ビジネスWi-Fiで会社改造(第44回)
ビジネスWi-Fiで"学び"が進化する
世界一シンプルな問題解決
中尾隆一郎 著/ フォレスト出版
課題解決のノウハウです。私たちの日常は、課題解決の機会であふれています。とりわけビジネスは課題解決の連続であり、そのレベルが大きなインパクトを与えます。
にもかかわらず、私たちは課題解決の方法を学んできていません。結果、多くの人が我流でやっています。そのため遠回りしたり、最適解に近付けなかったりします。一度、正しい方法を知っておくべきです。本書はそんな課題解決の方法を教えてくれます。
それはタイトルにある通り、極めてシンプルな方法です。わずか4つのステップを意識するだけで、課題解決力が飛躍的に向上します。著者は、経営者向けの塾でアドバイスしている経験から、本書のメソッドを確立したといいます。週13時間、累計約2万5000件の問題・課題に対応した結果、たどり着いたそうですから本物です。
具体的には「現状把握」「解釈」「介入」「感情を保留」の4ステップを用います。これが意識できれば課題を特定し、解決策を見つけ、現場に実行してもらえるようになるといいます。
本書では、特に課題特定の大切さと難しさについて説き、その上でプロセスとマトリクスを紹介、課題を深掘りする解釈や課題解決の介入、課題解決をはばむ「感情」を保留する方法などを解説しています。難しそうに聞こえるかもしれませんが、いずれもシンプルです。加えて図版を多用し、ケーススタディーも紹介されるなど、読者の理解を高める工夫がされています。
仕事柄、課題解決の機会が多い人はもちろん、これまで課題解決の手法を学んでこなかった人や、かつて学んだものの、今ひとつ使いこなせていない人など、経営者から新入社員にまでお薦めします。
課題解決は大事です。現代は、先の見えない時代です。想定外の課題に直面する頻度も高く、多様化しています。当然、難易度も上がっていますし、スピードも求められています。だからこそ、正しい解決能力を身に付けるべきです。著者は「ビジネスパーソンの課題解決力は、武士の刀ややりの腕前と同じ」とさえ言っています。仕事の力量が解決力で問われるのですから当然です。
これほど重要なのに、なぜか学校でも職場でも課題解決について教わりません。実は課題解決は、方法が確立しています。ビジネス書の人気のテーマでもありますから、書店に行けば誰でも簡単に手に入れられます。しかし、普段本を読まない人にとっては、知る機会さえないと思います。ですから「知る人ぞ知る」という状態になっています。その結果、解決力も人によって大きな差があります。
課題解決法を知らなくても、我流でやれば何とかなります。実際、多くの人が我流で済ませています。でも、到達できるレベルや所要時間には雲泥の差が生まれます。それで評価されてしまうのですから、怖いものです。
サラリーマン時代は私も課題解決法など知りませんでした。我流でやって、できたつもりでいました。当時は今ほどノウハウが出回っていなかったため、それで済みました。しかし無駄も多かったと思います。その後、コンサルタントを志し、本格的に学びました。先輩コンサルタントからも徹底的にたたき込まれました。そのとき、今までまるでできていなかったと思い知らされました。
経営者になってからは、毎日が課題解決の日々でした。内容も、人、物、金と多岐にわたりますし、解決の頻度も難易度も上がりました。そこでは、学んできたことが大いに役立ちました。こうして問題解決を学び、実践してきた私ですが、そんな私でも、本書から学ぶところは数多くありました。例えば課題を特定する手法や感情を保留する方法などは、とても参考になりました。
課題解決の方法を学びたいなら、まずは本書で学んでみることをお薦めします。類書に比べて分かりやすいので、最初に手にするにはよい本です。仕事のやり方と成果がすぐに変わると思います。
執筆=藤井 孝一(ビジネス選書WEB)
ビジネス書評家、読者数5万人を超える日本最大の書評メールマガジン『ビジネス選書&サマリー』の発行人。年間1000冊以上の書籍に目を通し、300冊以上の書籍を読破する。有名メディアの書評を引き受けるほか、雑誌のビジネス書特集でも、専門家としてコメント。著書は『読書は「アウトプット」が99%』(知的生きかた文庫)のほか、『週末起業』など、累計50冊超、うちいくつかは中国、台湾、韓国でも発刊されている。
【T】
読書でビジネス力をアップする