ビジネスWi-Fiで会社改造(第44回)
ビジネスWi-Fiで"学び"が進化する
改正電子帳簿保存法対応など、どんどん押し寄せる電子化の波。ただ、「電子化」と言われても周りに詳しい人はおらず、よく分からない。そんなIT初心者の社長にも、分かりやすく理解できるようにITキーワードを解説する本連載。今回は、電子帳簿保存法でも利用されるタイムスタンプだ。
「社長、電子帳簿保存法について対応準備を進めているんですが、タイムスタンプを入れてもいいですか」(総務兼IT担当者)
「『タイム・イズ・マネー。時は金なり』じゃ。やらなければいけないなら早くしなさい」(社長)
「ありがとうございます。珍しく話が早い。ではタイムスタンプを早速検討します」
「スタンプ?ゴム印で押すのか」
「スタンプは刻印のことで、タイムを刻印するからいわば“時間スタンプ”です。あれ、社長と話していると、何が何だか分からなくなってきたじゃないですか」
「時間の無駄にならないようにタイムスタンプを説明しなさい」
タイムスタンプは、電子データに時刻情報を付与し、データの存在と改ざんされていないことを証明する技術です。例えば、電子データ作成時にタイムスタンプを付与すれば、その時刻に電子データが存在したことと、付与後に電子データが変更・改ざんされていないことを証明できます。電子帳簿保存法への対応で利用されている他、知的財産の保護が必要な電子文書などでもタイムスタンプが活用されています。
タイムスタンプ付与のイメージ
Q タイムスタンプはどこが発行するのでしょうか
第三者機関である時刻認証局がタイムスタンプを発行します。タイムスタンプには、総務大臣が認定する時刻認証事業者が発行する「認定タイムスタンプ」があり、利用が進んでいます。
Q タイムスタンプの仕組みはどのようなものですか
電子データが変更や改ざんされていないことを証明する仕組みは、ちょっと難しくなります。なので、まずは「変更・改ざんされたら分かるようになっている」と知っていただければOK。少し具体的なお話をすると、タイムスタンプでは電子データをランダムな値に置き換えるハッシュ値を利用し、データのハッシュ値に時刻情報を付与します。もしデータが変更・改ざんされたらハッシュ値も変わるため、改ざんされたことが分かります。
Q タイムスタンプが不要な場合もあると聞きました
改正電子帳簿保存法により、要件を満たしたクラウドサービスを利用して電子データを保存する場合、タイムスタンプの付与が不要になりました。データの訂正・削除の事実を確認できることなど、いくつかの要件を満たせばタイムスタンプが不要になります。どんなクラウドサービスが適しているのか、ITサービス事業者に相談するといいでしょう。
「社長、タイムスタンプがどんなものか、分かっていただけましたか」(総務兼IT担当者)
「タイムスタンプが大切なことは分かった。タイムスタンプが不要の場合もあるんだな」(社長)
「時は金なり、です。早く進めましょう」
「ちょっとタイム。考える時間をくれ」
「そんな~時間切れにならない前に決断してくださいね」
執筆=山崎 俊明
【MT】
脱IT初心者「社長の疑問・用語解説」