ビジネスWi-Fiで会社改造(第44回)
ビジネスWi-Fiで"学び"が進化する
ロスの精神科医が教える 科学的に正しい疲労回復 最強の教科書
久賀谷 亮 著
SBクリエイティブ
疲労回復の本です。「疲れているのは身体よりも脳である」とし、脳の疲労を回復し、パフォーマンスをあげるスキルをいろいろと紹介します。
まずは、脳を仕事から切り離し、解放することでゆとりが生まれます。そのゆとりから「幸福感」を得ることができ、それが疲労回復につながります。その具体的な方法を教えます。25余年の経験から得た知見と科学的エビデンスに基づき、さらに比較文化的な視点も盛り込んだ内容となっています。いうなれば、ポスト資本主義時代の近未来における脳の使い方と疲労回復法です。
現代人は、疲れています。だから、街にはドラッグストアがあふれ、テレビをつければ健康番組ばかりです。職場では、連日のようにメンタルに支障を来す人が生まれています。
「その元凶は脳の疲労にある」というのが、精神科医である著者の見立てです。確かに、ネガティブな悩みを抱えて脳が常にアイドリング状態にあれば、脳は疲弊し、体も疲労していきます。だから、まずは脳に空白をつくるところから始めます。疲れた脳を休め、心と体を癒やせば、疲れを根底から退治することができます。本書には、そのための具体的な方法が紹介されています。
例えば「打たれ弱いならマラソンをする」「科学的に心が落ち着く音楽がある」などです。すぐできる簡単な方法ばかりです。しかも、100本超の論文から導き出された科学的な方法です。
「ストレスで眠れない」「他人に振り回されている」「コンプレックスに悩んでいる」「他人の目が気になる」「嫉妬が止まらない」、「月曜日が憂鬱」など、ストレスフルな日々を送る人にお薦めのラインアップとなっています。
本書の冒頭には、ワールド・ハピネス・レポートの報告が紹介されています。この調査報告書によると、世界の3分の1の国々で、人々は不幸せになっているそうです。中でも日本は先進国の中で最下位という衝撃の内容です。物質的に恵まれ、医療は大幅に進歩しました。それなのに、私たちは、ますます不幸になっているのです。その原因が、脳の疲れから来ていることは間違いないと思います。
なお、脳が疲労する原因の1つに、デジタル社会があるといいます。確かに私たちは四六時中、デジタル機器にさらされています。結果、脳はデジタルの処理速度に合わせなければならなく、それが負担になっていると書かれています。
脳の疲労は、不眠やメンタルヘルスの悪影響を及ぼし、結果的に体も疲れさせていきます。それ故、元凶である脳の休息から始めるべき、との著者の主張には説得力があります。
世間では「働き方改革」が叫ばれています。本書を読めば、特に「仕事との付き合い方」「働き方」を見直すことが、とても重要であることに気付くはずです。多くの場合、ストレスの温床は、やはり仕事です。第2章にある「仕事から距離を取る」の章は、その処方箋になっています。
例えば「疲労バロメーター」「上司や会社を疑う」「忖度(そんたく)禁止」「スケジュールの2割を空白にする」などは、仕事との距離感を見直す上で重要です。仕事を再考するきっかけにできると思います。
AIの時代になれば、人は働かなくてもよくなるそうです。そんな時代に、仕事で疲弊して不幸になるのはナンセンスです。職場や仕事との距離感を見直して、自分を取り戻すべきだと思います。
そして、仕事以外の時間を確保し、幸せを追求することに時間を割くべきです。本書には、そのために役立つスキルが紹介されています。仕事でお疲れの人は、必読の内容だと思います。
執筆=藤井 孝一(ビジネス選書WEB)
ビジネス書評家、読者数5万人を超える日本最大の書評メールマガジン『ビジネス選書&サマリー』の発行人。年間1000冊以上の書籍に目を通し、300冊以上の書籍を読破する。有名メディアの書評を引き受けるほか、雑誌のビジネス書特集でも、専門家としてコメント。著書は『読書は「アウトプット」が99%』(知的生きかた文庫)のほか、『週末起業』など、累計50冊超、うちいくつかは中国、台湾、韓国でも発刊されている。
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