ビジネスWi-Fiで会社改造(第44回)
ビジネスWi-Fiで"学び"が進化する
分からないIT用語を分かったふりでごまかしているIT初心者の社長も、IT用語が簡単に理解できる本連載。今回は、きっと聞いたことがある「仮想化」だ。
「社長、国会で働き方改革関連法が成立しましたね。うちの社員が効率よく働けるようにするには、テレワークも1つの手段だと思います。法律が施行される前に、うちの会社もパソコンの仮想化に取り組みましょう」(総務兼IT担当者)
「何!!貸そうか、だって。オレオレ詐欺に代わる、新手の“貸そうか貸そうか”詐欺か。いくらワシが売り上げ目標に厳しいからといって、詐欺なんかでもうけてどうすんだ」(社長)
「詐欺なんかするわけないじゃないですか。オレオレ詐欺やお金の取り立てではなく、会社で使っているサーバーやパソコンの仮想化のことですよ」
「サバ? よく分からんが、サバを貸そうかと言われてもなあ、腐るだろ」
「仮想化を使うとシステムの管理やコストの軽減だけでなく、セキュリティにも効果があることが多いんです」
「サバは遠慮しとくが、取りあえず君の提案に耳を貸そうか」
仮想化とは、物理的な環境にとらわれずCPUやメモリーを論理的に分割・統合する技術のことを指します。これだけでは理解しづらいので、もう少し具体的に見てみましょう。
近年、増えているのがサーバーの仮想化です。オフィスでは、ファイルサーバーや販売・在庫管理システムのサーバーなど、用途ごとに物理的なサーバー機器が別々に置かれているケースがあります。サーバー仮想化は、仮想化のソフトウエアを用いて、1台のサーバー上で仮想的に複数のサーバーをつくれます。複数台のサーバーと同等の機能を1台のサーバーが果たせるため、設置スペースや電源なども削減可能になります。
Q パソコンは仮想化できるのでしょうか
仮想デスクトップと呼ばれるパソコンの仮想化は、手元のパソコンの中にはごく一部のアプリケーションしか入っていないのに、あたかも通常のパソコンと同じように使える仕組みです。
具体的には、パソコンの中核機能(演算装置、記憶媒体、アプリケーションなどのソフトウエア)と、パソコンの操作機能(ディスプレー、キーボード、マウス)を分けて運用します。パソコンの中核機能はサーバー上で稼働させます。アプリケーションなどはサーバー上で動かして、画面情報だけパソコンに転送する仕組みです。転送はネットワークを通じて行います。
社員のパソコンデータはサーバー上で管理されます。そのため、社外や自宅など、どこからでもサーバーにアクセスできる環境があれば、自分の業務用パソコンが使えます。これは、テレワークなどに適している仕組みです。
Q パソコンの仮想化のメリットを教えてください
最近は、働き方改革の取り組みとともに、テレワークなどに使えるパソコンの仮想化が注目されています。ただ、どこからでも働けるテレワークには、セキュリティの課題が生じがちです。セキュリティの観点から、パソコンの社外持ち出しを制限する企業も少なくありません。パソコンを仮想化し、手元の端末にデータが保存されない仕組みにしておけば、万一、パソコンを紛失した場合も情報漏えいの可能性を低くできます。
Q 仮想化の活用について注意点はありますか
仮想化の専門知識を備えたIT担当者の確保は非常に難しいため、IT事業者が提供するクラウドサービスを利用するという方法もあります。また、パソコンの仮想化では、ユーザーが操作するパソコンと、パソコンの中核機能を管理するサーバーは離れた場所に置かれます。安全・快適に操作するには、ネットワーク環境の再点検が必要になることもあり、IT事業者に相談するとよいでしょう。
「社長、仮想化について、少しは分かっていただけましたか。テレワークを導入するために、早速パソコンの仮想化の検討を始めたいと思います」
「無理やり何かを貸すわけではないと分かったが、ややこしい世の中になったもんだ。仮想通貨だ何だといったって、ワシは現金しか信用しないね」
「現金でいいですから、社長は仮想化のIT予算を認めてください」
「うん。予算も仮想化すればいいじゃないか。仮想的に、あくまで仮に予算を付けておくよ」
「実際の支払いのときはどうすれば……まさか」
「貸そうか?」
執筆=山崎 俊明
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