ビジネスWi-Fiで会社改造(第44回)
ビジネスWi-Fiで"学び"が進化する
自分を変える「脳」の習慣
宇都出雅巳 著
SBクリエイティブ
自分を変えるノウハウです。特に「自分の記憶」に着目します。誰もが、さまざまな悩みを抱えています。それを「克服しよう」と奮闘努力する人もいます。しかし、本書によると、それは逆効果です。いきなり過度に頑張ると続かないからです。確かに、勉強、ダイエット、禁酒禁煙など、一念発起したことほど、反動で元のもくあみになりがちです。
代わりに「記憶」を活用します。記憶をマネジメントすることで、効率的かつ確実に自分の行動をコントロールすることができます。結果、自分を変えることができます。その方法を教えてくれます。具体的には、脳科学や認知科学など、最新の研究成果を活用した方法で、脳の特性を生かしながら、管理していきます。まったく新しい努力の方法といえます。
構成としては、はじめに「自分を変えるには記憶を変えることが重要」ということを、認知科学の立場から、科学的な研究成果に基づいて紹介していきます。
続いて、症例ごとの対処方法を紹介します。自信喪失、三日坊主改善法、イライラ、クヨクヨ、ミス・失敗、苦手意識など、誰もが抱えがちな悩みや問題に応じて、具体的な解決法を教えます。
最後に、恐らくこれが最も重要な箇所だと思いますが「なりたい自分に変わる」方法として「未来記憶」という概念を紹介します。その上で、正しい「未来記憶」の作り方・育て方を学びます。
人生の悩みは、気合と根性だけでは解決できません。必要なのは科学です。「自信がない」「続かない」「動けない」など悩みを持つすべての人に朗報になると思います。「自信がない」「続かない」「動けない」は「脳や記憶の仕業」という主張は斬新です。でも、読めば納得感がありました。色々と思い当たる節があるからです。
よく「成功体験が自信を生み、それがやる気と根気を生み、最後に習慣になると結果につながる。それが良いスパイラルになることで成功できる」といいます。実際、その通りだと思います。ただし、それが成り立つのも「成功体験」を記憶しているからこそです。
本書では、その記憶に積極的に介入することで、自分が「なりたい自分」に向かって動けるように、促していきます。前提条件として「頑張る力には限界がある」ことを知ることです。そして、頑張る代わりに、環境や仕組みで継続し、頑張らずに済むように工夫することです。
私も、これまで「何かを始めたい」と思ったとき、付き合う人や環境を変えるとうまくいきました。例えば「勉強したい」なら、まず学校に行きます。学ぶ環境に身を置いてしまうのです。運動なども同じです。家で筋トレしたり、1人でジョギングしたりしても続きません。
代わりに、まずはジムに行って、運動せざるを得ない環境に身を置くほうが続きます。なお「未来記憶」の概念にも、納得感がありました。本書の事例にも出てきますが、私も「会社を辞めたい」と言いながら、一向に辞めない人をたくさん見てきました。
これは「これまでこの会社で働いてきたから、これからも20年働くだろう」と無意識に考えているから、というのが著者の言い分です。いわれてみれば、その通りだと思います。この場合も、まず「なりたい自分」を意識することです。そのためにオススメしたいのは、すでに独立した人と会う時間を増やすことです。こうして、独立した自分を「未来記憶」として意識するのです。
このように、本書の内容は、自分の体験に置き換えてみても、納得できることばかりでした。「何かを始めたい」とか、反対に「何かをやめたい」という人にも、一読をオススメします。
執筆=藤井 孝一(ビジネス選書WEB)
ビジネス書評家、読者数5万人を超える日本最大の書評メールマガジン『ビジネス選書&サマリー』の発行人。年間1000冊以上の書籍に目を通し、300冊以上の書籍を読破する。有名メディアの書評を引き受けるほか、雑誌のビジネス書特集でも、専門家としてコメント。著書は『読書は「アウトプット」が99%』(知的生きかた文庫)のほか、『週末起業』など、累計50冊超、うちいくつかは中国、台湾、韓国でも発刊されている。
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