疲れ解消★カンタン!アンチエイジング(第68回) ミトコンドリアを活性化する食事で免疫機能を高める

ヘルスケア

公開日:2021.02.12

 感染症との戦いが続いています。終息を実現するためには1人ひとりの感染症対策はもちろん、ワクチン接種が待たれるところですが、一般接種が始まるまでにはもう少しかかりそうです。そこで今回は、ウイルスに負けない体づくり、免疫力アップについて専門家の知見を紹介します。

 第66回の記事では、免疫機能の維持・向上に役立つ食事面の工夫として腸の活性化に役立つ食事メニューをご紹介しました。この“腸活”と併せて取り組むことでより免疫機能の強化に期待できるのが「ミトコンドリアの活性化」との情報をキャッチしました。ここで、「ミトコンドリアって何?」という人のために簡単な説明を述べておきましょう。

 高校の生物基礎で扱う内容によると、ミトコンドリアは、核を持つ細胞(真核細胞)からなる生物の細胞に含まれる細胞小器官の一種であって、体内エネルギー(アデノシン三リン酸:ATP)を呼吸によって産生する役割を担っているといいます。人間の細胞にも例外なくミトコンドリアは存在し、厚生労働省の健康情報サイト「e-ヘルスネット」にある用語辞典によると、その数は1細胞当たり100個から2000個程度、人体の有酸素性エネルギー代謝はミトコンドリアがないと成り立たないことが読み取れます。

 この、ミトコンドリアの活性化が免疫力アップに役立つという情報を確かめるため、国産ワクチン開発の第一人者・大阪大学大学院医学系研究科教授の森下竜一先生に詳しく伺いました。

20代から始めたい免疫老化の予防

 「一説によると、免疫機能のピークは20歳、40歳では半分になるといわれています。その理由の1つが“胸腺”の退化です」と森下先生。胸腺は左右の肺の間のやや上かつ前の方に位置し、胸骨の裏側にある器官のこと。細胞性免疫に非常に重要な働きを持つT細胞は胸腺(Thymus)で成熟することから、その頭文字を取って命名されました。胸腺は体の中でも一番老化が進む器官のため、加齢と共に胸腺の働きが低下し、免疫機能も比例して低下しやすくなるといいます。

 森下先生はこうした、いわゆる免疫老化を防ぐには、細胞のエネルギーを作り出すミトコンドリアの活性化が必要不可欠だと言います。免疫機能は大きく分けて自然免疫系と獲得免疫系の2つがあり、獲得免疫系には抗体を作ったり抗原を排除したりする役割のB細胞や、免疫細胞の指示や異物への攻撃などを担うT細胞があります。

 森下先生によると「ミトコンドリアの働きが悪く十分な栄養が供給されないと、これら免疫細胞の分化に影響し、数と質が低下します。従って、ミトコンドリアの働きを高めて免疫細胞のエネルギー循環を整えることが、免疫老化の予防につながるのです」と話します。

ミトコンドリアの働きを活性化し免疫老化を防ぐ食事

 森下先生によると、ミトコンドリアの活性化には、バランスの良い食事に加えて、“コエンザイムQ10(CoQ10)”を含む食品を積極的に摂取することをオススメとのこと。コエンザイムQ10はミトコンドリアによるエネルギー生産をサポートする補酵素で、酸化(老化)を促進する活性酸素を軽減する抗酸化物質です。

【コエンザイムQ10の含有量(可食部100g中)】※
イワシ……約6.4mg
豚肉……約3.3mg
牛肉……約3.1mg
オリーブ油……約0.7mg
ブロッコリー……約0.9mg
卵……約0.4mg
※Kamei Metal, IJ Vit Nutr Res 56:57-63; Kubo H et al, J Food Comp Anal 21:199-210, 2008

 さらに、コエンザイムQ10には酸化型と還元型があり、ミトコンドリアの活性化や抗酸化作用が得られるのは還元型CoQ10だという。還元型は油に溶ける性質があるため、上述の食材を炒め物やカルパッチョなどで油と共に取り入れるのが効率的。例えば、焼き肉のつけ合わせにブロッコリーを添える、イワシと卵を煮物にするなど、コエンザイムQ10が摂取できる食材を組み合わせていくこともいいそうです。

 食事の工夫に加え、十分な睡眠、適度な運動、ストレスや疲労の軽減も、免疫力の向上には欠かせませんと森下先生。感染症対策が長く続くと、運動不足やストレス過多にも陥りがちです。今一度生活を見直して、寒さと乾燥の厳しい時期を乗り切りましょう。

【取材協力】
森下 竜一(もりした りゅういち)先生
大阪大学大学院医学研究科 臨床遺伝子治療学寄附講座教授
大阪大学医学部卒業後、米国スタンフォード大学循環器科研究員、大阪大学助教授大学院医学系研究科遺伝子治療学を経て現職。アンジェスMG社創業、バイオベンチャー支援のためのバイオサイトキャピタル社創業。現在、新型コロナウイルスワクチン開発をめざす。

 

※掲載している情報は、記事執筆時点のものです

執筆=Nao Kiyota(Self Training Café)

美容・健康ライター。ダイエットアドバイザー、リンパケアセラピスト、心理カウンセラーの資格を生かし、健康で美しくなるためのセルフトレーニング法を発信している。最近カメラを購入。写真で「もっとわかりやすく」伝えられるよう、日々修行に励んでいる。抹茶ラテ(豆乳・シロップ抜き)と足つぼマッサージが大好き。

【T】

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