ニューノーマル処方箋(第85回)
Wi-Fi 7導入を検討する前に知っておきたいポイントと準備のヒント
どんどん進化するデジタル技術。追いつくのは大変だが、業務に役立つ機能は積極的に取り入れたい。そんなIT初心者の社長にも分かりやすく理解できるようにITキーワードを解説する本連載。今回は、ファクスにかかるコストの削減や業務効率化が期待できる「ペーパーレスFAX」だ。
「社長、紙を使わなくてもいいペーパーレスFAXがあるそうです。対応する複合機に買い替えませんか」(総務兼IT担当者)
「ペーパーレス? FAXと紙は切り離せないだろう。どうやって文書を見るんだ」(社長)
「受信したデータをサーバーに保存すれば、印刷しなくても内容が確認できます。印刷コストの削減にもなります」
「コストが削減できて便利にもなるのか。それはいいな。詳しく説明してくれるか」
ペーパーレス化を進める上で注目したいのが、インターネット上で文書データを送受信する「ペーパーレスFAX」です。受信した文書を印刷することなく閲覧したり、PC上でFAXを送信したりできるのが特徴です。具体的には複合機のPC FAX機能を利用したり、クラウド型のFAXサービスを導入したりする方法があります。

複合機を使ったペーパーレスFAXの一例
Q なぜペーパーレスFAXが注目されるのでしょうか。
印刷コストの高騰、脱炭素や森林保全といった社会的要請への対応などを背景に、ペーパーレス化が企業のトレンドになっているからです。昨今は会議室にノートPCを持ち込んで、資料をデータで参照しながら会議を進めることは珍しくありません。経理の現場でも電子帳簿保存法への対応として、請求書や領収書のデータ保存が必須となっています。
その一方で、紙の消費がなくならないのがFAXです。請求書や受発注書をメールに添付するなどデジタルでやり取りする取引先がある一方、依然としてFAXでのやり取りを希望する取引先もあります。
ペーパーレスFAXは、FAX機能を備える複合機のボックス(共有フォルダなど)に受信データを保管し、PCに送信したり、メールに添付したりすることが可能です。外出先でもスマホやタブレットで受信した文書を確認できることから、関心を集めています。
Q ペーパーレスFAXにはどのようなメリットがありますか。
受信した文書を紙に出力する必要がなくなるため、印刷コスト削減や、印刷した紙の置き忘れ・紛失による情報漏えいのリスク低減が図れます。また、外出時や自宅でも会社に届いたFAX文書の内容を確認できるため、スピーディーな情報共有や多様な働き方の支援につながります。他にも文書の検索性・保存性の向上、オフィスの省スペース化など、さまざまな面でメリットがあります。
Q FAXをペーパーレス化する上での注意点はありますか。
PC FAXに対応した複合機を導入したり、クラウド型のFAXサービスを契約したりと、FAXのペーパーレス化には一定の初期投資がかかります。また、手書きのFAXを扱う機会が多い場合、OCR機能付きのPDFソフトを導入するなど、代替手段の検討が必要です。送受信したデータの適切な管理方法を策定したり、社内での承認フローを変更したりと、場合によっては既存業務を見直す必要もあるでしょう。
業務フローが変わることで一時的には現場に負荷がかかるものの、長い目で見ればペーパーレス化は従業員にも大きなメリットがあります。ペーパーレスFAXには何が必要なのか、オフィスのITに詳しい事業者と相談してみるのもよいでしょう。
「ペーパーレスFAXのメリット、分かっていただけましたか。コスト面だけでなく、生産性向上やセキュリティ対策にも有用です」 (総務兼IT担当者)
「業務上必要ならやむを得ないな。いっそFAXごとレスにできればいいんだが」(社長)
「そうすると、社長がたまにご覧になっている居酒屋のチラシや釣り具のセール情報なども届かなくなりますね」
「なんだって。そこはみんな古くからの付き合いなんだ。やはりFAXは必要だな。すぐにペーパーレス化を検討しよう」
※掲載している情報は、記事執筆時点のものです
執筆=山崎 俊明
【MT】
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