ビジネスWi-Fiで会社改造(第44回)
ビジネスWi-Fiで"学び"が進化する
鬼速PDCA
冨田和成 著
クロスメディア・パブリッシング(インプレス)
仕事の進め方のモデルを紹介し、具体的な方法を教える本です。あの、誰もが知っているPDCAサイクルを使えば、自分も、チームも10倍速で進化することができます。
PDCAサイクルを知らないビジネスパーソンはいないはずです。ところが、その割に具体的なやり方が理解されているとはいえません。そのせいか、実践している人もあまり見たことがありません。そんな古くて新しいPDCAを、フレームワークに昇華、超高速で回すことで、圧倒的スピードで成果を出し続けることができます。しかも、スピードはどんどん加速します。その方法が分かります。本書のやり方は、著者が仕事の中で開発したオリジナルのものです。
それが、著者の圧倒的な業績で実証されています。しかも、組織のマネジメントだけでなく、個人のスキル習得にも生かせます。具体的には、目標へのロードマップをロジカルに導く「因数分解」や、仕事の先送りを無くす「半週ミーティング」など、ユニークなノウハウばかりです。
取り上げる事例は、営業と英語学習です。それが40点以上の図版と共に解説されます。そのため、どんな階層にあるビジネスパーソンにとっても理解しやすいはずです。さらに「工数棚卸しシート」「鬼速進捗管理シート」「なるほどシート」「ルーチンチェックシート」など、各種シートが充実しています。これらは、無料でダウンロードすることができます。
というわけで、キャリアアップと高収入をめざす人はもちろん、管理職や経営者、そして勉強中の方まで、すべてのビジネスパーソンにお勧めします。PDCAはあまりに有名な手法です。私も本書のタイトルを見た時、「今さらPDCA?」と驚いたクチです。でも、確かに具体的な進め方まで、突き詰めて理解していませんでした。
何となく「やりっ放しでなく、随時進捗をチェックして、修正しながら進める」くらいの理解でした。結果、ムダな会議が増え、むしろ仕事が遅れるという、マイナスイメージさえ持っていました。このように、PDCAは、誰もが知っている割に、使いこなせていないのです。だからこそ、シッカリ回すことで、周囲と段違いの成果を上げることができるようになります。そう著者も言っています。
手つかずの重要案件が進み、普段はのんびりなチームが10倍速で動き出し、個人もどんどん成長できます。結果、同僚はもちろん、上司や先輩まで抜き去ることができるのです。
本書は、PDCAを個別のビジネススキルの上位概念として捉えたところが画期的です。PDCAが身に付けば、各手法やスキルの習得を加速させることができるのです。著者の言うように、今時は新しいビジネスモデルやテクノロジーが、組織の差別化要因になり得ません。瞬時に世界中でまねされ、陳腐化してしまうからです。
結果、組織には、新しい仕組みやサービスを高速で生み出し続ける組織力と、変化に瞬時に対応できる柔軟性が求められます。それができる企業だけが勝ち残るのです。これを受け、個人レベルのスキルも賞味期限が短くなっています。次々と登場する新しいスキルの習得に追われ「肝心の仕事をする時間が取れない」といった悪い冗談のようなことさえ起きています。
だから、個別のスキルを習得するより、まずはPDCA力を身に付けたほうがいいのです。これが本書のメッセージです。こんな風に、PDCAサイクルを組織のマネジメント手法でなく、個人の成長ツールとして解説している点も斬新です。読んで、すぐにサイクルを回せば、驚くような成長が期待できると思います。
執筆=藤井 孝一(ビジネス選書WEB)
ビジネス書評家、読者数5万人を超える日本最大の書評メールマガジン『ビジネス選書&サマリー』の発行人。年間1000冊以上の書籍に目を通し、300冊以上の書籍を読破する。有名メディアの書評を引き受けるほか、雑誌のビジネス書特集でも、専門家としてコメント。著書は『読書は「アウトプット」が99%』(知的生きかた文庫)のほか、『週末起業』など、累計50冊超、うちいくつかは中国、台湾、韓国でも発刊されている。
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