ビジネスWi-Fiで会社改造(第44回)
ビジネスWi-Fiで"学び"が進化する
人を知り、心を動かす
井上礼之著、プレジデント社
リーダーシップの本です。真のリーダーになるために何を考え、何をすべきかが分かります。また、リーダーとして悩んだり、つまずいたりしたときに役立つアドバイスが詰まっています。
著者は、あのダイキン工業を空調機器の世界最大手に飛躍させた方です。事業を150カ国以上に展開し、約8万人を率いる会社のリーダーが経験を基に語ります。
もちろん、率いる組織の規模が違い過ぎるかも知れません。そのため、そのまま仕事に生かせない人も多いと思います。それでも、読めば自分流に応用できるところがいろいろとあると思います。著者は、メンバーに関心を持ち、深く知ることを重視しています。これはマネジャーの心得にも通じます。これができなければ、リーダーの役割も果たせないというのが著者の信条ということです。
形式は、リーダーシップに関する読者の問いを紹介し、著者が答えていくという形で進みます。
例えば「リーダーはどんな言葉をかけるべきか」「価値観が異なる人材を生かすには」という問いです。
これらの質問がテーマごとに分類されています。リーダーの心構えに始まり、叱り方・褒め方などコミュニケーション、チーム作り、成果の出し方、最後にリーダーの資質を説いて締めくくります。もちろん、ダイバーシティー、AI(人工知能)など、昨今の時代背景も想定しています。これからの時代にリーダーとして活躍するために必要な心構えや方法が分かるはずです。
というわけで、規模や業種を問わずあらゆる組織のリーダー必読です。また、間もなくリーダーになる人、いずれリーダーになりたい人など、リーダー予備軍にもオススメです。
リーダーは、難しい仕事です。でも、やりがいは大いにあります。何より、自分が人として、もっとも成長できるチャンスです。機会があるなら、ぜひ挑戦してほしいと思います。もちろん、難しさもあります。特に、あるべき姿が時代や環境で変わるためお手本が見つけにくいからです。自分で考え、試行錯誤しなければならないことが多いのです。
例えば、私の育った時代は、上司は言葉より行動で示すという敎育でした。大声で叱られたり、怒鳴られたりは普通にありました。また、指導は職場でなく飲み屋でという人もたくさんいました。今、そういう上司は評価されません。それどころかハラスメント認定されます。自分がされたように部下に接すると、リーダー失格どころか犯罪者にさえなりかねないのです。
さらに、昨今はリモートワークが進み、直接会うことさえままならなくなっています。そんな中、どうやって部下を知り、鼓舞すべきか、自分で見つけるしかありません。ただ、このようにリーダーの在り方が変わるのは、いつの時代も同じです。リーダー像は、時代や環境に応じて絶えず変化するものなのです。リーダーシップ論の変遷を学べばよく分かります。
本書も読むまでは「中身は古いのではないか」と不安を感じていました。何せ、著者は50年以上前からリーダーをしていた方です。でも、まったくの杞憂(きゆう)でした。本書を読んで、改めて「変わらないことも多いのだ」ということを再確認しました。経営者はリーダーシップを学ぶべく、中国古典や歴史小説に当たる意味もそこにあるのです。
例えば、著者の言う「メンバーの成長こそが組織の成長の基盤」とか「メンバー1人ひとりを理解する努力が不可欠」などは、変えてはいけないことの典型です。そんな、変わらないリーダーシップの真理が本書から学べます。自分の理想のリーダー像を見つける上でヒントになることが詰まっています。世のすべてのリーダーたちに一読をオススメします。
執筆=藤井 孝一(ビジネス選書WEB)
ビジネス書評家、読者数5万人を超える日本最大の書評メールマガジン『ビジネス選書&サマリー』の発行人。年間1000冊以上の書籍に目を通し、300冊以上の書籍を読破する。有名メディアの書評を引き受けるほか、雑誌のビジネス書特集でも、専門家としてコメント。著書は『読書は「アウトプット」が99%』(知的生きかた文庫)のほか、『週末起業』など、累計50冊超、うちいくつかは中国、台湾、韓国でも発刊されている。
【T】
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