです。
くよくよ悩んでしまいがちな人、自分を変えたいと思っている人、考えることが苦手な人、知的生産性を高めたいと思う人などビジネスパーソンに広くおすすめできる本です。
人は、他人から指示や命令をされても、前向きに動けません。表向きはともかく本心は嫌々です。だから、パフォーマンスも満足度も上がりません。それは新入社員も子どもでも同じです。人の心を動かすなら質問しましょう。「やらないと後悔しない?」「自分の代わりに誰かがやってしまったらどうする?」「今すぐできることはない?」という具合です。
質問をすれば人は勝手に答えを探し始めます。その時必死で考えます。結果、自分で気づきを得ます。それは自分で得たものですから主体的に動くようになります。これが心から動くということです。それを可能にするのがコーチングです。だからこそ、マネジメントのスキルとして定着し、多くの人が部下育成やお客さまとの対話などに生かしています。
ただし、本当に効果があるのが、実は自分に対する問いかけです。そもそも、周囲に質問してくれる人がいなければ、自分でするしかありません。これがセルフコーチングというわけです。私はコーチングの会社も経営していますので、質問のスキルはひと通り身に着けました。従業員やお客さま、そして家族などとの対話にも役立ててきました。
そして本当に役立ったのは、やはりセルフコーチングでした。考えに行き詰まったり、決断に迷ったりした時、静かな環境に身を置いて、自問自答してきました。例えば、本書にもある「1年後どうしていたい?」などはよく使います。また「売り上げを100倍にするには?」「10日で終わらせるには?」なども効果がある質問です。
いずれにしろ、正しい答えには正しい質問が必要です。それを習得するのに、外国語のようにお金や時間はいりません。それでも身に着ければ効果絶大です。何より日常的に使いますので、知っているのと知らないのとでは結果が大きく変わります。どこかで身に着けておくと便利です。その手がかりとして本書は最適な参考だと思います。
執筆=藤井 孝一(ビジネス選書WEB)
ビジネス書評家、読者数5万人を超える日本最大の書評メールマガジン『ビジネス選書&サマリー』の発行人。年間1000冊以上の書籍に目を通し、300冊以上の書籍を読破する。有名メディアの書評を引き受けるほか、雑誌のビジネス書特集でも、専門家としてコメント。著書は『読書は「アウトプット」が99%』(知的生きかた文庫)のほか、『週末起業』など、累計50冊超、うちいくつかは中国、台湾、韓国でも発刊されている。
【T】
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