ビジネスWi-Fiで会社改造(第44回)
ビジネスWi-Fiで"学び"が進化する
最後に涙を流したのは、いつですか?
脳科学では、内に秘めた泣き言を涙とともに流すと、脳をリセットして前向きになれることが分かってきています。泣くことは決して恥ずかしいことではなく、ストレス解消に大きなメリットがあるのです。思いっきり“泣いて”ストレスを解消させるという「涙活(るいかつ)」を提唱する団体も出て来るほど、涙のリフレッシュ効果に注目が集まっているといえるでしょう。
ジャージ姿に真っ赤なメガネがトレードマークの“なみだ先生”として全国を飛び回り、学校や企業、子どもからお年寄りまで、幅広い人々を対象に「涙活」を行っている感涙療法士※の吉田英史氏に涙活の実例と、泣くことの効用を聞きました。
※感涙療法士とは任意団体の認定資格です
吉田氏が行っている涙活では、感動による「泣き」とストレス緩和のメカニズムについての講義を行います。もちろん、理屈だけでなく、泣ける動画の鑑賞、内に抱えている泣き言を紙に書き出して自身と向き合う「泣き言セラピー」、講義の参加者同士で泣ける話を作って発表し合う「涙作文」などを行い、能動的に涙を流します。そうすることで、日ごろのストレスや抱え込んでいる悩みが解消するそうです。
例えば、泣き言セラピーでは、涙形の画用紙に自分の泣き言を書き出し、「涙千箱」に入れます。そして、なみだ先生からのアドバイスをもらいながら、内に秘めた気持ちを自身から離すようにします。
セロトニン※研究の世界的権威、東邦大学名誉教授で脳生理学者・医師の有田秀穂氏によると、感動的なビデオを視聴して号泣した前後に実施したPOMS 心理テストの結果、泣くことで混乱・緊張・不安が減少し、気分が“スッキリする”ことが判明したそうです。またこの効果は、笑いのビデオを見た場合よりも強く、かつ長時間持続することも分かりました。
反射や生理的に流す涙ではなく、感動や共感から湧き上がる“情動の涙”は、脳を緊張やストレスを感じた際の交感神経が優位な状態から、リラックス時の副交感神経が優位な状態へと導きます。その結果、心理的には混乱の低下・消失をもたらし、スッキリ感を与えるといいます。
※セロトニン……心を癒やし、安定感や平常心をもたらす脳内物質。不況や情報過多によるストレス、生活習慣の乱れによって不足しやすい。
吉田氏は、泣きのストレス解消効果が持続するのは1週間程度だと説明します。つまり、週に1回程度、“情動の涙”を流す活動を習慣化することで、ストレスによる心身の不調を予防・改善したり、心を前向きに整えたりする効果が期待できるというわけです。
2〜3分程度の短い動画や短編小説でかまいません。休日などを利用して、感動できる動画を見たり、読書をしたりして情動の涙を流しましょう。内に秘めた泣き言を書き出して自身を客観的に見つめたり、家族や友人、同僚の泣き言を聞いて共感したりするのもお勧めです。出てきた泣き言と向き合うことで、“どうすれば、自分の今の苦しい状態を脱することができるのか”を冷静に考えることができます。
ただし、どんなストーリーに感情が動くのかという“泣きのツボ”は、人によって異なります。さまざまな動画の視聴や読書を通して自身の泣きツボを見つけると、涙活がしやすくなるでしょう。
涙活を福利厚生の一環として取り入れる企業も出てきました。体験した人々からは、「涙を流したら、確かに脳がスッキリした感じがある。仕事の能率が上がりそう」「ふだん、険しい表情をしている上司が泣いていたので、びっくりした。近づきがたいイメージが一新した」「泣ける動画リストを作って、仕事でストレスがたまってきたら、スマホで、休憩時間に眺めて泣くようにしたい」といった感想が出ているそうです。
会社のチームで内に秘めた泣き言を共有し合えば、ストレス解消に加えて絆を深めるきっかけにもなる「涙活」。もちろん、ここまで専門的に取り組むのではなく、感動した際に力を抜いて泣くだけでも、スッキリと気持ち新たに前に進むきっかけになるでしょう。恥ずかしがらずに涙を流すのも健康法の1つです。
執筆=Nao Kiyota(Self Training Café)
美容・健康ライター。ダイエットアドバイザー、リンパケアセラピスト、心理カウンセラーの資格を生かし、健康で美しくなるためのセルフトレーニング法を発信している。最近カメラを購入。写真で「もっとわかりやすく」伝えられるよう、日々修行に励んでいる。抹茶ラテ(豆乳・シロップ抜き)と足つぼマッサージが大好き。
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