脱IT初心者「社長の疑問・用語解説」(第45回) 運気を急上昇させる仮想デスクトップ

IT・テクノロジー

公開日:2021.09.15

 そもそも言葉の概念がなかなか理解できないIT用語。そんなIT初心者の社長にも、分かりやすく理解できるようにITキーワードを解説する本連載。今回は、勘違いも多いキーワード「仮想デスクトップ」だ。

「テレワークや営業など、社外でパソコンやタブレットを利用する機会が増えてきたので、そろそろ仮想デスクトップを導入しませんか」(総務兼IT担当者)

「何、家相?以前、我が家を建てるときに方位を見ながら間取りを考えたものだ。パソコンを利用するときも方位が関係するのかね」(社長)

「家相でも何でもいいですが、仮想デスクトップにすると情報漏えい対策に効果が期待できるんです」

「なるほど効果ありと。会社の運気が上がるなら、その“家相”デスクトップとやらを検討してみるか」

端末にデータが残らない仮想デスクトップ

 一般にパソコンはデータを処理・保存する本体と、データを表示するディスプレー、データを入力するキーボード・マウスなどで構成されます。デスクトップは表示画面を意味します。

 仮想デスクトップでは、本体の機能はデータセンターにあります。利用者の手元のパソコンには、データセンターから転送された表示画面(デスクトップ)の情報が映し出されます。パソコンにはデータがなく、仮想的に表示されるので仮想デスクトップと呼ばれます。デスクトップ仮想化ともいいます。手元のパソコンにデータが残らないので、情報漏えい対策にもなります。
※デスクトップの表示画面を拡張する機能を仮想デスクトップと呼ぶ場合もありますが、ここでは表示画面の転送の仕組みを仮想デスクトップと呼びます

表示画面を転送する仮想デスクトップ

Q 仮想デスクトップのメリットを教えてください

 テレワークや営業活動中に万一、パソコンを盗難・紛失した場合でも情報漏えいのリスクを回避できます。パソコンのほか、タブレットの利用が可能な仮想デスクトップサービスもあり、社外でも安全に業務を行えます。

 IT担当者の運用管理の負担軽減も可能です。基本ソフトやアプリケーションの更新を一括管理できるようになります。また、災害時でも会社以外の場所から業務を行えるので、事業継続にも効果が期待できます。

Q 仮想デスクトップの利用に注意点はありますか

 ネットワークを介して業務を行うため、企業ネットワークの見直しが必要になる場合があります。自社でシステムを構築・運用するのか、クラウドサービスを利用するのかで費用や運用負荷が変わります。利用者数、拡張性、費用などをよく検討してサービスを選ぶ必要があります。

Q 具体的にはどのように検討すればよいでしょうか

 多種多様な仮想デスクトップサービスが提供されています。自社に合った使い勝手を専門家に相談しましょう。事前検証は欠かせません。導入実績が豊富で、ネットワーク構築を含めた対応が可能なITサービス事業者に相談するといいでしょう。

ごまかしは通用しない

「社長、仮想デスクトップのメリットを理解していただけましたか。運気とかいって、運任せでは情報漏えい対策は進みません」(総務兼IT担当者)

「運任せで対策しろなんて、ワシは一言も言っていない」(社長)

「社長、パソコンを仮想化すれば社員の士気も上がり、会社の運気も上がるかもしれませんよ。売り上げ倍増、間違いなしです」

「君は、またそんなことを言って、ワシをごま仮想としているな」

※本文中の会社名、商品名は各社の商標、または登録商標です

執筆=山崎 俊明

【MT】

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