疲れ解消★カンタン!アンチエイジング(第96回) 出会いの春にすすめたい、お酒との付き合い方

ヘルスケア

公開日:2024.04.11

 新たな始まりや新しい出会いを祝う春。同僚やビジネスパートナーとの関係を深める機会が増えるとともに、飲酒の機会も増えがちな季節です。仕事では大きなミスや失敗とならないように、また、暴飲暴食で体形や体調を崩さないよう、今回はお酒との楽しい付き合い方について考えてみましょう。

飲み過ぎはアンチエイジング・信頼構築の敵と心得よう

 お酒はアルコール飲料ですから、当然アルコールが含まれます。アルコールは主に肝臓でアセトアルデヒドに代謝され、アセトアルデヒドは酢酸へと分解されます。この分解の過程が遅い体質の人は、少量の飲酒でもフラッシング反応(顔が赤くなる、吐き気がするなど)が起きやすく、二日酔いになりやすくなります。飲み過ぎればこの影響は強くなります。お酒に強い人でも飲み過ぎれば代謝に時間を要し、翌日の体調に悪影響が出るでしょう。

 相手の信頼を損ねないためにも、飲み過ぎないことはお酒と上手に付き合う第一歩になります。ビジネスパーソンなら、酩酊(めいてい)するほどの飲み方は厳禁です。酩酊(めいてい)は記憶の途切れ、無くし物、一緒にお酒を楽しむ相手とのトラブル、けがなど“お酒による失敗”の温床になります。無用なトラブルで個人だけでなく、会社の信用を失わないように注意しましょう。

 また、お酒の場では糖質を過剰摂取しがちです。余分な糖は、体内のたんぱく質や脂質と結びついて「糖化」といわれる現象を引き起こします。糖化は臓器や骨、肌などに悪影響を与えます。本コラムの第6回では、糖化を抑制する飲み方を推奨しました。飲み過ぎ・食べ過ぎで余分な糖質が増えると内臓が疲弊し、全身の臓器の疾病やメタボに発展する可能性があります。健康な肌や体調維持のためには、糖質を抑えた飲み方が必要だと覚えておいてください。

飲み過ぎない適度な飲酒量とは

 厚生労働省が2024年2月に公表した「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」では、自身のアルコール摂取量の把握、健康管理に活用できる数値として、お酒の「純アルコール量」を提示しています。純アルコール量は「摂取量(ml)×アルコール濃度(度数/100)×0.8(アルコールの比重)」で算出できます。例えばアルコール度数5%のビール500mlの純アルコール量は、「500(ml) × 0.05 × 0.8 = 20(g)」で20gとなります。

 同じく厚生労働省が推進する「二十一世紀における第三次国民健康づくり運動(健康日本21)」では、生活習慣病のリスクを高める飲酒量として1日当たりの平均純アルコール摂取量を男性で40g、女性で 20g以上と定義し、その量を飲酒している者の割合を減少させる目標を掲げています。

 しかし、生活習慣病のリスクを高める飲酒量より少なければ大丈夫、と安心してはいけません。「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」では、疾病別の発症リスクと飲酒量の関係が示され、目標量は決して個々人の飲酒許容量を示すものではないとのただし書きがあります。

 お酒の代謝能力には個人差があり、さらに年齢や疾患、臓器の状態による個人差もあるため、「お酒の適量」に絶対的な指標はありません。飲酒によって高まる疾病リスクや無用なトラブルを避けるためにも、こうした目安を知っておくことは大切です。定期的な健康診断で自身の健康状態を把握し、飲み方・食べ方を見直しましょう。飲んでも不調を感じず、定期的な検査で内臓機能の低下や不調が見つからない程度が、自分に適した飲酒量ではないでしょうか。個人の判断では心配なら、かかりつけ医や管理栄養士に相談してみましょう。

体に負担を掛けないお酒の楽しみ方

 アルコールによる体への負担を軽減するには、飲酒量だけでなく水分補給や糖質を抑えた食事が必要です。

 アルコールには利尿作用があり、水分が尿として排出されると脱水症状を起こしやすくなるため、お酒と同量の「水」を飲むように心掛けましょう。体内の水分量は高齢になるほど減っていき、若い時と同等量のアルコールを摂取すると酔いやすくなります。こまめに水を口にすれば飲み過ぎや肝臓への過度な負担を防ぐことにもつながりますから、ぜひ実行してください。冒頭でも少し触れましたが、アルコールが分解されてできるアセトアルデヒドが肝臓で処理しきれずに残ると、つらい二日酔いに悩まされやすくなります。この処理には水分が必要なため、飲酒時だけでなく飲酒後の水分補給も徹底しましょう。

 アルコールの代謝をサポートするには、ビタミン・ミネラル類やたんぱく質の補給が効果的です。糖質の過剰摂取や消化に負担の掛かる脂料理、濃い味付けの料理を避け、素材を生かしたシンプルな味付けの料理を楽しみましょう。お酒の締めにはラーメンやおにぎりよりも、ビタミン・ミネラル類を手軽に補える味噌汁がおすすめです。相手のいるお酒の席であっても、互いの健康に気を使い合えるとよいですね。

全員が楽しめるお酒の場にするために

 お酒の場では他者への迷惑行為につながらないよう自分の飲み方をコントロールするとともに、相手の適量を尊重できるビジネスパーソンであってほしいものです。特定非営利活動法人ASKが公開している「アルハラの定義5項目」には、アルコール・ハラスメントの定義が端的にまとめられています。ぜひ参考にして、宴席に集うメンバーには禁止事項の周知をお勧めします。

 取引先との会食や宴会の幹事を引き受けた際には、気軽に水分補給できるようテーブルに全員分の水を確保したり、食事メニューに具沢山で栄養豊富なスープ・味噌汁を加えたりと、その場にいる全員が飲み過ぎず不調を防げる工夫を取り入れると、楽しいコミュニケーションの場を提供しやすくなります。

 ビジネスパーソンにとって宴席は、あくまで業務コミュニケーションツールの1つです。目的を見失わないよう、配慮し合える環境づくりやルール設定を上手に取り入れて、参加者がお互いに気分よく過ごせる、健康的な飲み方を実践しましょう。

執筆=Nao Kiyota(Self Training Café)

美容・健康ライター。ダイエットアドバイザー、リンパケアセラピスト、心理カウンセラーの資格を生かし、健康で美しくなるためのセルフトレーニング法を発信している。最近カメラを購入。写真で「もっとわかりやすく」伝えられるよう、日々修行に励んでいる。抹茶ラテ(豆乳・シロップ抜き)と足つぼマッサージが大好き。

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