ビジネスWi-Fiで会社改造(第44回)
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「税務調査」をご存じでしょうか。 税務署などの行政機関が会社や個人を訪れ、納税の申告内容を確認するというものです。
調査の通知はある日突然やってきます。例えば、経理課や財務部に税理士から電話がかかってきて「●月●日~●月●日までの●日間、御社に税務署職員または国税局局員が税務調査にやって来て、帳簿関係や納税状況を調査する」と、唐突に伝えられます。
なんとなくのイメージは湧いても、税務調査ではいったい何を調べられるのか、特に準備や対策をすることは何なのか……不安なことも多いでしょう。今回は、突然やってくる税務調査に慌てないために、対応のポイントを紹介します。
税務調査とは、税法に定められている質問検査権に基づき行われる帳簿書類やその他証拠書類などの検査です。堅苦しく言うとこのようになりますが、要は帳簿書類の検査をし、納税額が不足していれば追加で徴収する手続きです。
企業側で税務調査に対応するのは、主に代表取締役、取締役、財務担当者です。しかし必要に応じて営業、製造現場などにも調査が行われることがあります。建前上は「任意調査」ですが、断ると強制調査に移行するので、断らないほうが無難です。
追加で納税が発生すると、延滞税も付くため、会社経営の観点から見て大変つらいものになります。しかも、会社の経営者や財務担当者だけが、きちんと経理・税務をやっていれば防げるものでもありません。営業担当や製造担当などの認識が不十分で、納税不足につながることもあるからです。
税務調査は、通常、次の手順で行われます。
(1)事前連絡→(2)実地で経営者や財務担当との面談→(3)経理資料の確認→(4)経理資料に基づいた裏どり確認→(5)結果報告
ここで一番のポイントが、(4)の「経理資料に基づいた裏どり確認」です。資料が真実かどうかを徹底的に調べられます。
経理資料において、気にしておいたほうがいいポイントは「請求書」と「棚卸し」です。
税務調査官は「請求書」については帳簿と突き合わせ、疑義が生じれば実態を細かく調査します。曖昧になっている内容については、営業担当者はもちろんのこと、請求先であるクライアントにまで電話をかけたり、直接訪問したりして資料を回収して付き合わせます。
例えば取引先に値引き販売を行った場合。計算根拠なく値引きなどしていると“リベート(賄賂)をもらっているんじゃないか”と、あらぬ疑いまで掛けられてしまい、大変なことになります。
また、棚卸しも目を付けられやすい項目です。実際に国税調査官が棚卸しをすることもあります。商品や消耗品を数えるのはもちろん、仕掛かり中の製造物についても、日報や行程表などを見ながら帳簿上の金額が適切かをチェックしてきます。日報や行程表をしっかり書き、完成具合をもれなく報告することが、税務調査の対策になります。
例えば、決算日時点で会社に残っている資産(商品はもちろん、事務所内にある消耗品も含め)がもれなく上がっているか、仕掛け中の製作物については決算日終了時点で作業時間数を報告できているか、といった点が重要です。
税務調査の日数にはかなりの幅があります。例えば帳簿書類や上記の事項に疑義が出た場合は、“ほかにもあるのではないか”という思考が調査員に働き、期間が延長されることがあります。調査への対応は通常業務と並行して行わなければなりませんので、調査が延長されれば、その分経営者は売り上げにもならない仕事を抱えることになります。また、営業社員や製造社員への聞き取りはもちろん、クライアントへの聞き取り、銀行口座の閲覧なども行われるケースがあります。調査対象になればストレスを感じるでしょう。
日常から税務調査を気にしながら仕事をするのは大変です。しかし、請求書や日報・行程表をもれなく書くなどを習慣化しておけば、たとえ税務調査があっても経営者も社員もクライアントも誰も困ることなく、スムーズに対応できます。普段から万一のことを考えて、当たり前の業務を、当たり前にやることを心掛けておきましょう。
執筆=神谷 拓摩(かみや会計事務所)
大阪府吹田市出身。2002年3月履正社高校卒業、2006年3月慶應義塾大学商学部卒業。その後6年間、税務会計事務所、税理士事務所にて税務、会計事務に従事する。2014年6月に独立、かみや会計事務所開業。
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税理士が語る、経営者が知るべき経理・総務のツボ